新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

今後の北朝鮮情勢を考える

 今日まで晴天とのことで今日は朝から庭の木の剪定のお手伝いです。明日から週末にかけては、雪が降るとの予想もあります。今週は木曜日の大学の授業が行事の中心です。土曜日はイブ礼拝、日曜日はクリスマス礼拝と続きます。大学の授業も今週で終わりです。
 
 株価の方は極端な薄商いで、少しですが値上がりしました。ヨーロッパの経済情勢も安定せず、年末ということで大きな動きもできないので、相場も様子見といったところです。後でも書きますが、短期的には北朝鮮問題が経済に影響を与えることは考えがたいと思います。
 
 さて昨日に続いて今話題の北朝鮮情勢について書きます。何かある時に、過去の歴史が参考になる事があります。この場合で言えば、秀吉の死後が一番近いと思います。戦国の英雄で信長の場合は謀反の死であり、謀反人がはっきりしていたので、この者を討つという大義名分が立てやすかったと思います。
 
 家康の死の場合後継者がすでに安定的な地位にあったので、スムーズに移行できました。秀吉の場合、秀頼がまだ幼かったので、側近間の争いがありました。(文治派・・実務官僚と武断派・・軍人)
 
 北朝鮮の場合、儒教国家だと思います。儒教国家の場合、政権には大義名分と象徴性あるいは正統性が必要です。正統性の点で言えば、北朝鮮は中国と似ています。中国共産党北朝鮮労働党もその正統性は、人民を解放したという点です。
 
 その象徴が中国では毛沢東であり、北朝鮮では金日成なのです。キム総書記が銅像を作らなかったと言われるのは、その象徴性と正統性がカギだと知っていたからです。中国にいた時、いくつかの大学の正門近くに大きな毛沢東像がありました。
 
 さすがに崇拝する人はいませんが、それを撤去しようという人はいません。ドラマでも中国を解放した英雄として登場します。現代では毛沢東が功罪半ばすることは中国の普通の人なら(インテリでなくても)誰でも知っています。しかし、その業績を否定する人もみません。
 
 キムジョンウン氏について言えば、かれは創業者の孫という正統性があります。ただ象徴性としてはまだまだです。北朝鮮は体制は社会主義国家ですが、現実にはキム王朝による個人独裁国家だと言えるでしょう。となれば、独裁者は象徴でなく、独裁しなければなりません。(現代社会においては独裁はそれなりに大変です。)
 
 独裁者は自ら判断を下さなければ独裁になりません。ということは、それなりの高度な知識と能力が求められるということになります。つまり、金総書記がとりあえず政権を維持できたのはそれなりの高度な知識と政治的能力があったからだと思います。
 
 そうでなければ独裁者は単なる裸の王様です。日本のような豊かな国でも首相が能力不足を理由に辞めさせられるのです。外交のプロであり海千山千の中国やアメリカを相手に一歩も引かないでやり合うには相当の能力が必要です。(日本外交と比較するとよく分かります。)
 
 息子のキムジョンウン氏にその能力がないとなれば、内部対立がひどくなります。現在の政権は行政は党、治安維持は軍ということになります。党が軍を支配する中国と違って、北朝鮮では、指導者が軍にも党にも君臨しているはずです。(どちらかのバランスがくずれると独裁などできなくなります。単にお飾りになるでしょう。)
 
 キムジョンウン氏の手腕が試されるのは、軍と党が対立した時です。安易に軍に協力すると、国際的な問題で孤立します。中国は当然のことながら党を支援するでしょう。党が軍を支配するのが中国だから当然です。人民解放軍と言えども、中国共産党をさし置いて直接北朝鮮軍と手を結ぶことはできないでしょう。
 
 中国でも改革開放政策を行うにあたって、大幅な軍備の削減をしました。鄧小平が軍と党の両方を握っていたからできたのです。(鄧小平は内戦時代に軍の指揮をしていた有能な将軍なのです。)残念ながらキムジョンウン氏には軍を掌握できるほどの権威がないと思います。
 
 どこの軍でもそうですが、キャリアや肩書でなく、どれだけ軍に勤務したかが重要です。そうなると、軍の力を党が抑えられなくなります。ただ軍内部でも派閥があるので、それをうまく利用すれば、何とかなるかもしれません。
 
 結論として、しばらくは党と軍が共同してこれまでの政権運営を継続する。(2年くらい)中国には今まで通り経済協力を求める。6ケ国協議は、指導者の死去と各国の大統領選挙を理由に2年最低でも1年の時間稼ぎをする。2年くらい後キムジョンウン氏の政治能力があれば、独自の政策を実行するということでしょう。
 
 北朝鮮が暴発することはないと考えます。戦争に一番大切な石油を中国が握っているからです。それに以前も書きましたが、もし北朝鮮軍が暴発した瞬間に中国は軍事介入して(北朝鮮国内の中国人と権益の保護を理由に)金正男を首班とする傀儡政権を樹立するでしょう。(韓国・中国あるいは国連の共同統治を認める条件で)
 
 そんなことは北朝鮮軍でも知っているので、中国軍が介入するような事態だけは絶対に避けると思います。今のチキンレースのような瀬戸際政策にキムジョン氏が耐えられるかどうかもポイントです。
 
 いずれにしても、権力継承から権力確立まで北朝鮮情勢からは目が離せないでしょう。
 
 明日は水曜日なので経済週刊誌を立ち読みに本屋へ行きます。