新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

貨幣の物神性

 今日も真夏日です。今もクーラーを入れています。これを書くまで本屋さんに行ってきました。おじさんの住む地域は郊外の住宅街とでもいうところです。中型スーパーもあります。おまけにチェーン店の結構大きな書店があります。それで、何日かに1回ここに本を見に行くのです。
 
 水曜日は経済週刊誌3誌の発売日なので見に行きました。現在起こっている経済問題についての解説はいいのですが、将来どうなるかの見通しは余りあてにならないようです。当然のことですが、相反する意見が出ています。今は世界中の経済が日本化しようとしているので、またぞろインフレ期待論が出ています。これまでは日本だけだったのですが、アメリカもデフレの危険が出てきたので、インフレ期待論が出ているようです。
 
 ところで、最近言われないのでふと思いついたのですが、経済学の授業で(高校公民の授業でもやっているかもしれませんが)「貨幣の物神性」ということを学びました。最初聞いた時何を言いたいのか分かりませんでした。随分考えてやっと少し分かりました。江戸時代にも藩札などの紙幣が流通していたので、何となく貨幣の物神性について分かったいたのかもしれません。
 
 貨幣の物神性というのは、紙幣はそれ自身に何の価値もないが、人々は紙幣を神様のように信じているということです。人々が紙幣を命を掛けて得ようとしているのは、実は紙幣自身の価値ではなく、その背後にある紙幣発行者の信用なのです。
 
 テレビでも銀行強盗は、お札を袋に入れさせます。日本であれば1万円札ということになるでしょう。しかし、アフリカのある国のように煙草を買うのに1箱100万単位の紙幣が必要だとなると、その国では銀行からお札を奪うようなばかな真似はしないでしょう。(お札に何の価値もないからです。)
 
 つまり紙幣のようなそれ自身に価値のないものは、その背後に発行者(普通は中央銀行あるいは政府)への信頼があるのです。信頼はその国の経済力に比例します。経済力のない国では紙幣の価値は低くなります。今円高になって円という紙幣を世界中の人が欲しがるのは、日本の経済力が信頼されているからでしょう。
 
 もし、紙幣に価値がなくなれば、金のような現物に向かうでしょう。現在金の価値が上がるのは、このような理由があるからでしょう。ところで、今はやっている政府紙幣国債の日銀引き受けによる通貨量の増加は、紙幣発行者の日銀や政府に対する信用を高めることになるでしょうか。
 
 もし日本の経済力が強いなら今のような状況にはならないでしょう。もちろん、今はまだ政府や日銀など紙幣発行者の背景にある経済力に余裕があるということもできます。しかし、今どの本を見ても円高不況ばかりです。日本政府や日銀が日本経済を過小評価しているのでしょうか。
 
 これに対する論評はほとんどありません。政府日銀が発行できる貨幣の量は経済力に比例すべきなのでしょう。日本の経済力をどう評価するかは色々な考え方があるでしょう。今日も株価は下落していました。もし、日本経済に通貨量を増大させても貨幣への信頼を落とさないだけの経済力があるなら、株価はあがるはずだと思うのですが。
 
 株価は経済の半年先を予測すると言われています。つまり来年の初めころまで日本経済は下降することを示しています。そのような下落傾向にある経済を背景に貨幣を増大させることが正しいのかなと思います。おじさんは文学部の卒業生で大学院は教育学研究科なので経済知識は常識程度ですから間違っているかもしれません。
 
 ただ常識的には何の裏付けもなく通貨量をある程度(10兆円レベル)増加させることはどう考えてもおかしいと思います。もう一つ最近言われなくなった言葉に「デノミ」があります。以前はデノミによって需要を喚起するという意見もあったのですが、どうなったのでしょう。おじさんは外貨も株式も持っているので、円安になってもインフレになっても安心です。(インフレになると株価は上昇します。)デフレでも年金がきちんと貰えるので安心です。
 
 デノミは単なる通貨呼称の変更なので、経済的には中立的だと聞いたのですが。内需拡大・デノミなど昔はやった言葉がさっぱり出てこないのが不思議です。明日から金曜日は大学に行った後別荘です。土日は子供の家に行きます。月曜日からは中国時代教えて学生さんのところに行きます。次にブログを書くのはいつになるか分かりません。しばらくお休みです。