「骨が語る日本人の歴史」を読んで
今日は久しぶりに今読んでいる本について書きます。分類は人類学です。と言っても社会科学ではなくて自然科学の人類学なのです。
先生が開口一番、みなさんは頭蓋骨を見たりする人類学とお思いでしょうが、違うのです。あれは自然人類学と言って社会科学ではなく、自然科学なのですと言いました。
人類の文化の伝播(広がり)とか、ある地域独自の文化などのついて学ぶのが文化人類学です。おじさんの受けた講義では、前期は文化の伝播、後期は山陰地方の一部にある犬神ツキについてでした。
さて、今回読んだ「骨が語る日本人の歴史」では骨考古学という言い方をしていました。内容で興味深かったことをいくつか書きます。
日本列島はアジアさまざまなところからやってきた人類の吹き溜まりのようなところだったそうです。さまざまな人類が混血しあって縄文人ができたようです。
弥生時代と言っても地域差がとても大きかったようです。九州でも南の方は縄文系の特徴を残していたようです。もちろん関東や東北の場合なおさらです。
古墳時代になると階層によって人骨の構造が異なるようです。古墳の中でも前方後円墳のような貴族や大豪族の墓の人骨は大柄ですが、族長クラスの古墳だとそれより小柄で、さらに庶民レベルだともっと小柄になるようです。
江戸時代などでもそうですが、庶民と武士などの上流階級では顔つきも違っていたようです。平安時代でも江戸時代でもそうですが、庶民は出っ歯で丸顔だったようです。
それに比べて上流階級は面長な顔だったようです。徳川慶喜の顔が良く知られていますが、江戸期の上流階級はあんな顔だったようです。
戦後の日本人の体形の変化はどの時代にもないほどだったようです。今のように170センチ以上の若者がぞくぞく出現するような時代はなかったようです。大体男性で150センチ女性だと145センチくらだったようです。
顔つきも今のようなほっそりとした顔つきの人も少なかったようです。源平の時代や江戸時代のドラマですらりとした俳優さんが出ていますが、実際はそんなことはなかったようです。
これまで高校で学んだ歴史と大きく異なっていました。読者のみなさんも一度お読みになるのをお勧めします。「骨が語る日本人の歴史」(片山一道著 ちくま新書 820円)です。