新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

手詰まり日本

 今日は久しぶりに暖かくなりました。多分10度を超えたと思います。授業も残り2回になりました。大学もすっかり期末試験モードです。本来16回授業をやらなければならないのですが、日本人教師の場合15回で授業を終了して、最終回に試験をすることが認められています。
 
 もちろん試験をする前に、学部長に試験問題を送らなければなりません。学部長の先生は一応目を通すようです。今日おじさんの試験問題についても、実施されて結構ですとメールが来ていました。新任の先生の中には、問題の手直しを求められた先生もあったそうです。
 
 大学生の皆さんは結構のんびりとしていて、今日もバトミントンコートでバトミントンをしていました。また学生購買部(スーパー)の前の横断幕には「恋愛心理学講座開催」の文字が見えました。大学院研究科の心理学担当部の主催のようです。日本の皆さんは中国の大学生というと反日活動にいそしんでいるとお思いでしょうが、全くそんなことはありません。何があっても平凡な日常生活が続いています。
 
 さて、久しぶりに政治ネタです。今日も小沢さんの国会招致問題がマスコミを賑合わせていますね。中国にいると日本にいた時と違って、マスコミの騒動に巻き込まれないので、冷静に日本の政治や社会が見えてきます。日本での対中国観と現地中国での印象が余りにも違うのでとまどっています。
 
 それはさておき、日本の現状を外国からみると、一慨に民主党あるいは管さんだけを責められない気もします。管さんについては、やはりリーダーシップに欠ける点があるのでしょうが、他の政治家であってもどれほどのことができたかという気もします。強いて言えば、小沢さんなら今回の外交問題をどうさばいただろうかと思います。しかし、潔癖症の日本の皆さんにはそれは許されないことだったのでしょう。
 
 先日も書いたように、問題点は全て明らかなのです。ですから後は決断だけです。しかし、その決断は政権を吹き飛ばし、選挙で落選し全てを失う決断なのです。日本の進む道は二つのうちどちらかしかありません。それは様々な分野ではっきりしています。しかし、その決断が困難なのは、日本が議院内閣制である限り仕方のないことです。
 
 議員内閣制であれば、選挙で議員にならなければなりません。どんな優秀な人でも小選挙区という極めて小さな地域の選挙に勝ち抜いて国会に行かなければなりません。つまり地域を無視することはできないのです。またある政党で過半数の支持がなければ党首にはなれないし、過半数の中には地域的にもばらばらな選出議員がいます。党首にならなければ首相にはなれません。
 
 ばらばらの地域選出議員の大半が納得する政策などないのです。マスコミも同様です。どちらかの政策を支持すれば反対の意見の人から見捨てられるでしょう。新聞であれば売れなくなります。野党も常に与党と反対のことを言わなければ政権をとれないでしょう。
 
 今直面している問題はいくつかだけです。まず財政再建財政赤字拡大を許容してで国債を発行するかです。財政再建なら財政引き締めとなります。予算カットですから、需要が減退するでしょう。減税も無理です。さりとて、財源に目をつぶって、国債を発行してでも減税などを進めれば恐ろしいほどの財政赤字が出ます。
 
 どちらが良いのか専門家でも意見が分かれます。政党内部でも分かれるでしょう。また農業を犠牲にしてでも貿易自由化を進めるかです。これは結論が決まっていて、貿易自由化を進めるしかないでしょう。しかし、それを言いだせば農村選出の議員は落選します。また、小選挙区では圧倒的に農村部が多いので、農村票を無視するのは政党として無理です。
 
 公務員の給与引き下げでも、みんなの党が主張するような大幅引き下げには、人事院を廃止しなければなりません。それに、公務員にスト権や団体交渉権を与えねばなりません。そうなると、また保守派の人から反対がでるでしょう。公務員にスト権をあたえるなどけしからなんということになります。(人事院はスト権がない代わりに作られた組織なのです。)
 
 基地問題でも、県外移設や国外移設は無理でしょう。現在の世界情勢から考えたら、沖縄以外に基地を置くのは無理です。アメリカの手助けがなければ安全保障は無理だと分かってきました。(これは良かったと思います。)中には自主防衛(核武装や軍備増強)を唱える人がいますが、まず先述した財政問題があります。自主防衛にすれば、ある部分の予算を大幅を削減するか、赤字覚悟で国債を発行するかです。
 
 またそうなれば対北朝鮮問題で、日米韓の三国協調が言われているのに、それと反することになります。日本が核武装なり軍備増強して集団安全体制から離脱するなら、韓国はもちろんアメリカも日本から手を引くでしょう。そうなれば日本はアジアで孤立することになります。管さんの自衛隊の韓国派遣での韓国の反応を見ても、日本の軍備状況に韓国は敏感に反応すると思います。
 
 道は分かっているのですが、今の政治体制ではたとえ政権が自民党に戻っても同じことだと思います。いずれの道を選んでも政権が行き詰ることは目に見えています。野党に戻った民主党は今度は攻守を変えて攻めたてるでしょう。
 
 これを書きながら暗澹たる気持ちになります。これから日本はどうなるのでしょう。管さんが思い切って政権を投げ出すつもりで、これらの一つでも強引に片付けてくれたらいいのですが。 今日は仕事も一段落したのでちょっとのんびりしています。明日からまた授業です。