新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中国滞在最大の危機の思い出

 今日は採点など忙しいので教会は休みです。中国の大学も期末考査などで慌ただしいムードです。おじさんのマンションの御向かいの建築学部実験棟では屋根の補修をやっています。この実験棟は工場のような感じでどうもコンクリートの強度実験など大型機械を使った実験をやっています。
 
 一度ツマクマと覗いたら注意されました。多分危険だからだと思います。実験棟の入り口にはいつも砂や砂利が置いてあって、壊れたコンクリートの塊なども放置されています。屋根の補修はどうも防水強化のためのようです。今日本にいる指導学生さんと話したら、どうもおじさんの大学の学長は別の大学の学長になるようです。
 
 日本だと大学の学長は教授会の選挙で決まりますが、当然のことながら中国では教育部(文部科学省)と党の意向で決まるようです。この学長は卒業式などで何回か見たことがありますが、なかなか気さくな人柄で学生さんにも人気があったようです。中国の大学ランクでは上位の大学の学長になります。後任は別の大学の副学長が来るそうです。
 
 さて今日はおじさんの中国滞在中最大の危機の思い出について書きます。ちょうど1年前の今日外出中に転倒ケガをしたのです。その日は朝からちょっと風邪気味だったのですが、たいしたことはないと思って、昨日書いた繁華街へツマクマと買い物に出かけました。買い物をした後ツマクマがこちらの婦人会で行ったビルの中にあるイタリア料理の店で食事をすることになりました。
 
 そこでちょっとワインを飲んでスパゲテイを食べて店の外にでたら、急に気分が悪くなりました。吐き気もするのでトイレに行こうとしたらそこで意識がなくなりました。次に気がついたら外にいて口にタオルを当てているところでした。ツマクマの話しでは、トイレに行こうとして突然倒れたのだそうです。
 
 顔をフロアーで打ったようで歯がぐらぐらになっていました。この歯はもともとぐらぐらだったのを、接着剤でとめていただけなので、それほど出血もありませんでした。しかし、そのため唇を切ってしまいました。いそいでツマクマはあちこちに電話をして病院を探し、結局おじんさんのマンションに一番近い軍医大学(日本の防衛医科大学)の付属病院に行きました。
 
 指導学生さんや学院長、日本語学部の学部長、副学部長、外事処の課長さんなどが駆けつけてくれて大変な騒動になりました。中国では病院のレベルに大きな差があるのです。ここの付属病院は大学の同僚の先生も手術したランクなのでよかったです。手当は簡単に済みました。しかし、代金は前払いで3000元(3万6千円くらい)でした。これで5日間の診察代です。
 
 結局目の下と唇のところを縫いました。後日歯がぐらぐらだったので抜いてもらいました。後は傷が化膿しないように抗生物質を点滴で注射しました。とにかく中国は点滴が大好きなのです。CTも念のため撮りましたが、問題はありませんでした。
 
 こちらは200元(2400円くらい)です。もちろんそんな現金の持ち合わせはないので、銀行カードで下してもらい払いました。診察料を払わないと診てもらえないのです。3000元というのは大学初任給くらいですから、相当な金額です。それをすぐ払ってくださいと言われても普通の中国の人には大変な額だと思います。
 
 結局1週間くらいで治療も終了しました。おもいがけずケガにあってびっくりしました。中国に来て病院に行ったのは以前マンゴーを食べて唇が腫れた時くらいです。その後点滴だけは毎日あったので、学生さんが付き添ってくれました。唇と目の下を縫った時は、日本の大学で博士号を取得した先生が通訳をしてくれました。
 
 手当をしたお医者さんは、先日はイギリス人の手当をして今日は日本人の手当をするので私は国際的な医者になったと冗談を言っていました。以前別のちょっとした手術を受けた時、お医者さんが冗談を言っていたのですが、後で聞くと冗談が出るくらいの手術だから軽いのですよと言われました。
 
 何時間もかかる困難な手術だと冗談などでるはずもないですよね。結局治療費は大学と傷害保険で半分くらい補いました。日本で治療を受けたのと同じくらいになりました。その後1年間何とか無事に過ごすことができました。海外で一番怖いのは事故と病気だとしみじみ感じました。
 
 今日は採点で1日終わる予定です。