新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

日本概況期末問題報告

 今日は1日曇りでした。朝霧がなかったので、今日はどうかと天気予報を見てみると少雨でした。今日は期末試験があるので、答案が濡れたたら困ると思って、傘を用意しました。幸い雨は降らずに助かりました。明日まで試験があります。
 
 どんなに経験を積んでも試験の時はどきどきします。結構思い違いなどあるので、学生さんから質問が出た時はひやりとします。幸い今回は質問もなく試験時間(90分)一杯解答してくれました。これも時間が不足しても困るし、半分くらいの時間で解答が終わっても困るし、結構加減が難しいのです。おじさんは、全員が書ける問題を入れて時間が余らないよう調整しています。(今回は「この授業であなたが一番印象に残ったテーマを書きなさい。」です。早く出来た人はこれに時間を費やすことができます。)
 
 さて、日本の皆さんは、中国の大学生に日本のどんな事を教え、どんな問題を出しているとお思いですか。今学期は、日本地理・日本の伝統文化・日本歴史の3テーマです。何を教えるかは授業する先生の自由なのですが、一応日本からテキストを買ってきました。(授業では使いませんが、授業のイメージを作るのに役に立ちます。)
 
 出題レベルは小学6年生くらいから高校2年生までです。一番簡単な問題は、次の都市はどの地方にありますかとか歴史年代の順番を聞く問題です。(弥生時代~大正時代まで)都市の問題ではちょっとひねって、松山・金沢を出してみました。やはりちょっと難しくて間違いが結構ありました。また、日本の人口や県の数なども出題しましたが、こちらは良くできていました。
 
 ちょっとレベルの高い問題は、日本で一番米がとれる地方はとか山梨県特産の果物はなどです。もちろん授業でやっています。前者は北海道で後者はぶどうです。(山梨なので梨と書いた学生さんが多かったです。)日本で一番高齢者の割合が高い地方はいかがですか。これは東北地方です。記述問題は高校入試程度です。「北陸や東北地方の日本海側に雪が多い理由」や「日本の工業地帯が太平洋側の海に面した地域に多い理由」などです。
 
 歴史はもちろん微妙な問題ははずしています。年号は平安遷都(794年)と終戦の年(1945年)だけです。人名では、鎌倉幕府を開いた人や戦国時代を終わらせた人(織田信長)などです。織田信長でなく徳川家康を上げる学生さんも結構いました。歴史問題は結構本格的な問題も出しました。
 
 専門の研究者によって意見が異なると思いますが、そこは強引におじさんの意見を定説として説明しました。例えば「明治維新後日本が近代化に成功した理由を説明しなさい」などです。おじさんは、江戸時代に教育が普及していたことや工場性手工業がすでに普及していたこと、日本人が外国文化を受け入れることに寛大であったことなどをあげました。戦後改革についても出題しました。これはちょっと難しかったかもしれません。(「農地改革」と「財閥解体」)
 
 伝統文化については、「能と狂言の違い」や「剣術と剣道」の違いなどを説明させます。後者は「剣術」は戦う技術として剣の使い方を学ぶのであり、「剣道」は精神の向上のために行うのだと説明しました。もちろんこんな難しい問題ばかりでありません。「茶道」「歌舞伎」「文楽」の読み方や、○×問題もあります。
 
 例えば「歌舞伎で女性を演じる役者を女形と呼ぶ」のは○か×かなどです。日本人ならすぐ分かる問題です。結構難しいのは「文楽とは人形芝居のことである」とか「相撲は江戸時代に始まった」などです。相撲は古代からあったのです。ですから前者は○後者は×ということになります。
 
 今少し採点したところです。例年よりちょっと難しい内容だったので、優(90点以上)の学生は余りいないようです。大学からは優は全体の10%程度にしてくれと言われているので、3年生の場合6人程度ということになります。多分そのくらいで納まるだろうと思います。
 
 日本にいると全く知ることのない中国の大学での授業について報告しました。日中関係がどうであれ、大学では整然と授業が進んでいます。もちろんこれらの問題は大学の日本語学部の学部長の先生に事前に報告し承認も得た上での出題です。ですから後で学部や大学で問題になることはありません。
 
 明日は中級作文と総合日本語です。