新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

高齢者の地方移住について―画餅

 今日の株式市況はさすがに下落したようです。このところ株の話ばかりなので、今日は話題としては遅れていますが、一度書きたかった高齢者の地方移住について書きます。

 何週間か前に、今のままでは東京を含む関東都市圏では介護難民が続出すると報じられました。介護難民にならないためには、介護の余裕のある地方に移住すべきだと言うのです。

 介護に余裕のある都市名も上がっていました。ところで、高齢者の地方移住は可能なのでしょうか。まず関東都市圏で介護サービスを受けようとしても受けられない人が出るのは事実だと思います。

 特に特別養護老人ホームの入居者は大勢の待機者がいるようです。また住民に比べて医療機関が少ないので入院なども難しそうです。

 しかし、介護を目指して地方に移住するというのは難しいでしょう。もちろん、地方出身者が地元に戻るなら少しは可能性はあります。しかし、地方出身者が地元に帰っても知り合いも少ないでしょう。

 そもそも、地方で仕事がないから都会に出たのだと思います。地元の実家も両親がすでになく、実家そのものも消滅している可能性があります。

 実は都会に比べて地方は高齢者にとって住みやすいものではありません。地方にもよりますが、駅前シャッター街で代表されるように商店なども少なくなっています。

 地方では車がなければ生きていかれません。また、高齢になって病気がちになっても病院は遠いし総合病院に至っては中心都市か県庁所在地にしかない可能性もあります。

 地方特に農村部で健康な人が多いのは、健康な人しか住めないのです。地方特に農村の高齢者で先述したように健康で車を運転できなければ買い物すら不可能です。

 また地方には地方独特の煩わしさがあります。全く見ず知らずの地方への移住は出身の地元よりさらに移住は困難です。地方文化の違いもあります。少なくとも東日本と西日本とでは食文化一つとっても違います。

 地方もただ介護がしてもらいやすいからという移住者は困るでしょう。介護保険は市町村の持ち出し部分もあります。介護だけを望んで税金も負担せず消費もしないのでは、移住者を受け入れた地方の負担が重くなるだけです。

 画餅と言う言葉もあります。まさに高齢者の地方移住は絵に描いた餅です絵の餅は立派ですが、食べることはできません。この提言も総論賛成各論反対で終わるでしょう。

 政府や評論家の言うことは大体そんなものです。明日も株以外のことを書こうと思います。