新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

困難の中で頑張る留学生

 今日は一日曇り空で寒かったです。日曜日なので教会へ行きました。今日は壮年会がありました。壮年会というのは、教会の壮年の方の勉強会です。今旧約聖書について勉強しています。今日は創世記の楽園追放について学びました。今日はそちらでなく、別のことを取り上げることにしました。
 
 昨日書いた台湾での総統選挙は国民党の候補者が当選しました。新聞記事などを読むと、アメリカも中国も安心したようです。中国はもちろん中国との交流を進めようという人なので分かるのですが、アメリカについては意外でした。アメリカにとっても、台湾と中国の間がうまくいってくれるのを望んでいるようです。
 
 日本でも台湾が中国と対決することを望む人もいるようですが、昨日書いたようにすでに相当深くかかわっているので、今さら関係を弱めることは難しいです。韓国についても、中国漁民による警察官刺殺事件がありましたが、だからと言って中国との経済関係を悪化させることはなさそうです。(そんなことになったら韓国経済は行き詰るでしょう。)
 
 日本では対中国への弱腰を責める意見もありますが、大切な貿易相手ですから、どの政党が政権を握ってもやはりそんなに強気には出られないだろうと思います。東アジアではすでに韓国・台湾・北朝鮮と中国を重視する流れができてしまっているようです。日本もTPPとは別に、韓国・中国とFTAを結んで立場を固めないと将来難しいことになりそうです。
 
 さて教会から帰ると学生さんからメールが来ていました。ここでいう学生さんは全て中国での教え子です。一人は現在4年生で、9月から日本の大学院に研究生として来る予定です。できれば秋の大学院の入学試験を受けたいようです。とりあえず日本には研究生としてきます。10月から研究生になるためには、今から準備しなければならないのです。
 
 指導してくださる先生は決まっているようなので、後は中国でのビザ取得の問題だけです。中国ではビザ取得を業者に依頼すると一万元(約12万円くらい)くらいかかります。中国の1万元は日本の100万円くらいの感覚です。農村部の人なら1年分の収入です。
 
 逆に自分で全ての書類を揃えてビザを取得しようとすると大変です。今日メールが来ていた別の学生さん(現在大学院在学中)の場合は、自分でやったので大変でした。(当時おじさんの指導学生・・日本でいうゼミ生だったので苦労を良く知っています。)
 
 この学生さんは今大学院の1年生です。ゼミのためのレポートを見てほしいというメールがきていました。この学生さんは、「武士道」あるいは「忠と考」といったテーマで修士論文を書くつもりなのです。それで日本思想の研究室に所属しています。
 
 今は先生の指導で平家物語を読んでゼミ発表をやっています。中国の大学を卒業し一昨年の10月に来日し、まだ日本に留学して、1年半ほどです。それなのに、平家物語を原文(古文)でよみ、日本語でレポートを書き、発表もしています。(ゼミ生が少ないので発表がすぐまわってくるそうです。)
 
 1章ごとにやっているようで、今回は平家物語第3章だそうです。ここでは「重盛」の「孝」に、ついて取り上げるのだそうです。前回は清盛をいさめる話のようで「孝と忠」について取り上げていました。今回はたとえば「栴檀は双葉よりもかんばし」などという諺がレポートの中にでてきます。これは平家物語の中に出ている言葉なのだそうです。
 
 平安時代末期にすでに、この諺が使われているなどということも知りました。また、後の世を弔うということは、日本のおける孝と考えるのかどうかということにも触れています。日本語としても、又レポートの内容としても日本の大学院生とそん色がありません。
 
 最初の頃は表現の手直しをしていましたが、今回などはほとんど日本語表現として訂正することがありません。この学生さんは、大学入学後日本語を学んだのです。それに、この学生さんの出身地は農村で、上海のような大都会と違って、日本人と高校生の頃から日本語会話することなぞできないところです。
 
 最近中国人も含めた外国人留学生を企業が採用すると報道されていますが、この学生さんを見ていると全くそうだと思います。日本人など誰も住んでいない(多分村人など一生日本人に会うこともない)農村からでて(この学生さんは、村から都市の大学に進学した最初の女性とのことです。)ところから、出てきて、一人でビザの手続きをし、半年の勉強で大学院に入学し、日本の大学院生に伍してがんばっています。
 
 ちなみにこの学生さんはスポーツもできて、中学の時卓球の地方大会に選手として選ばれたそうです。(日本で言えば県大会のレベル)おじさんが企業の採用担当者なら、ぜひほしいです。(中国でも外資系の会社に内定をもらったそうです。)それでも生活は大変です。
 
 昔のことばに「国乱れて忠臣出で、家貧しくして孝子出ず」と言いましたが、まさにそんな感じです。かって貧しかった頃の日本人もこの学生さんのように、苦学してアメリカの大学などを卒業したのだと思いました。明日は旧約神学のレポートを書きます。