新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

論語から現代社会を見る。

 今日は朝から雪との予報だったのですが、降りませんでした。おかげで助かりました。今日は定例(3ケ月ごと)の前立腺の検査の日です。半年前から薬を飲んでいます。自覚症状はないのですが、前立腺肥大は間違いないのでおじさんとしては予防の意味で飲んでいます。
 
 その後ツマクマが中国語会話を勉強しているので送って行きました。そんなこんなで今日も半日終わりました。夕方には義弟が来るので御迎えに行きます。義弟と言ってもおじさんより一つ年上です。関東の方に住んでいて実家がこちらにあるのです。
 
 さて、今日は現代社会を孔子様の論語の言葉を使って考えていこうという試みです。論語が最近中国でも日本でも読み直されています。社会が行き詰っているのは、中国でも日本でも同様です。そんな時、古典のことばをもう一度紐解くのもよいと思います。
 
 論語には沢山話があるのでいくつか選んで書きます。まず、「兵・食・信」の教えから考えてみましょう。現代日本が歳出削減をしなければならないのは国民共通の理解です。ある時弟子が孔子に政治とは何でしょうかと聞きました。孔子は「兵を十分にし、食を十分にし、国民に信義の心を持たせるべきです。」と答えました。
 
 弟子はさらに、どうしても一つ減らさないといけないなら、何でしょうかと聞きました。孔子は「兵を去らん。」つまり軍備を削減せよと言いました。次はと聞くと「食を去らん。」と言いました。最後に「人間には皆死がある。民に信義の心がなければ国は成り立たない。」といいました。(民信なくんば立たず。)
 
 自主防衛や防衛力強化を主張する方には申し訳ないのですが、孔子様はまずお金がないなら(やむを得ずんば)軍備を縮小しなさいと言っています。次に食、現代風に言えば経済でしょうか、あるいは豊かな生活と言ってもいいでしょう、それを減らしなさいと言っているのです。
 
 一番大事なのは信義の心であると言っています。小泉改革のべースである新自由主義経済は自己責任、競争主義を主張しました。その結果明らかに信義に反することが起こりました。最近では某電機メーカーは防衛省の委託生産費を水増しし、某企業ではアメリカで法に反して膨大な罰金を支払うことになりました。ちょっと前は有名企業内で決算の操作が明らかになり、企業の創業者の息子さんがギャンブルで億単位のお金をすってしまいました。
 
 官から民へと言いますが、民に任せればすべてOKというわけでもなさそうです。官を騙す民もいるようです。次も新自由主義と反対の孔子様の言葉です。ある時弟子が先生、一言で一生貫き通せる言葉がありますかと聞きました。孔子はそれは「恕」(じょ・・思いやりの心)であると言いました。(「それ恕か」)また「夫子の道は忠恕のみ」とも言っています。立派な人の道は思いやりの心であるというのです。
 
 自己責任の原則によれば、自分のことは自分が責任をとる、他人は他人ということになるのでしょう。そうではなく、互いの思いやりの心が一番大切なのだということです。がれき処理でも、各地方自治体が互いに分担して処理すれば復興も進むでしょうが、住民が迷惑だと言って断っている限り、復興は難しいでしょう。
 
 最後は「学びて思わざればすなわちくらし、思いて学ばざれば則ちあやうし」です。最近ブログを見るときちんと本を読んで勉強せず、サイトの受け売りの記事が多いです。何でもネットの記事を信じてよいものではありません。いつか書こうと思いますが、何冊も本を読んで勉強し、先生に質問して意見を持つならよいのですが、ネットのウッキーペデイアくらいを見て分かった気になっている人も多いです。(と言っても最近は売らんかなで扇情的な内容の本や週刊誌も多いです。)
 
 中国の学生さんは、日本の本を手に入れることができないので、発表をお願いすると皆ウッキーペデイアの引用でした。もちろんおじさんもそれしか見れないので、すぐにああウッキーペデイアの引用だなと分かりました。確かにヒントを得るにはとても便利です。しかし、そこに書かれているのは様々な学説の一部なのです。
 
 それを手掛かりにさらに図書館などで調べてもらえるといいのですが、(日本の場合)なかなかそうはならないようです。ITが進歩した時代だからこそ、自ら本を読み他人の意見を聞いて自分の考えを持たねば極めてあやういことになりそうです。
 
 論語は2000年以上前の本ですが、2000年以上の年月様々な社会、様々の文化を乗り越えて現代に生きているのです。そこには時代や社会を超えた真実なものがあると思います。カビのはえた古典だと思わず読んでみるとおもしろいと思います。
 
 明日は義弟が隣の町は行くのでJRまで送っていきます。