新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

「一流高校→一流大学→一流企業」について考える。

 今日は午前中は晴れていたのですが、これを書いている午後は曇り空になりました。週末は雪との予報です。明日は曇り空のようです。
 
 北朝鮮情勢は意外に落ち着いているようです。株式市況も最初の日こそ下落しましたが、2日続いて上げ相場です。アメリカでも最初の日は下落しましたが、昨日は大幅高だったようです。やはり北朝鮮情勢のカギは中国のようです。中国が安定を望んでいるのに、北朝鮮が独自に何かすることが考えにくいです。
 
 情報管理について日本でも韓国でもいろいろ言われていますが、キム総書記が突然死去するなど全く予想外なので、同じ民族である韓国でもニュース報道が流れるまで全く気がつかなかったと言われます。それほど北朝鮮は情報統制を完全に敷いていたのでしょう。
 
 通信傍受はいつもやっているので、北朝鮮内部が大騒ぎになれば、中・韓・日・米どこかの国がキャッチしたはずです。内部の動揺が少なかったからこそ、情報漏れがなかったのでしょう。暗殺説も出ていますが、これが暗殺だったら、こんなに冷静には統制はできなかったでしょう。
 
 あんな国だけに逆に誰が犯人か、又今後誰が権力を握るのかということで大騒ぎになったはずです。背後関係の調査も早急に行わなければならないからです。中国・韓国などが犯人であれば、その後の軍事介入も予想できるきからです。
 
 さて、この2日間北朝鮮情勢について書いたので、今日は全く別のことを書きます。就職活動もいよいよ本番といったところです。様々なサイトを見ると、「一流大学→一流企業」の流れを批判する記事を見ます。これは何十年も前から少しも変わりません。
 
 以前は学歴無用論などと言うのもあったのですが、さすがに下火です。逆に高学歴を求めて大学進学率はウナギ登りです。生徒数は減少するのに、大学の数は増え続けるので、大学入学が相当簡単になりました。おまけに、大学生の質が問題にされています。
 
 質の低下は当然で、受験生の数が多ければその中から優秀な学生を選べますが、受験生が減少すれば当然質が下がります。団塊の世代などは、膨大な生徒がいたのに大学数が今より少なかったので、その中から一定数を選べば優秀な学生がとれたでしょう。中国でも膨大な生徒から一定の数を選ぶのですから優秀な学生がとれるのは当然です。
 
 次に一流大学を出れば一流企業に入れるかの問題です。今言えるのは一流大学を出ても一流企業に入れないが、一流大学を出てないと一流企業にはほぼ入れないということです。これはおじさんの独断と偏見でなく、先日見た「AERA」でも報じていました。別の週刊誌でも一流企業に合格した大学を調べてそう報じていました。
 
 おじさんは様々なレベルの高校で教えました。一流大学に大勢合格する地域一番の進学校で教えたこともあります。その経験から言えば、一流大学に合格者を大勢出す一流高校の生徒は確かに優秀です。それは勉強だけではありません。
 
 「一流大学への合格者を暗記が上手な要領のよい学生」と揶揄しますが、実際は暗記だけで大学入試に対応できるものではありません。一流大学に合格する(特に国公立大学の場合)にはまず暗記が不可能に近い数学をやらねばなりません。
 
 確かに多くの問題を解くことで解法を学ぶことができますが、数学でも高2・3年で学ぶ空間図形・数列や微分積分に至ってはひらめきがなければ無理です。さらに英語でも単に機械的に暗記すれば問題が解けるものでもありません。さらに、勉強時間も毎日4時間とか5時間やらなければ合格は無理です。
 
 つまり一流選手はそうでない選手の何倍も練習をすると言います。一流の高校の生徒はそうでない高校の生徒の何倍も勉強します。そこでは自分に勝つ強い意思がなければ不可能なのです。もちろん中には天才的なひらめきの生徒もいます。そのような生徒はもちろんほんのわずかです。
 
 それに一流の大学の場合、勉強のレベルも高いです。一流の大学に行った学生に聞くと、洋書(外国語で書かれた本)を毎回何ページも読む授業があると言っていました。自分も相当自信があったが、それ以上の学生がぞろぞろいたといいます。予習しないで行くと恥をかいたといいます。
 
 さらに、そのような高校の生徒は指導力もあります。何か学年でする場合でも、誰かがリーダーになるとすぐ別の人間が「それなら俺がサブをする。」と申し出てくれます。企画力もあります。体育大会の会議で何も意見が出ず黙ってしまうことも少ないです。
 
 その高校では体育大会の予算として300万円使いました。最初30万円の間違いかと思ったのですが、どう見てもそうでした。また応援も教師が全く指導しないのに見事な演技を自分達だけでやりました。また体育大会後の打ち上げでも、大騒ぎはするが限度をわきまえたいました。(統制がとれている)
 
 一流企業は最近では出身大学だけでなく、出身高校も見ると聞きました。そうかもしれません。大学では遊んでいても、やはりどこかで本気で頑張った連中は力があります。ところで一流企業でなく中小企業も目指せといいます。
 
 もちろんそれは間違いではないのですが、おじさんが見聞するところでは、その待遇の差は余りに大きいです。給与以上にボーナスや退職金、ひいては企業年金に至るまで大きな差があります。学生はもちろん両親が一流企業を目指すのも当然です。
 
 評論家以上に社会で生活している両親はそのことを知っているはずです。おじさんが教えた生徒さんの保護者のほとんどは皆大学を出て一流企業に入ることを願っていました。現代の潮流は自己実現とか夢を目指すとかいうことです。ですから、古典的な「一流大学→一流企業」推奨するのはマスコミ的にはやらないのかもしれません。
 
 しかし、企業幹部はもちろん、「一流大学→一流企業」を批判するマスコミ幹部も評論家も自分の子供にはきっと東京なら私立中学から名門私立高校を目指しているはずです。もし本当に「一流大学→一流企業」が無意味なら、一流大学受験者が激減するはずですが、そうはなっていないようです。
 
 何十年も続くこの批判を見る度にうんざりした気持ちになります。明日は大学の今年最後の授業です。