新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

パクスロマーナとパクスアメリカーナー使徒言行録よりー

 今日は暖かい1日でした。いつものように教会へ行きました。教会の参列者は平均45人くらいです。日本の教会はどこも小規模なので、(キリスト教人口に比べて教派が多すぎることも原因です。)、出席者が40人を超えるのは中規模の教会ということになります。
 
 ちなみに教会員は70人くらいです。何をもって教会員というかは難しいのですが、普通に言えば月定献金を納めて、(月ごとに決まった額を献金する。)礼拝などに出席する教会員をさします。
 
 日本では50人の教会員がいれば中規模の教会で、100人を超えると大規模教会となります。韓国では万単位の教会員のいる教会や中国のおじさんの出席していた教会のように3000人単位の教会もあります。日本ではそんなに大きな教会はありません。
 
 今、説教で使徒言行録を学んでいます。というより説教の内容が使徒言行録についてなのです。これを講解説教といいます。ある聖書の部分を数カ月かけて順番に説教して行くのです。先週まで神学部で勉強していたバルトの「ローマ書講解」はとても有名です。これは「ローマ人への手紙」を自分なりに解釈して説教したものを書物にしたものです。
 
 「使徒言行録」は以前「使徒行伝」と呼ばれていました。使徒と言っても弟子のパウロキリスト教を体系化した人)が各地にキリスト教を広めた記録です。以前ブログに書いたことがあります。今日はそのパウロユダヤ教の大祭司に訴えられた話から書きます。
 
 以前書いたようにローマの市民権というのは大変な力を持っていたのです。彼は生まれながらローマの市民権を持っていました。当時ローマは多くの植民地や支配地域を持っていましたが、そこに住むローマ市民をローマ軍は保護する義務を負っていたのです。
 
 今日の説教箇所では、ユダヤ教と対立するキリスト教を広めるパウロは暗殺する計画が持たれます。パウロを裁判にかこつけて呼び出し、志願した40人のユダヤ人が暗殺するというものです。この計画は、パウロの甥の知るところとなり、今パウロを保護しているローマ軍にいるパウロに伝えられます。
 
 パウロは1市民にもかかわらず、千人隊長(現在の位で言えば連隊長・・大佐級・一佐級)と直接事情を話合います。戦前の日本で外地にいる日本人が日本軍の大佐に直接保護を要求するなど考えられないところです。しかし、千人隊長は部下の百人隊長に命じて、パウロを安全な場所に移動させるのです。
 
 その際の護衛の兵士もすごいです。ローマ正規軍の騎兵70人・歩兵200人それに外人部隊の補助歩兵200人を付けて送りだします。合計400人単位の兵士がたった一人のローマ市民権を持つ一人のユダヤ人を保護するために出動するのです。現代風で言えば装甲車やトラックに乗った兵士がたった一人のアメリカ人を保護して安全な場所に移動するようなものです。
 
 パクスロマーナとは「ローマによる平和」の意味です。当時の世界はローマ帝国の絶大な権力の元にありました。そしてローマ市民はローマ帝国によって完全に保護されていたのです。今のアメリカに良く似ています。パクスアメリカーナは「アメリカによる平和」の意味です。
 
 アメリカ人はアメリカ政府によって完全に保護されている点ではローマ人に良く似ています。おじさんが中国にいた時、住んでいたマンションは大学で働く外国人が住んでいました。(正式名称は「博士后公寓」と言って中国人で博士以上の資格のある先生と外国人教師が住んでいました。)
 
 もちろんアメリカ人の人もいました。ある時領事館や大学から反日デモがある可能性があるので外出しないようにとメールがありました。大学構内ですから、どんなことがあってもデモ隊に囲まれたり投石されたりする可能性はないのですが、そうなってもアメリカ人を保護するため、万が一の場合はアメリカ政府が軍隊を出すか、猛烈な勢いで中国政府に保護を要請するだろうと思いました。
 
 多分日本政府以外の政府は自国民(ドイツ・ロシア・イタリア人などがいました。)保護のために、強力な要請をしたと思います。おじさんたちの場合、中国政府の要請で中国に来た形になっています。ですから、どんな場合でも単なる旅行者や日本企業で働く人よりは保護されていると思います。大学構内には警察署もあるし、パトカーも巡回しています。それに解放軍の給費生(国防生)もいます。もちろん大学が雇ったガードマンもいます。
 
 実際国慶節(建国記念日)には、中国の市政府(市といっても市で一番偉い書記さんは日本でいう大臣クラスの人です。)主催のレセプションに招待されました。招待者は各国領事館の領事や大学の先生などです。ちゃんとした招待状が来て、大学側からもレセプションにふさわしい格好で来てくださいと言われました。
 
 もちろん日本の領事の人も来ていました。(今住んでいるのは全くの地方都市の郊外ですが、当時は領事の人とやあやあと挨拶をしたり、一緒に鍋を食べたりしていたのです。)中国もリビア情勢が悪化した時、船や飛行機を使って2万人単位在リビア中国人を引き揚げさせました。
 
 テレビで見ましたが、おじさんの街の中国人の間でも中国政府やよくやったという声が出ていました。日本ならどうだろうと思ってしまいました。中国のような一党独裁の国で他の意見をどんどんやれるからできるのだと思いました。
 
 やはり大国(ローマやアメリカ)の市民権はそれなりの裏付けが(政府による保護)があるのだと思いました。明日は歯医者の定期診断です。