新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

手詰まりな日本外交

 今日はこの数日と同じで不安定な天気です。東日本は猛暑ですが、おじさんの地方は昼間でもクーラーなしで過ごせます。年金生活に入ったおじさんとしてはとても有難いです。
 
 昨日平和な国日本について書きましたが、今日のニュースではインドでも汚職を怒って大規模なデモが行われているようです。それに、政府の対応もまずくて、政権にとっても危機だと報じれていました。インドは経済成長も著しく、民主主義国家としてアジアでも伝統のある国なのですが、ここでも大変なようです。
 
  それで、今日はなぜ日本だけ汚職が少ないのかについて書こうと思ったのですが、ある方から日本は決して平和ではないとのご指摘があったので、そのことについて少し書いてみようと思いました。
 
 その方が指摘されるのは、北方4島の問題、竹島の問題、拉致問題尖閣列島問題です。これらはいずれも国家主権の問題です。固有の領土の問題や国民の生命安全の問題です。
 
 同時に、この問題は近隣の国々との問題なのです。ロシア・韓国・北朝鮮・中国です。そのうち、旧も含めて共産圏はロシア・北朝鮮・中国で、韓国は同じ資本主義国家なのに領土問題で対立しています。本来はここで台湾が出るところですが、尖閣列島の問題で台湾が日本に妥協することはないでしょう。
 
 同様に北朝鮮が仮に政権交代して資本主義国家になっても、韓国の動きに同調するでしょう。アメリカも竹島問題で日本を応援するとは考えがたいところです。そうなると今時々言われている、軍備拡大が考えられます。もちろん日本が自主防衛する場合はアメリカとの関係が相当難しくなるでしょう。
 
 逆に軍事費削減を狙うアメリカとしては、日本が自主防衛してくれるのは好都合かもしれません。しかし、現在アメリカが担っている防衛力を日本が自国だけでやるとしたら膨大な防衛費がかかると思います。それに航空機や艦船については、アメリカの技術なしには何もできないでしょう。もし、アメリカが航空機について日本への売り込みを拒否したら、今のレベルの航空機を短時間で自主開発するのは難しいと思います。
 
 核の傘から抜けて自国で核武装するとなれば、日本は世界から孤立するでしょう。(それ以前に原発問題で反原子力に流れている国民世論を、核武装へ向かわせるのはちょっと不可能な気がします。)日本が核武装すれば、当然韓国も台湾も核武装するはずです。軍備拡大をするということは、日本だけなら他の国に対して優位に立てますが、他国も黙って日本が強力な軍備を持つのを見ている訳にはいかないでしょう。
 
 ミリタリーバランスとはそういうものです。日本が航空母艦を持ち、爆撃機保有し、核武装をし、陸上兵力を増強するのを見て、韓国や中国が黙って見過ごすことはないでしょう。ある方々はこうすれば、近隣諸国から侮られなくなると主張します。
 
 しかし、近隣諸国としては、かって軍事大国として自国を占領されたり自国領内で戦争が行われた過去を持つのに、黙って見過ごすことはできないはずです。中国にいた時、ごく普通の庶民の方から「中国人はまた日本が攻めてくるのではないかとの危惧を持っている」と聞いたことがあります。対日本の問題となれば、中国は今の反政府的な運動を即座にやめて、全体が一致して日本に向かうでしょう。それは愛国教育とは別のレベルです。
 
 韓国の世論も対北朝鮮強硬策より、軍事大国化した日本への警戒を強めるでしょう。ロシアも同様です。強い軍事力を背景にするなら、東南アジアの諸国も過去の戦争を思い出すはずです。オーストラリアでも、第二次大戦では日本軍によって爆撃を受けていますから、軍事大国日本と協力することは国民感情から言っても難しいと思います。
 
 そうなると軍事力に頼らない外交交渉しかありません。外交交渉はウインウインでなければなりません。たとえ不当だと思っても、相手のあることですから、不当だから返せと言っても交渉にはならないでしょう。実効支配しているのですから、相当難しいです。
 
 自国領土の占領問題としては、フォークランド紛争などが思い浮かびますが、日本であれだけの戦争をするのは無理だと思います。イギリスとアルゼンチンの軍事力の差を考えたからこそイギリスも軍事的解決に踏み切れたと思います。もちろん、兄弟国であるアメリカも応援したことは間違いありません。
 
 竹島でも北方四島でも拉致問題でも尖閣列島でも、軍事的な解決は今の国際国内情勢では不可能です。解決手段があるとすれば、粘り強く交渉することです。黙って見過ごすことはできないが、交渉を継続することでしょう。ただ、最初に書いたように、何らかの妥協は必要です。また、表の交渉だけでなく、秘密交渉も絶対必要です。
 
 以前二元交渉だと言って秘密交渉を中止させたことがありますが、外交交渉は基本的には表の交渉は最後の最後の手打ちのようなものです。外交交渉はにこにこ笑って握手しながら、相手の足をけとばし、口で罵りながら、下で握手するようなものです。それに国民が大賛成するような外交結果はまれです。
 
 国民から殺されるあるいはマスコミから徹底的に叩かれるような結果が本来の外交なのです。(ポーツマス条約に反対する日比谷焼き討ち事件のような あるいはポツダム宣言反対のクーデターのような)
 
 明日から前立腺検査のため検査入院です。土曜日に帰ってきます。