新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

「小泉政権」について

 今日は曇り空で1日推移しました。指導学生さんは、大学院入試の山場の記述試験と面接試験がありました。面接試験の報告は結構専門的な質問があったそうです。記述試験ではおじさんが作った予想問題からも出題されて面目を施しました。
 
 株価も日経平均は少し下がりましたが、おじさんの持ち株は少しですが上がりました。日本にいる間に開かれる市場は月曜日だけなので、7月日本に帰ってけりをつけるしかありません。おじさんの印象では企業業績もだんだん回復しているようです。
 
 しかし、日本の政局や海外特に中東の情勢が流動的で何とも言えないところです。さて、今日は昨日買ってきた本から書きます。中公新書で題名は「小泉政権」です。副題は「パトスの首相は何を変えたのか」です。本来の値段は820円なのになんと105円で売っていました。ブックオフでは、本の人気や出版年代を参考に値段をつけています。新しい本は400円で売っています。
 
  この本は2007年の4月ですから、今から4年ほど前の出版です。しかし、この値段ということはすでに小泉さんは忘れられた人になったのでしょう。日本では小泉さんがやめた後、安倍さん・福田さん・麻生さん・鳩山さんと毎年のように首相が交代しました。
 
 これまでの歴史でもなかったことです。菅さんも今の調子では予算成立と引き換えに総辞職ということになりそうです。おじさんはその原因の一つが小泉さんが切り開いた新しい政治手法にあると思います。次々に首相が変わるので国民も政治不信に陥っているところもあります。国際的にも日本の地位の下落を招いています。
 
 今日は小泉政治手法の遺産について少し書きます。この本では二つの側面を上げています。ひとつは「印象的なワンフレーズの活用、善悪の対立構図を強調する政治の劇場化」を上げます。特に「人びとの理性=ロゴスよりも、情念=パトスに訴えるかける」やりかたです。
 
 実は今このような政治手法が広がりつつあります。大阪の知事さんや愛知県のトリプル選挙もこの流れにあります。現在流行になっている「公務員叩き」「議会及び議員叩き」もその流れの上にあると思います。日本人にとって難しい議論より、印象的なワンフレーズの方が受け入れやすいのでしょう。
 
 これはある種政治に無関心であった人に政治に対する興味を持たせました。また政治をわかりやすくした点もあります。しかし、メリット以上に多くの問題をなげかけました。なぜなら政治はそんなに簡単に善悪なり正否を判断できないのです。
 
 さらにこの本ではもう一つとしてトップダウンの手法が特徴であるとしています。これも大阪、愛知、そして落選した阿久根市長などもそうです。日本はこれまで調整型の政治が続いただけに有権者にとって新鮮に映ったと思います。それになかなか決まらない政策にいらいらしていたのでより魅力的だったのでしょう。
 
  しかし、議会がねじれた状態になった場合このようなトップダウンは難しくなります。また、党内で圧倒的な支持がなければトップダウンは難しいでしょう。さらに小泉さんのようなキャラクターでなければ難しいと思います。今話題になっている人も、皆独特なキャラクターを持っています。
 
 いったんこのような劇場型の政治が注目されると地味に政策を作成する政治家の活躍が難しくなります。とにかく敵役を作って、それをワンフレーズで攻撃する政治手法は複雑な利害が対立する問題には向きません。TPPにしても、経済界を敵にして攻撃しても、農村の非効率性を攻撃しても、日本国内に深刻な対立軸を残すと思います。
 
 財政再建や消費税についても、トップダウンでなければ成し遂げられませんが、果たして現在の政治状況ではどちらの政党(自公でも民主でも)も難しいと思います。公務員改革についても本を買いました。こちらは民主党が政権をとってすぐ書かれたものですが、なかなか現在の苦境を見抜いていておもしろいです。
 
 これについても後日報告します。本の名前は「公務員大崩落」(朝日新書)です。今日から明日まで二女と孫っちが来ます。ただ明日から相当寒くなりようです。