新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中国の大学生に何を教えるべきか。ー日本概況について

 今日も雨でした。どうも1日中雨が続きそうです。ツマクマは次女のお手伝いのために次女の家へ行きました。昨日のブログは好評でうれしいです。
 
 と言っても毎回読者のみなさんに喜んでもらえるものばかりではありません。そもそもこのブログはおじさんの教え子さんや知り合いでありながら会えない人のために、今考えていることをつづったエッセイのようなものです。論文や評論のような確かな根拠はなく、とりとめもなく書いているものです。
 
 経済の方は不安定の中の状態です。ギリシャの方はとりあえず一段落ですし、アメリカ経済もとりあえず落ち着いています。日本のGDPはダウンしましたが、今年は復興景気もあって、少しは盛り返すでしょう。政治の方は相変わらず野田政権は不支持が多いですが、対抗馬の自民党も今一つ盛り上がらないようです。
 
 維新の会の政策も発表されているようです。きちんと出た所でまたブログに書きたいと思います。とりあえずブログや評論家のコメントを見ると、期待はずれの意見が多いようです。おじさんもブログや評論家の意見に近いものです。
 
 さて、そんな話とは程遠い話しを今日は書きます。半年ほど前まで、中国の大学で教えていました。3年間教えたのですが、3年間継続してやった科目に「日本概況」という科目があります。これは日本事情を教えるものです。大学からは何を教えても良いと言われました。
 
 それで、色々教えました。今考えるとそれで良かったのだろうかと思います。皆さんなら中国の大学生に日本のことを知ってもらうため何を教えるだろうかと考えてみました。とりあえず教えた内容を書いてみます。
 
 初年度は日本の地理を簡単に教えて、その後日本の歴史を教えました。初年度なのでどのくらい深く教えるべきかについて迷いました。それでも、中学の歴史の時間程度はと思ってちょっと詳しくやりました。一番歴史認識の異なる近現代のところで、学生さんの反発を買いました。
 
 もちろんそれが大学の学部で問題になったりすることも、他の授業で反発を買うこともなかったのですが、他の中国人の先生から、中国は日本と戦争したし、そんことを皆忘れたわけでもないので気を付けてくださいと遠回しに注意されました。学生さんは先生であるおじさんに直接失礼なことを言ったりはしませんが、内心では不満があったのかもしれません。
 
 それに懲りて、次の年からは歴史の近現代のところは事実だけ述べることにしました。その代わり地理の方を詳しくやりました。各県ごとの特徴を学生さんに調べさせて発表をさせたりしました。これは問題がないのでうまくいきました。
 
 前期はそれと日本の年中行事などをやりました。年によっては、日本人の食生活などもやりました。醤油で煮たレンコンなどを食べてもらいましたが、やはり濃い味を好む中国の学生さんにはあっさりした和食は余り好評ではありませんでした。
 
 話は違いますが、今中国ではカレーライスを流行させようとスーパーでもカレーの素を販売しています。大学の食堂でもカレーライスがあります。ただ値段の割には全くおいしくありません。(日本のカレーの味とも違います。)学生さんがマンションに来た時にカレーを食べてもらったのですが、不評でした。
 
 伝統文化について教えた年もあります。茶道・華道・武道(柔道や剣道)・相撲・歌舞伎などです。剣道は校内の竹やぶから竹を拾ってきて学生さんと立会をやってみせたこともあります。これは好評でした。柔道はオリンピックでもやるので分かるのですが、剣道はちょっと理解しにくいようだったので、やってみせました。
 
 マスコミや産業についてやったこともあります。産業では古い新聞の株式欄を使って株式投資についても教えました。資本主義国ではないので、会社組織については余り知らないようでした。日系企業に就職することもあるので、会社の仕組みについても教えました。(「OL日本」というドラマも見ました。)
 
 最後の年は日本の政治の仕組みについても教えました。中学の公民程度です。実はある中国の大学院の入試問題に、日本の国会議員の数とか任期について出題されていたので、教えることにしました。ところで毎年教えたのが、日本の精神文化と社会保障制度です。
 
 日本の精神文化は後期の授業の中心です。アミニズム・神道・仏教・儒教などについて時代との関連で教えます。学生さんが興味を持ったのは神道でした。中国には全くない考え方なので興味を持ったようです。武士道に興味を持った学生さんもいます。教育制度と教育問題(不登校・いじめ・引きこもり・ニートなど)もやりました。
 
 学生さんによれば、不登校や日本でいういじめのようなものはないそうです。社会保障制度は中国ではこれから発達しなければならないので取り上げました。学生さんの家庭の状況を報告してもらったのですが、様々でした。まだ社会保障とは何かすら学生さんは理解できてないようでした。学生さんは、そんなものよりアニメとか芸能について知りたかったようですが、一応大学の授業なのできちんとやりました。
 
 別の中国人で日本に留学した先生は、学生さんの望むものをやっても(授業でアニメや日本のドラマを見る)かまわないのですよと言われました。おじさんは旧世代の人間なので、ちょっとそれはできませんでした。今はどなたがやられているのか知りません。
 
 おじさんがいた大学の学生さんは結構レベルが高いので、そんな授業でも付いてきてくれました。試験問題も結構難しかったのですが、皆さん良くできていました。中国の学生さんは先生が教えたことを良く覚えています。
 
 今でもあれで良かったかと思っています。読者の皆さんだったら、日本の事情を教えるのに何を取り上げるでしょうか。ちなみにおじさんの大学のレベルは日本の旧帝大のちょっと下くらい、地方のまずまずの大学と言ったところです。
 
 明日は久しぶりに繁華街に出てみるつもりです。