新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

日本語能力試験の問題

 4月から専門学校でまた日本語を教えています。3月のまでの学校は一クラスの人数も30人以上で、おまけにやる気が全くありませんでした。

 一方今の学校は20人程度でやる気もあるのでとてもやりやすいです。授業の目標は日本語能力試験のN2かN3に合格することです。最初は専門学校の人からN2を目指してくださいと言われたので何回か授業で取り上げました。

 どの資格試験でもそうですが、過去問や類似した問題を何回もやって傾向を覚えるのです。おじさんはもともと国語教師なので、問題を見ているうちにだんだん傾向が分かってきました。

 以前書いた通り試験内容は語彙・文法・読解・聴解です。N3だと大体中学生レベルです。学生さんの大半がこのレベルのようです。

 N2になると急に難しくなります。余りやさしい問題ばかりではと思って一度N2の読解問題をやらせました。何気なく出典を見ると何と日本経済新聞の記事です。

 N2の読解のレベルが分かってもらえたと思います。語彙は漢字の読み方や類似した語についてです。例えば、機能」と同じ意味の語を選びます。答えは「働き」です。ただ機能という漢字の意味を説明するのは難しいです。英語のファンクションですが、発音が悪いと通じないのです。

 またカタカナ語が出ます。ネパール人の学生さんは英語ができるのですが、カタカナの発音と英語の発音が違うので理解しにくいようです。

 英語がそのまま書いてあるならすぐに分かると思うのですが。文法というので、単語を助動詞とか形容詞に分類させたり、活用形を書かせるのかと思ったら全く別です。

 慣用的に使っている文章が多いです。こうなると体系的に覚えるのは難しいです。一つ一つ覚えるしかありません。例えば「汗を○○」なら「かく」ということになります。計画なら「作る」ではなく「計画をたてる」です。

 ところが計画書(起案書)となると、「作る」になります。計画書を作成するです。こんな問題がでるのです。

 「部屋にイヌが○○」と「部屋に花瓶が○○」だと前者は「いる」後者は「ある」です。日本人なら何も考えずにすぐ答えられますが、外国人にはなかなか理解できないのです。

 「ある」「いる」の共通点は「存在する」です。しかし、「いる」は動物、「ある」はそれ以外となります。難しいのは「部屋中に犬小屋がある。」、「部屋の中の犬小屋に犬がいる」のような場合です。

 授業では「ある」と「いる」の違いについて説明するのですが、なかなか理解してもらえません。日本語では生物と無生物で違った言葉を使うケースが他にあります。

 「日本(  )の時計」「オーストラリア(    )オレンジ」前者は「製」で後者は「産」です。違いは前者は無生物後者は生物です。オレンジ以外に米でも魚でもいいです。

 日本語を母語とする人は(日本人だけでなく、日本語を使て成長した外国人)無意識のうちに覚えて行ったのです。おじさんも日本語能力検定試験の問題をどんどん解答することができます。

 それは、特別な勉強をしたからではありません。多分大学を卒業した人ならN2くらいまでの問題をすぐ解くことができるでしょう。特別な勉強は必要ありません。

 ただ日本語教師として外国人に教えるとき、なぜなのかを説明しなければならないのです。おじさんが日本語教師養成講座に通っていた時、例文を作りなさいとよく言われました。

 言葉が異なるということはそこに必ず違いがあるはずだと言うのです。例文を作って、どの例文なら使えないのかを考えると違いが明らかになります。

 その点国語教師として多くの文章に接してきているとすぐ例文が思い浮かびます。日本語教師だけをしているとどうしても例文を余り思いつきません。

 中国やアジアの国では日本語教師に国語の教員免許保持者や経験者を求めることがあります。あるレベル以上の内容になるとやはり国語を教えた経験が必要になってくると思いました。

 明日は学校とリハビリで忙しいです。