新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

ポピュリズム蔓延の危険

 今日は検診の結果を聞きに行きました。前立腺の血液検査です。中国へ行く前からずっと継続してやっています。前回は下がったのですが、今回は上がっていました。前回は異常に数値が低かったので、ちょっと変だと思っていました。今回はかなり高くなったので、7月の検査で数値が高いようなら薬を飲みます。
 
 ただ去年の7月CTスキャンまで撮影したので、前立腺は急速に悪くなるものでもないので余り気にしていません。先生も経過を見ますだけでした。前立腺肥大は確実なので、7月数値が高いとその薬を飲まなければなりません。今のところ不調なのはそれだけです。
 
 さて今日は阿久根市の選挙について書きます。最近大阪府名古屋市などで首長と議会の対立が目立っています。阿久根の場合は、市長が議会を開かず専決処分でいろいろ決定していました。最後は国のレベルまで批判的でした。
 
 大阪府の場合も都を目指すと言って大阪市と対立しています。この大阪府大阪市の首長に関する記事などんを読んでも同じ印象を持ちます。それは明らかなポピュリズムです。大衆受けする発言や行動を繰り返して、それによって選挙民の支持を得ていることです。
 
 阿久根の場合は結局市長選で負けてしまいました。新しい市長は即座にこれまでのやり方を変えているようです。おじさんの感じでは、このようなポピュリズムの流れは小泉政権から始まっているようです。確かに話はおもしろいし、何か閉塞感を吹き払うような勢いがあります。
 
 しかし、現実の社会を変えるのはそんなに簡単なことではありません。短く響きのよい言葉で言えるようなことではないのです。政治や行政というものは、膨大なピラミッドのようなもので、簡単に変えられるものではありません。それを無理に変えようとするときっとひずみがどこかで出ます。
 
 大阪市の市長さんもそう言っていました。府知事はどんどん攻めてくるが、答えは即座に出せるものではない、それに簡単に答えてもそれに責任を持てないはずだと言ったいました。小泉さんは政治を短いフレーズでまとめて行きました。じっくり議論したり考えたりするより、そちらの方が分かりやすいのは事実です。
 
 でもこんなに複雑な現代社会の仕組みを短い言葉で言い表せるはずはないのです。たとえば公務員の給与を20%カットすると言っても、公務員給与は人事院勧告を尊重しなければならないし、人事院勧告は公務員の労働基本権が制限されている代償なのです。人事院勧告を無視する法律を作れば、裁判になった時負けるはずです。
 
 阿久根市の場合も市職員の給与が高すぎると言いますが、市職員も勝手に給与を上げたわけでなく、人事委員会なりの勧告に従って長い期間を経過してそうなったはずです。公務員の場合、民間のように景気が良いからと言って給与もそんなに上がらない代わりに、景気が悪くなったからと言って急激に下げることもできないのです。民間の人には理解しにくいかもしれませんが、地方公務員の場合も労働基本権が制限されている代わりのそうなっているのです。
 
 ですから、国家・地方の公務員の労働基本権の制限をはずせば、公務員の給与を大幅に下げることも可能です。しかし、国家・地方公務員の労働基本権を与えることには反対なのです。あれはしたいけれど、これはいやというわがままのような例が本当に最近多いです。
 
 確かに議員内閣制の国の場合は、どの政党が政権を握ってもおもうような政策を実施することは現在の2院制では難しいでしょう。さりとて直接選挙で選ばれる首長が議会を無視してよいということにならないと思います。もし、首長が議会を無視する動きが広がるならば、現代の政治の仕組みは危機を迎えることになります。
 
 閉塞的な現状の中で、何かやってほしい。目に見える形で成果を早く上げてほしいというのは分かりますが、だからと言ってこれまで築いてきたものを壊してよいのかと思います。最近色々なところで自分の考えを優先してこれまでのルールを破るケースが増えています。
 
 このような風潮は、先日あったNHKの番組の陸軍の暴走のように日本を危険な状況に向かわせるでしょう。NHKのなぜ戦争に向かったの分析はとても参考になると思います。終戦から現在はちょうど明治維新から5・15事件が起った時代と同じ年数です。(66年)戦前もちょうど政党政治が混乱した時代です。
 
 それを戦争という形で一気に解決しようとして、全てを失ったのです。なんだか現代の核武装論などと符合していて不安になります。明日は特に仕事もないのでのんびり過ごします。