新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

おじさんの見た中国人民解放軍

 今日も午前中は片付けです。と言ってもツマクマのお手伝い程度です。昨日は午後から保険や年金、その他資産に関する書類やお知らせの片付けをしました。中国に行っている間何もできないので、そのままにしていたので、いつ満期が来るのか、支払いが来るのかも知りませんでした。8月からいよいよ失業状態に入るので、(就活中ですが)どうなるのか調べてみました。
 
 とにかく64歳になると年金が満額入るし(残り半年)、65歳からはツマクマの個人年金も入ります。昔かけていた、個人介護保険も今は、公的な介護保健があるので、これも取り崩して年金にすると、来年の夏くらいからは、働いていた頃の給与に近く水準に行けそうなので安心しました。それに不良債権の一つNZドル(ニュージーランドドル)もだいぶ戻してきました。
 
 さて、今日は昨日の記事に対してある方からコメントがありました。それは人民解放軍に関するものです。今「日中もし戦えば」とか「本当は強い自衛隊」などという記事や著書、雑誌特集が目につきます。おじさんも、中国に3年間住まなければ、これらの記事をうのみにしたと思います。軍事であっても、実際現地で興味を持って観察しなければ分からにと思いました。
 
 まず、日中が局地的であれ衝突する可能性は0%ではありませんが、ほとんどそれに近いレベルです。もし、衝突する可能性があるとすれば、現地部隊の独走しかありません。かって日本軍は現地の参謀あたりが、勝手にどんどん戦火を拡大しましたが、共産党が指導する中国軍(人民解放軍は長いので以下これでいきます。)では、そんなことはありえません。軍艦には艦長と同格かそれ以上の権限を持つ政治委員が乗船しています。
 
 この政治委員は、軍事のアマチュアでなく、軍人の中から党に忠誠心を持つものが選ばれます。ですから、艦長が政治委員を騙して軍事行動を起こすことなどできません。もし、政治委員と艦長の意見が対立したら、当然政治委員の意見が優先するはずです。
 
 つまり、軍艦が日本の自衛艦に砲撃を加えるとしたら、それは中国共産党中央部の決定なのです。今、そんなことをしたら、中国から外国資本は一斉に撤退するし、外資も投資をひかえるでしょう。中国経済は破綻し、国内は大混乱になります。
 
 それはともかく、中国国民の間では、今でも日本の皆さんが考えている以上に軍隊は人気があります。共産党の教育のせいだという方も読者の方も多いと思いますがそうではないとおじさんは思います。一つは日本の自衛隊と同じで、災害救助などに活躍しているからです。それに、日本以上に民生活動に力を入れています。無医村の多い中国では、軍の病院や医師・看護師などが、医療活動をしています。
 
 その他、困った人や高齢者への援助をしています。それをテレビなどでいつも流しています。二つ目は、アヘン戦争以来長年にわたって列強や日本の支配下にありました。その苦しみやくやしさを知っているからです。もし、軍が弱体化すれば、また外国が攻めてくると考えています。中国人は基本的には個人主義ですが、いざ自国の存亡がかかてくるとなると愛国者になります。国共内戦で国民党が敗れたのは、日中戦争(中国では抗日戦争)で積極的に日本と戦わなかったので、国民の支持を失ったといいます。(庶民レベルの演劇大会でも紅軍・・共産党軍の活躍を踊りにしたものも結構おじさん・おばさんには人気です。絶対外国人が来ると思えないような公園の舞台でやっているのをウオッチしたので、外国人相手のやらせではありません。)
 
 中国で3年間暮らして、本当にそうだと思います。それから、軍人さんと会ったのは、たった1回だけですが、明らかに日本人と分かる私たち夫婦に対しても本当に礼儀正しい態度で接していました。これでも38年間の教師生活で延べ1万人近い人間と接してきたので、さりげない態度で人柄や能力は分かるものです。彼は、日本でいう1尉(大尉)レベルでしたが、外見からみても極めて優秀そうでした。
 
 ですから、軍人特に士官クラスはかなり優秀だと思います。ただ装備については、とにかくミエを張って一流のものをほしがります。それにご存じの通り世界の一流品のマネは大得意です。しかし、今回の高速鉄道の事故のように、ソフト面や運用面では十分使いこなせないと思います。
 
 それから、中国は海洋への進出をねらっていますが、海上戦力の運用には長い経験の積み重ねが必要です。日本の海上自衛隊イギリス海軍の強さは、長い伝統の上に築かれています。軍艦はお金を出せばできますが、それを運用する人間や指揮する人間は10年や20年では育たないと思います。(世界に誇る旧ドイツ軍でさえ、海軍はイギリス海軍の劣りました。フランス海軍も同様です。)
 
 航空勢力についても同様です。かって台湾海峡で台湾と中国の航空戦闘があると中国はパーフェクト負けでした。今はそこまではないと思いますが、やはり圧倒するほどはないでしょう。ただし、陸軍とくに国内戦闘については圧倒的に強いです。ですから、あくまでも中国軍は国内向けの軍隊なのです。
 
 よく中国が日本に攻めてくるとか、沖縄を占領するとかいいますが、海外へ軍隊をある数運ぶ能力は中国軍にはありません。(海外遠征能力)中国が日本を攻める前提には、アメリカも含めて世界中が日本を見捨てる必要があります。今の日本の経済力を考えたらそれはないと思います。(湾岸戦争では小国クエートのために世界は出兵しました。)また、もし、中国が日本を攻めて負けたら、中国の民族紛争が燃え上がり、収拾がつかなくなります。
 
 中国の人は日本人に比べて軍人向きではありません。日本は戦争には負けましたが、中学・高校で集団訓練を今でもしています。大規模校の体育大会(運動会)では全校生徒1000人あるいはそれ以上が整然と分列行進できます。そして、そのための練習をずっとやります。しかし、中国では大学生の軍事訓練を見ていても小学生レベルです。もし、日本の高校生が中国がやっている軍事訓練をしたら、それは見事なものになるでしょう。(中国では小中高で基本的に集団訓練をしません。)
 
 また、軍事訓練には座学もあって、軍事理論の試験もあります。しかし、座学の試験が終わった後軍事理論の本は放置しています。おじさんも記念に1冊拾いましたが、およそ内容は古めかしいもので、写真もなく、挿絵で説明しています。本当にちゃちな内容です。
 
 軍から奨学金を貰っているおじさんの大学の国防生の訓練を見ましたが、グランドで走ると落伍する学生がでます。この国防生はどうも理系の学生さんのようで、およそマッチョな体育系と程遠いです。日本から来たおじさんのようなチャイナウオッチャーの目を欺くためなら別ですが、まあ突然若者を徴兵しても相当大変な気がしました。(日本の若者なら、ちょっとした訓練で優秀な軍人になると思います。)
 
 日本の軍事マニアの人が喜ぶTVの軍事ニュースは誰でも見ることができます(おじさんも暇な時良くみていました、)毎回軍の演習を放送しています。もちろん公共放送ではなく民間のCM付きです。(お酒の会社がスポンサー)ちなみに、この放送局は農村番組と軍事番組中心です。日本ではちょっと考えにくいですね。「明るい農村」の次が「今日の自衛隊」その次が「病気をしない豚の飼い方」のような感じです。
 
 ちょっと独断と偏見に満ちた中国人民解放軍に関するコメントでした。