新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中国経済(ちょっとだけ政治も)に関する雑感

 今日は久し振りに家で過ごしています。明日からは息子も帰ってくるので忙しくなります。天気も気温は低いのですが、晴天でうれしいです。今週金曜日くらいには相続書類の申請などもありそうです。
 
 株価はちょっと値上がりしたのですが、今日はもう利益確定売りで下がっています。今の状況ではとにかく少しでも利益が出たら確定したいという流れのようです。じっくり持って値上がりを狙うという長期投資は、はやらないようです。皆さん、日本経済の先行きに不安があるからかもしれません。
 
 一方中国の方はGDPも日本を抜いて世界2位になったようだし、アメリカでも沢山商品を購入する約束をして、アメリカの経済界から大歓迎を受けているようです。さて、今日は日本の評論家の皆さんの意見についていさかかの感想を書きたいと思います。
 
 いつも書くように、おじさんは経済専門家でもないので、統計や経済理論については素人です。ただ2年半に渡って、同じ場所で中国人の視点から物をみている点だけが強みです。(定点観測)まず、一番注目されている中国の不動産バブルについて書きます。
 
 日本では上海や北京の不動産バブルが指摘されています。同時に今は中国全土で不動産ブームが起っています。そう書くとかっての日本のバブル景気を連想してしまいます。上海や北京のような大都市の場合その可能性は高いです。しかし、日本では余り知られてないのですが、実は地方の不動産ブームには投資でなく、実需の面も大きいのです。
 
 おじさんの周りでも、学生さんの兄弟が結婚したり同僚の先生が結婚したりする話がでています。そんな場合、お婿さんは新しいアパートを購入するのが普通なのです。日本であれば結婚と同時にアパートなりマンションの部屋を購入することはないでしょう。しかし、中国ではそうでなければ結婚をお嫁さんの親から許してもらえないのです。
 
 お金のない人を親にお金を出してもらって購入します。今中国は結婚適齢期の若者があふれています。それに親の結婚願望(子供に結婚してもらいたい)も日本では考えられないくらい強いです。多分家(あるいは自分の姓を残す)を残さなければならないという気持ちが日本以上に強いと思います。
 
 もうひとつは、おじさんの街の場合ですが、古いアパートを壊して建て替える事業をやっています。住むアパートをなくした人が新しいアパートに入るケースも多いです。それに投資で買ったマンションも人に貸しています。都市の場合、結構借りる人も多いのです。(日本のようなURや公営住宅がほとんどないので)
 
 それから、経済格差の問題も多く取り上げられます。おじさんが見ても貧富の格差は大きいです。しかし、今から20年前に比べれば格段に生活水準は上がっています。40代後半の先生は、自分が大学生だった頃は配給切符がないと、食用油も小麦粉も買えなかったが、今は油が浮いた上に食べ物が乗っているような料理を見て隔世の感がすると言っていました。
 
 つまりこの10年間の経済成長をほとんどの中国国民が実感しているのです。それに、日本人は全員が豊かにならないと満足しませんが、中国ではほどほど食べていって、後はのんびりトランプやマージャンをして過ごせばよいと考えている人が多分全人口の3分の1くらいいそうです。
 
 これは全く意外でした。中国では必死に働く人と同じくらい昼間からトランプをしたりマージャンをする人がいます。日本では平日の昼間大勢の人が通りところでいい年の大人がトランプをしたりマージャンをしたりしていたらひんしゅくで、道行く人も軽蔑の眼で見るでしょう。中国では全くそんなことはありません。(中国将棋もやります。)
 
 中国はある種個人主義なのです。他人は他人自分は自分です。日本人の格差意識で考えると勘違いしてしまいます。もちろん大勢今の生活に不満を持った人もいるのは事実ですが。全てではないのです。以前書いたように、ある地方政府が農民工都市戸籍を与える政策を打ち出したのに、意外と都市戸籍をほしがる農民工がいなかった事実もそうです。
 
 日本では、都市に住む農民工都市戸籍がもらえないので、全員不幸で不満も持っていると報道されていたのですが、そうでもないのです。理由はかって日本でも農村から出稼ぎに来た労働者は結局農村に戻って余生を送るのと同じです。(都市戸籍を得ると自動的に農民は農地を失います。農民は農地を失うのを何より嫌うのです。これは日本の農民と同様です。)
 
 最後に、そう考えると中国の政治体制が間もなく崩壊するということはなさそうです。おじさんの観察するところ、中国が大国としてふるまえることを中国の国民は誇りに思っています。今政治体制を揺るがせて国内に混乱をもたらせば、経済力もダウンするし、まして国内が分裂すれば新疆のブドウは大連に運ばれなくなるし、東北地方のリンゴが西南部に届かなくなります。(困るのは庶民です。)
 
 それに大災害(四川大地震のような)のためにの強力な軍隊を維持する必要を感じています。建国60年記念の大軍事パレードに国民は大きな自信を持ちました。(学生さんの反応から)それに、民主制度をとる日本もアメリカもイギリスもそしてEU諸国も経済的な困難に遭遇しています。中国の国民はニュースでそのことを良く知っています。
 
 そう考えれば、合理的な判断として、とりあえず経済成長が続く限り現在の政治体制を不満はあるが受け入れるというのが大半の中国人の考えではないでしょうか。おじさんも日本にいたら、マスコミのいうことを信じたと思います。海外で生活することがいかに大切であるか良く分かりました。
 
 明日は息子が帰ってくるのでその準備です。