新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

ハウツー本から古典へ(若者よ古典を読もう)

 今日は朝から膚寒い天気です。曇り空が続いています。いよいよ師走直前と言ったところです。去年の今頃は中国の大学で外国語学院の文化祭や外国人留学生のクリスマス祭、それにスピーチコンテストなどをやっていました。
 
 中国で教えた学生さんは今でも質問をメールで送ってきたり、卒業後進学する大学院でのレポートなどについて質問を送ってきます。ツマクマが教えた学生さんからも時々メールがあります。中国では1回でも授業を受けた先生は一生の先生なのだそうです。
 
 株価は相変わらず低迷状態です。当分は続きそうです。ヨーロッパの財政危機(とうとうドイツ国債でも購入が減少しているようです。)やアメリカの議会の問題(財政問題共和党民主党が対立している)で混乱続きです。政治の混乱は日本だけでなく世界中に及んでいるようです。
 
 こうなるとグローバル化した現代社会では、日本だけが何かをして株価を上げることは不可能なようです。かって1000円以上した企業の株価がいまでは200円台とかになっています。株式を大量に保有している金融機関は膨大な評価損がでると思います。
 
 昨日は午前中は病院(前立腺検査・・少し数値が下がりました。)午後は大学です。難解でなるバルト神学も少しだけ分かってきました。やはり徒然草にもある通り「先立あらまほしきこと」(指導者がほしい)です。先生の解説なしには、全く理解できなかったと思います。
 
 さて今日は古典を読むことの重要性について書きます。おじさんが大学生の頃、国語学(日本語学)というおよそこの世と全く関係ない学問をやっていました。世は大学紛争の真っ盛り、外では学生のシュプレヒコールやデモの声が聞こえてくる中で、読者の皆さんが聞いたこともない「天草本伊曾保物語」(何と信長時代のローマ字で書かれています。)を講読していました。
 
 それで休憩時間に「先生、この動乱の時代にこんなことをやって何か役に立つのですが」と聞きました。すると先生は「○○君(○○はおじさんの名前)すぐ役に立つ知識は、すぐ役に立たなくなります。それに大学は真理を学ぶところで、技術を学ぶなら専門学校へ行った方がいいです。」と言われました。
 
 そのころは半信半疑だったのですが、63歳になった今つくづくそうだったと思います。時々古本屋さん(ブックオフ)に行きます。すると古本で10年くらい前の経済に関する本があります。今でも活躍している経済評論家や政治評論家がいろいろなことを書いています。
 
 しかし、ことごとく間違っているのです。バブルの時代に「これはバブルだから気をつけなさい」と警告した人はほとんどいません。さらに遡れば、不動産こそインフレに一番安心な資産だからどんどん買いなさいとか株こそ資産の中心だとか書いていました。
 
 全てはずれたのにその反省もなく同じ人が、デフレ経済について書いています。それらの評論家が不明を恥じたという話は聞いたことがありません。また政治評論家で言えば、中国崩壊論とか分裂論は10年以上前からでていますが、中国は発展するばかりです。北朝鮮崩壊論も同様です。
 
 なぜ間違ったのかについての論評は残念ながら聞いたことがありません。いつも現在の状況分析ばかりです。それに比べて古典は最低でも50年近い時代をへています。文学でもベストセラーと言われるものが次々に出て消えていっています。
 
 古典は数千年という恐ろしいほどの時間をへているのです。その間社会は変化し人間も変わりました。しかし、社会であれ人間であれその本質は変わらないのです。本当にすぐれたものは、時代や社会を超えて受け継がれていくのです。毛澤東の功罪を最近取り上げますが、それなら是非毛沢東の「実践論・矛盾論」を読んでみてください。
 
 それなりに学ぶことがあります。経済学の古典も同様です。解説書でなく現物を読むべきです。もちろん、解説書を読んで興味をもてそうなものをよんだらいいと思います。宗教書も同様です。キリスト教ならもちろん聖書です。別に初めから終わりまででなく、開いたところだけ読んでもいいです。
 
 聖書が分かると、西洋絵画の世界や西洋文学が良く分かります。先日見たアメリカ映画は、核戦争後のアメリカで一冊の本をあるボスが探しているのです。それさえあれば世界を支配できるというのです。それは「聖書」だったのです。日本では考えられないほど、聖書は西洋文明特にアメリカでは力のある本なのです。
 
 仏教については専門ではありませんが、「嘆異抄」を読みました。「白骨のご文章」も読みました。文学としてはギリシャ神話ははずせません。ヨーロッパのいろいろな名前がこのギリシャ神話を元にしているからです。
 
 思想関係ではニーチェでもキルケゴールでもカントでもいいですから、読むのをお勧めします。漫画で読んでも仕方ありません。難解な文章を苦労しながらよんでこそ力がつくのです。古典もそうです。古典では「平家物語」がお勧めです。日本人の心の古里です。国民文学と呼ばれた意味が分かります。
 
 もちろん古典文学は原文で読まなければ意味がありません。最初はなじみにくいですが、慣れてくると読めるようになりません。ゲームもいいし、音楽を聞いても友人と盛り上がってもいいのですが、1日1時間でも古典を読めば一生の宝になるでしょう。
 
 無人島で一人で生きる時ハウツーものは役に立ちませんが、聖書は役に立ちます。くじけそうな気持を立て直すことができるのです。(これはロビンソンクルーソーのことです。)
 
 明日は用事もないのでのんびり過ごします。