新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中国大学生の中級作文採点報告

 今日は曇り空で肌寒かったです。天気予報では雨だったのですが、降らずに済みました。明日も雨の予報です。明日は日本語学部の忘年会と芸術学院の晩会があるので忙しいです。試験の採点も順調に進んでいます。今週中に仕上げる予定です。
 
 今日は6月に卒業して今日本語学校で教えている元指導学生さん(ゼミ生)からメールが来ました。今教えている学生さんからの質問のようです。ある問題についての解答とその説明を質問してきました。見ると日本の高校入試で良く出る問題です。例えば「行かない」の「ない」と「おもしろくない」の「ない」の違いです。これは前者が助動詞で後者が形容詞なのです。高校入試対策として、「ぬ」が付くか付かないかで見分けます。「行かぬ」は言えても「おもしろくぬ」は言えないのです。
 
 その他「行かない」と「行くまい」の違いです。これは打ち消しと打ち消し意志の違いです。「ような」はちょっと説明が難しいです。「大男の足のような雲」だと様態と考えます。雲の様子が大男の足の状態に似ていると考えてもらっていいです。それに対して「外は雨が降っているような気がする。」の「ような」は推定で考えて良いと思います。厳密にはまだ説明法があると思いますが、口語文法ではこの程度でよいと思います。
 
 何となく答えは分かるのですが、説明するとなると大学を卒業してすぐの中国人の先生では難しいと思います。さて、今日は前回の中国人大学生の男女観の続きです。昨日の問題は中級作文(大学3年生対象)の期末試験問題でした。これは単なる作文ですが、実はもうひとつ大きな問題があるのです。それは議論する文章の問題です。
 
 中国の学校教育はややもすると教えられたことをそのまま暗記する傾向にあります。ですから、意見の分かれる問題について自分で考えて答えを見つける訓練が必要だと思いました。と言ってもこの国の国情もあるのでできるだけさしさわりのない問題にしました。
 
 今回出した問題には元ネタがあるのです。それは数年前の某法科大学院の入試問題です。と言ってもそのままのパクリではなく、趣旨だけ使わせてもらいました。この問題は大学時代法律を勉強していない学生対象の問題です。
 
 おじさんが出した問題は次の通りです。「あなたの街の郊外に大きなスーパーマーケットができる予定です。それができると近くの小さな商店は商売をするのが難しくなります。しかし、お客さんは便利になります。あなたはスーパーマーケットを開店させるかどうか許可を出す権限を持つ地方政府の担当者です。あなたはどのような決定をくだしますか。その理由を含めて書きなさい。」
 
 さて解答はどうだったでしょうか。もちろんこの問題については、事前に学部長の先生に提出しています。ですから、問題自身にはクレームはないと思います。読者の方の予想通り29人の学生さんのうち4人を除いて皆許可を出すという意見です。
 
 多分日本の高校生に小論文問題として出題しても同様の答えを出すと思います。理由はやはり利用者に便利である。おもしろいのは、スーパーマーケットの方が品質に問題が少ないとか、売上が多いので税金を多く払うというのがありました。また、大勢の人を雇用するので失業対策にもなるという答えが多かったです。
 
 シビアーに現代は競争の時代であるから、小さな商店が消えていくのは仕方がないという意見もありました。反対意見はやはり、小さな商店でも生活があるので守らなければいけないという意見です。授業ではこのような場合対策を書くよう指導したので、きちんと書いていました。
 
 スーパーに賛成の学生さんは、スーパーの中で商売できるようなコーナーを作るとか、商店の人をスーパーの従業員に採用するなどです。取り立てて斬新な意見はありませんが、皆何とか自分なりの意見を出そうとしているのが分かりました。配点は20点です。日本語の文法的な間違いや誤字などは減点します。
 
 ただ90分間という短い時間に5問の問題を仕上げるのはなかなか大変だと思います。皆さんが英作文の文章題を5題解くことを考えていただいたらよく分かると思います。意外だったのは、メールを作る問題が一番不出来でした。日常メールを使っているので簡単と思ったのですが。
 
 友人に宛てたメールと違い、正式なメールを書くとなると難しいものだと思いました。明日は午後からずっと外出です。