新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

新姨捨山ー世代格差論について

 今日は朝方雪まじりだったので、午後には本格的に降るかと思ったら、意外や午後から晴れ間も見えてきました。今日もツマクマの電気治療がありました。多分今週一杯くらいで治療の目途がつくと思います。
 
 それで、昼食は以前聞いていた韃靼そばを食べに行きました。車で30分くらいのところです。新興住宅街の真ん中にあって、普通の住宅を改造した感じです。夫婦二人でやっているようで、なんだかそば打ちの趣味が高じてお店を開店したような感じです。
 
 そんな住宅街の真ん中ですが、結構お客さんが来ていました。全体で収容人数は20人といったところでしょうか。ツマクマは冷たい韃靼そば尽くし(ざるそば・おろしそば・そばがき)で、おじさんは韃靼かけそば定食を食べました。こちらはそばと小鉢といなり1個にそばがきです。
 
 それぞれ千円ちょっとの値段で量も結構あって満足しました。ツマクマはこれで4回目なのだそうです。女性だけでなく、女性連れの男性も来ていました。こちらは、大盛りにビールなので、さすがだと思いました。
 
 さて、最近世代間の格差が話題になっています。若者に比べて高齢者が優遇されすぎているという意見や社会保障費の増大が財政破たんにつながるという議論です。もちろんそれは間違いないのですが、やや扇情的に扱われている節があります。
 
 このままでは、高齢者は邪魔者扱いの雰囲気です。それを強く感じたので、今日取り上げることにしました。タイトルの姨捨は有名な「姨捨て伝説」(おばすてでんせつ)から来ています。良く知られた話で、出典は古く大和物語にでています。(平安期の歌物語です。)それをモデルにした「楢山節考」(ならやまぶしこう)は映画になりました。
 
 内容は、貧しい男が妻から言われて育ててくれた伯母さんを山に捨てに行く話です。その背景には農村の貧しさがありました。口減らしのために、役に立たない老人を山に捨てたのです。もともと東アジア諸国(中国・韓国・日本など)は儒教国家なので、孝という概念を大切にします。日本でも敬老の日と言うのがあります。しかし、豊かな現在では少し事情が変わってきたようです。
 
 先日あるサイトを見てびっくりしました。もちろん今のままだと社会保障費が増大して大変なのは分かるのですが、信じられない意見がでていました。サイトは皆さんもご覧になるとよいと思いますが「アゴラ」というサイトです。
 
 このサイトは実名で投稿するのですが、ちょっと過激な意見が多いのです。先日は度を越した意見でした。タイトルは「選挙権返上の提案」というものと「生き方を少しだけ変えれば日本人は幸せになれる」(後編)です。
 
 前者は年金を受給するようになったら、選挙権を返上するか、年金を受給せず、選挙権を維持するか各自が選択すべきだという論理です。くわしくはサイトをご覧なればよいと思います。ただ言えることは、年金受給と選挙権は全く別のことだと思うのです。
 
 著者の考えは最近ネットでも良く書きこまれている、高齢者は得をしている、それは選挙で高齢者の投票が多く、将来はさらに高齢者の数が増加し、高齢者有利な政策が行われる、だから高齢者の選挙権を制限すべきであるという考えから来ています。
 
 読者の方でそうだという考えも結構ですが、そのためには憲法を改正しなければなりません。選挙権についてはただ20歳以上という制限しかついていないのです。そもそもご存じのようにかって選挙権には男女の別や納税額によって制限があったことは知られています。それが、男性の大人であればだれでも選挙できる普通選挙が行われたのが戦前の話です。
 
 女性まで拡大したのが戦後改革です。それを戦前の普通選挙以前まで遡らせようというのですから驚いてしまいました。それに法の下の平等にも反します。戦後の新しい日本は、基本的人権の尊重を柱にしています。高齢者だからというので、権利に制限をする発想自身が極めて危険だと思います。
 
 法律論は別にして、人間として先輩を敬うのは当然でしょう。高齢者にしても確かに預貯金も多く年金も沢山もらっているかもしれませんが、それは違法なことをして手に入れたものではありません。法令法規に則って受給しているのです。
 
