新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

体験的中国軍事事情

 今日もすっきりしない天気でした。今日は花粉の飛散もひどくて午後からはずっとくしゃみ・鼻水・鼻づまりに悩まされました。
 
 午前中は前立腺肥大を抑える薬を貰いに行きました。以前は4週分だったのですが今回から6週分になりました。貰いに行く回数が少なくて助かります。
 
 経常収支が赤字になったので、円安にふれて株式相場も上昇したと報じていました。赤字なのに株式が買われるのも変な気がします。もちろん、理屈の上では円安で輸出が増加するので企業利益が出るという連想なのでしょう。おじさんが半年前に買った某証券会社も一時は危機が伝えられたのですが、今日は持ち株の中で一番元気よく上昇しています。と言っても利益を出すにはほど遠い状況ですが。
 
 さて今日は数日前に中国の軍事費が増加したと伝えられていました。おじさんは子供の頃から軍事問題に関心がありました。中国にいた3年間もこの分野について観察してきたので今日はその報告です。
 
 軍事分野においてもその国の文化や歴史と関係があります。日本の場合、軍隊は武士集団の文化と歴史を受け継いでいます。ですから、先の大戦でも軍人は武士の魂と言われる日本刀を保持しました。武器としてではなく、精神の象徴としてです。
 
 旧軍は帝国陸軍であり、国家そのものを体現していました。ところが中国の現在の軍隊は人民解放軍という名前の通り、人民の軍隊であり、人民を困難から解放する軍隊という歴史を持っていると中国の人は考えています。どこでそれが一番でるかというと、軍事訓練などです。
 
 以前大学新入生の軍事訓練を見てびっくりしました。帝国陸軍の体験者が見たら、ふざけるなまじめにやれと言うと思います。宿舎前に集合して現役兵士が引率してグランドで訓練があるのですが、その途中は皆ばらばらに歩いています。
 
 また、あるグループはグランドで座る風呂の椅子のような物を持っています。また中には訓練用の迷彩服を着ていない者もあります。手に手にペットボトルを持っています。訓練が始まってもなかなかうまくいきません。ただ指導の兵士は決してどなったり、ましてなぐったりなどということは絶対にありません。
 
 訓練指導の兵士は、若い兵士です。大学生と同じくらいの年です。およそ鬼軍曹とは程遠いです。できの悪い学生には付ききりで教えます。日本人と違って集団行動が苦手なようです。日本の場合小学校から集団行動ができます。行進の練習は幼稚園からやっていますが、中国のでは勉強一点張りです。
 
 以前は実弾演習やったようですが、今はやっていません。ある時スクールバスから軍医大学の女子学生(多分看護師学生だと思います)の軍事訓練を見ましたが、こちらは本ちゃんだけあって見事でした。軍事訓練の最終日には軍の偉い人が視察にきます。軍歌に合わせて踊ったりもしていました。
 
 最終日頃には一応集団訓練が完成して何とか見れるようになっています。普段はだらけていますが、やる時はやる中国人という感じでした。中国の軍隊は先に書いたように人民の軍隊なので、民生活動も盛んです。無医村の医療活動をやったり、干ばつなどにも出動します。また貧しい人や老人、恵まれない子供の慰問などもします。(テレビの軍事報道番組でやっています。もちろん民放でお酒メーカーがスポンサーです。)
 
 今解放軍は実質志願制になっています。兵士は高校卒業後入隊します。入隊者がでると「征兵は街の誇り」といった横断幕がでます。解放軍はいろいろ事業をやっています。病院も持っています。先に書いた軍医大学の付属病院はおじさんの地区では最高レベルの病院です。
 
 別の解放軍の病院には、なんと美容整形科がありました。旧日本軍の陸軍病院あるいは自衛隊病院では考えられないと思います。ホテルも持っています。立派なホテルで、征兵(志願兵)の兵士は皆まずそこに集合します。大学でも国防生という幹部候補生がいます。普段は制服を着ていませんが、儀式の時には国旗掲揚などをします。ほとんど理系とだと思います。
 
 こちらも高校まで勉強一筋なので、大学構内のグランドでランニングをやっていますが、どんどん遅れる学生がいます。中には皆集合しているのに堂々と遅れてくる学生もいます。以前女子学生も数人いるのを見ました。特別に国防学生宿舎というのがあって、そこで集団生活をしています。
 
 また大学の正門前で軍士官の募集もしていました。(団塊の世代に懐かしい立て看板です。)全て理系特に工学系です。電子工学や情報工学が多いです。おもしろいのは、職種と勤務地と募集人員が書いてあります。たとえばチベット西蔵・・中国語では)レーダー担当、電子工学専攻の学生、30人と言った具合です。
 
 給与や待遇も書いてあります。昇進なども書いてあります。どうも日本と違って、最初は下士官レベルの士官一級から順次昇進するようです。中国では兵士以外は全部士官といいます。おじさんの大学も以前軍の学校だった大学を合併しています。
 
 と言っても街でもまして大学構内でも軍服を着た軍人さんを見ることはありません。おじさんが住んでいる街には自衛隊の基地がありますが、中国の軍事基地もそんなものです。入り口に兵士が立っているだけで別段違いはありません。ただ軍事管理地区という名の場所もあります。
 
 中国軍は強いのかというと良く分かりません。ただ中国で生活してみると、外見はピカピカのデパートでも、トイレの天井はすかすかで、パイプなども丸見えです。またデパートの非常階段で大勢の店員が座り込んでインスタント麺を食べたりしています。
 
 また、最新のものを欲しがりますが、普段使っているものは余り大事にしません。さらに完成していなくても平気で使います。8階建てのデパートでも完成前に1・2階だけでもオープンします。未完成でも使いながら修正すればよいと言う考え方です。さらに駄目なら簡単に捨てたり解体したりします。
 
 スピード重視で、とにかく形だけも完成させる方が時間がかかってもきちんと仕上げるより高く評価されます。ステルス戦闘機でもこの文化から考えるとどれだけ本当に性能が充実しているのか疑問です。また、相手に対して見せつけるのが好きです。
 
 過小評価もいけませんが、ステルス戦闘機や空母を持っているからといって、過大評価も危険です。アメリカや日本では公開する時は何度も試験をし本当に完成したものですが、そうでなくてもあるいは本来の性能がだせなくても出しているような振りをよくします。
 
 仮にばれても平気だし(ご存じのように言い訳は大得意です。)、相手が勘違いして過大評価してくれたら、中国軍にとって有利だからです。極端に言えば木で作った大砲を相手が本物だと勘違いして、警戒するならありがたいという発想です。ただ、兵士個人は勇敢で侮れないと思います。中国人は個人主義でマイペースですが、いざ団結するとなるとそれなりの力を持っています。
 
 また、自国が昔植民地として外国軍に占領された経験があるので、国防には好意的です。大学の先生も解放軍は国民に好かれていると言っていました。ごく普通の公園でも内戦時の解放軍の活躍を描いた劇をやっていました。別に宣伝でやっているようでもありませんでした。皆楽しそうに見物しています。(外国人が絶対にこないような庶民の街です。)
 
 真実は、なにげない生活から見えてくると思います。あくまでも個人的な体験なのでどれだけ普遍性があるかわかりませんが、参考に読んでください。
 
 明日はのんびり過ごします。