新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

週刊誌の高校別大学進学数の記事に思う

今日は午前中は雨でしたが、午後には上がりました。株価の値下がり幅は小さくなりましたが、7日連続の値下がりのようです。今日は水曜日なので経済週刊誌を見てきましたが、今回の円高株安とを予想しない記事が載っていました。

 政治だけでなく、経済においても一寸先は闇のようです。さて今日は先日見たブロゴスの記事についてです。その記事では、週刊誌が毎年取り上げている高校別大学合格数について書いてありました。。この特集は何十年も前からやっています。

 それも大々的にやっているのは、サンデー毎日週刊朝日です。両週刊誌ともその親会社は毎日新聞朝日新聞です。どちらの新聞社も教育については自負するところがあります。もちろん、進学競争には反対だと思います。しかし、子会社とでも言える週刊誌では全く別の方針です。

 ところでブロゴスの意見ですが、高校の大学合格者数の掲載については肯定的です。つまり企業でいう経営実績と同じように考えているのです。だから進学者数を上げるよう努力することは良いという意見です。高校の場合、中学と違って義務教育ではありません。各学校がそれぞれ独自の教育方針を上げて教育をしています。(私立だけでなく公立も同様です。)

 ですから、その成果を上げなければ意味がありません。簡単に言えば進学者数が上がらないと、受験生が増えないし、受験生の学力も低下するということです。もちろん、教育方針には進学率を上げるというようなことは書いてありません。遠まわしに書くところがほとんどです。例えば、生徒の進路希望の実現を目指すなどです。この場合早く言えば、大学への合格を目指すということになります。

 東京などの大都会では、私立大学でも早慶や六大学などのような名門があります。地方では私立大でめぼしいところはありません。ですから、必然的に国公立の進学者数でその高校の評価が決まります。中学から進学してくる生徒も、その高校の進学実績を見て受験してきます。

 義務制の時代までは、学校は人格の育成とか生きる力を身につけさせることを教育方針とし、進学校への合格を目指すなどとは言いません。しかし、高校に入る段階でそのような建前はあっと言うまになくなります。その落差は大きいです。

 おじさんがある進学校に勤務していた時、中学によって合格率が大きく異なりました。ある中学は受験生がほとんど合格するのに、別の中学ではかなりの数の受験生が不合格になるのです。高校の場合こんなことはありません。事前にきめ細かい進路指導(受験校の決定)をして、少しでも不合格者を減らすのです。

 ある時、中学の先生にそのことを聞いてみると、中学では合格率は学校や教師の評価に関係しないと言っていました。進学校の場合、教え方の悪い先生については、校長のところに、保護者から文句が来るそうです。考えてみれば、学区内の生徒は全員その中学に入学するので、そうなのかもしれません。一方では、もし中学の学区制がなくなって自由に選べるようになれば、そんなことは言っておられなくなるでしょう。

 進学校への合格者数や合格率でその中学の評価が決まると思います。それにあわせて、その中学へ進学しやすい小学校の入学者が増えるでしょう。大都会で私立中学がになっている役割を今度は公立中学が担うことになります。

 大阪での学校撤廃は多分教育の建前の部分を壊し、本音の部分がでてくると思います。それは義務教育のレベルでよいのかという問題になります。近くの子供と一緒に勉強したり、遊んだり、いたずらしたりすることがとても大事だとおもうのですが、どうでしょうか。

 どこの小学校に行くか自由になれば、子供の意志とは別に親の意志で、近所の子供と別の学校に行くこともおこるでしょう。マスコミの大学進学者数の掲載は、それを願う読者がいるからでしょう。自分の出身校が今どのくらいのレベルか知りたいのだと思います。

 学歴無用論とか学歴より手に技術だとか、名門大学から大企業へのルートの否定など、マスコミやブログでは取り上げられますが、それは建前では本音は進学校から名門大学、大企業の安定したルートを大多数(少なくとも週刊誌の読者は)の国民は願っているのでしょう。

 もちろん中国でも名門高校とそうでない高校がありました。名門高校は堂々と大学進学率を売りにしていたし、その高校に入学するための塾も家庭教師もありました。東アジアは韓国も含めて学歴社会なのだと思いました。

 明日はいよいよ大学院の科目履修生として講義を受けます。大学ならよいのですが、見栄をはって大学院にしたので、講義についていけるか心配です。明日は帰りが遅いのでブログはお休みです。金曜日に講義の報告を書きます。