新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

韓流ドラマ論ー歴史物を中心に

今日は午前中晴れていたのですが、午後から急速に曇ってきました。明日の予報は降水確率90%でした。ツマクマは明日から次女の家にお手伝いに行きます。日曜日に中国の大学の学生さんがおじさんのところに来ます。といっても、彼女は鹿児島にホームステイしているので、高速バスで別の大きな町に日曜日くるのです。

 日曜日の夜に来て、その日はその街のホテルに宿泊し、月曜日におじさんの家に来ます。彼女が宿泊するのは、次女の住んでいる町なので、日曜日までツマクマは次女の家に滞在します。

 その学生さんは交換留学で東北地方のある大学に来ています。今大学3年生です。単位交換制度で、日本の大学の単位がそのまま中国でも認められて、7月に中国に帰ると9月から大学4年生になります。

 その学生さんをおじさんは教えたことはありません。ツマクマが2年生の時、日本語会話を教えたのです。以前書いたように、中国の大学は融通無碍(ゆうずうむげ)なので、短大卒で、日本語教師資格がなくても適任だと思えば教えることもできるのです。(授業の名目はおじさんで、手当はなしです。おじさんの代行ということです。)

 さて今日は最近はまっている韓流ドラマについて書きます。韓流ドラマについては、反対のデモまで起こるほど韓流ドラマ嫌いの人がいるほど好き嫌いが激しいようです。おじさんの考えでは韓流ドラマが嫌いな人は見なければよいだけです。日本の民放の別の番組では、ひどい内容のものも多いです。

 もし、韓流ドラマをカットしたら、中高年の女性から大変な反発が起こるでしょう。おじさんの家でも90歳の義母と60代のツマクマが韓流ドラマの大ファンです。ツマクマの友人たちも皆大ファンでDVDを貸し借りしています。

 その影響でおじさんもまれに韓流ドラマを見ていました。と言ってもおじさんがこれまで見たのは「冬ソナ」と「チャングム」です。「チャングム」は確かにおもしろかったです。今見ているのは「トンイ」と「チュノ」です。どちらも時代劇です。

 さて韓流ドラマについていささか思うところを書いてみます。韓流ドラマは現代もの・時代物どちらにも共通しているのは、激しい情熱です。若い方は激しい情熱などウザイと思われるでしょうが、中高年の人には魅力的なのです。簡単に言えば一途(いちず)に何事にも打ち込むのです。

 それは恋愛だけでなく、主君に対する忠誠心についても同様です。日本人は欧米人だけでなく、同じ東アジアの中国・韓国人に比べても感情表現が少ないです。やはり感情を表に出すのははしたないと考えているのでしょう。

 次に、時代劇の中でも特徴的なのは、女性の果たす役割です。トンイでは、主人公は賎民の出身ながら王の側室になり、その子は後に王になります。日本でも庶民出身の女性が将軍の側室になったりはしますが、韓流ドラマのように家来を巻き込み権謀術数を尽くして権力を握ろうとしたりはしません。

 それがドラマの中心なのです。日本でも薩摩藩お由羅騒動などと言った跡継ぎ問題がありましたが、それがドラマになることはないです。女性が政治の表舞台にでることは日本の時代劇の場合ほとんどありません。(「篤姫」などは例外です。)

 それも韓流時代劇の場合、一種のサクセスストーリーなのです。困難を乗り越えながら、自分の知恵と力で目的をはたしていくのです。ある種痛快なほどです。それに、勧善懲悪が貫かれています。ただ悪代官のようなちゃち存在だけでなく、政権をかけた権力闘争のイメージが強いです。

 今ひとつおもしろいのは、その権力闘争に中国が必ずからんでくるのです。直接中国と対決する場合もあれば、中国がどちらか一方の勢力を応援する場合もあります。もちろん中国が応援する側は悪者の側です。中国は時代によって唐であったり清であったりします。

 外国が政治闘争にからむことがない日本とは決定的に違う点です。韓国の歴史ドラマで日本で放映される場合、当然のことながら反日的な内容を放映することはないでしょう。ですから、時代劇でも日本はほとんど出てきません。やはり韓国は歴史的に中国の支配下にあったので、そのことがドラマの根底にあると思います。

 ドラマは韓国人の標準的な歴史観に基づいているので、やはり韓国人は基本的に反中国感情が強いと思います。現在は経済的な交流が深いので、取りあえず仲良くしていると思います。北朝鮮も基本的には韓国人と同じ対中国観を持っているはずです。

 「チュノ」は奴隷制度が物語の底流にあります。これも日本では珍しい設定です。日本でも山椒大夫のような人買いがいたのですから、奴隷に相当する人がいたはずです。遊郭の遊女も基本的には人身売買なので、一種の奴隷制度と言えるでしょう。

 しかし、日本の時代劇では、このような奴隷制度がドラマとして取り上げられることはほとんどありません。チュノの中では身分制度は天が定めたものだというセリフがあります。日本の身分制度同様、当時の人にすれば身分制度は当たり前のことだったのでしょう。

 逃亡奴隷を捕まえる専門の人もいたようです。アメリカの賞金稼ぎの感覚です。これもチュノの重要な内容なのです。日本では時代劇の中ではほとんど英雄の活躍と言ったところですが、韓流ドラマの場合は別の社会的な問題が取り上げられています。

 ストーリーの作り方もとても興味深いです。次回どうなるのか、毎回どきどきして見ています。日本のマスコミでは余り評判になりませんが、一度トンイを見るのをお勧めします。BSなので、ちょっと見るのが難しいかもしれません。日曜日の夜9時からです。チュノは月曜日から金曜日までの午後1時から民放でやっています。

 ツマクマは日曜日の夜11時からのNHKでやっているイサンも見ています。今まで韓流ドラマをご覧になったことのない方で歴史に興味のある方は一度ご覧になってみてください。

 明日は雨のようなので、のんびり家で過ごす予定です。