 後者は高齢者は日本にいると医療費や生活費などかかるので、生活費の安いベトナムに移住してはどうかという意見です。一見もっともに見えますが、それが世論となって、生活費の安いベトナムなど海外で住まないとなんだか申し訳ないようになるのも困ります。
 
 若い方でも海外に行くのをいやがるのに、適応能力の落ちた高齢者が外国で暮らすのは難しいと思います。もし、海外で暮らすとしたら、中国以外は無理です。台湾でもいいです。実は海外に行って(ヨーロッパやアメリカに行った経験から)で一番困るのは当然ですが言葉が通じないことです。
 
 特にベトナム語など読む・聞く・書く・話す全てが高齢者には不可能でしょう。それに歴史も文化も全くしらないのです。それに比べて中国にいてとても助かったのは読むことだけはできることだったのです。もちろん簡略体なので少し慣れるのに時間がかかります。
 
 おまけに、中国の歴史や社会はベトナムよりなじみやすいです。三国志などは高齢者でも良く知っています。さらに良い点は、中国は儒教社会、それも孝を一番大切にする国です。いや中国は反日だと言いますが、高齢者に向かって反日的な言動をすることは考え難いです。(まあ心配なら行かなければよいのですが)
 
 これもある記事で読みましたし、以前から知っていたことですが、中国が外国と交流する時、どのような呼び方だったでしょう。歴史の本には朝貢外交と書いてあります。これは侮辱的な外交だと言う人もいますが、内容は中国は下手に出る者にはやさしいということでもあります。中国側は献上した以上の品物を与えるのが朝貢外交なのだそうです。(中国では今でも客に食べ切れないほどのごちそうを出すのが常識です。)
 
 逆に上手に出て抑え込もうとするものには強く反発するようです。高齢者のように誰が見ても弱者であるのに、さらにそれをいじめるようなことは考え難いです。おじさんの経験についてはこれまで書いた通りです。博物館などの割引も特別な入り口での購入も皆、日本人であっても全く非難しませんでした。
 
 バスやモノレールでも日本語で会話する(一般の中国人には韓国人も日本人も区別できませんが少なくとも外国人)高齢者に席を譲ってくれます。もし中国に老人ホーム等の施設を作ったらそこで働く若者は高齢者を大事にしてくれると思います。
 
 観光地も中国人ツアーと一緒ならとても安いです。それに、街の高校生や大学生で日本語を勉強したい者のために、日本語教師ボランテイアをすれば喜ばれるでしょう。(中国では日本語を勉強したい人は大勢います。)雲南や四川、貴州省あたりは、日本の沖縄と同じくらいの気温でとても過ごしやすいです。
 
 とにかくベトナムに行くよりはいいでしょう。それよりも、日本の高齢者は自分の住み慣れた場所で最期を迎えたいはずです。管さんが、消費税を上げて介護を充実させ、若者の就職難の解消につなげると言ったのも一利あると思います。
 
 高齢者についても、孫のため、日本の将来生まれる子供たちのために、あなたがたの年金を減らして子育て支援に使いたいと言えば納得してもらえるでしょう。そうでなく、高齢者は楽しく暮らして、若者が困っている、だから高齢者から権利を取り上げるべきだでは、納得しないと思います。
 
 年金生活を始めて分かったのですが、経済的になかなか大変です。転職をしたり、事情で失業が長かったり、自営業や零細企業に勤務したりして年金が少ない人も多いと思います。そのような人は年金も少なく、年金を一律に削減されたら生活が大変だと思います。
 
 解決策は色々思い付きますが、何をしても必ず痛みを伴います。その覚悟がなければ、解決は難しいと思います。ただ今のような高齢者バッシング(既得権益・食い逃げなどの軽蔑的な表現にも表れています。)だけでは、高齢者も意地になって、若者への協力をしないでしょう。
 
 組織は外部からでなく内部対立によっておこります。財政破たんの前に、国民の信義の心が破たんしてしまうかもしれません。
 
 明日は病院に検査に行ったり、親戚(義弟)が来たりします。