新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

異業種参入について考えるー某芸能会社社長解任を通して

今日は朝から晴天で、午後にかけては夏日のようになりました。土曜日から来ていた次女と孫は今日帰りました。天気が良いので、蒲団を干したり、水曜日の仕事の準備をしたり、学生さんの修士論文の添削などをして、一日過ごしました。

 ヨーロッパ危機はまだまだ続いているようです。株価も下落しました。北朝鮮の指導者交代もテレビ報道などをみると、政治姿勢の変化がみられるようです。これから若い指導者の政治運営が注目されます。今年は、選挙の年で各国に変化が見られます。

 台湾では中国との交流を推進する現指導者が勝利しました。韓国総選挙では野党有利の事前予想にも関わらず、与党が勝利しました。まもなくフランスの大統領選挙も行われます。中国の指導者交代やアメリカの大統領選挙など、これからの数年間に影響を及ぼしそうな選挙や交代が続きます。日本では相変わらず、各自が勝手なことを言って少しも先に政治も経済も進まないようです。

 ブログなどのサイトでは元気の良い意見が書かれていますが、現実としては日本は世界から取り残されているような気がします。このことについては又書きます。

 今日は、最近よく規制緩和をして、参入を容易にしろという意見を見ます。小泉改革では規制緩和こそが、社会を活性化する道だと言われました。できるだけ参入障壁を低くして、誰でも参入することで皆競争し、社会が良くなるという考え方です。

 おじさんはその考えに疑問を持っています。おじさんたち教育界でも随分前から民間出身の校長を作ってきました。高校だけでなく、中学などでも作りました。また最近では大阪の府立高校でも前知事の友人の民間出身の校長が話題を提供していました。それについては、最後に考えを書きます。

 おじさんの街でも、介護事業が拡大する過程で、建築業者から介護事業に参加するケースも見られました。テレビなどでも、不況業種の建築業界などから介護に進出する動きがあったようです。建築業者から介護事業に進出したケースはうまくいかなかったようです。

 別の近くの木材加工業者も介護に進出しました。こちらは異業種からの進出としては早かったです。それも片手間としてでなく、本業をやめて、介護一本に絞り成功しています。この業者はパン屋さんも始めて成功しています。

 さて、最近某有名歌手とその歌手が所属する会社の社長との間で解任騒ぎが起こっています。おじさんは芸能音痴ですが、某歌手くらいは知っています。その歌手が結婚した時も驚きました。結構高齢になって結婚したからです。

 マスコミ報道によれば、解任の理由は某歌手のご主人が、解任した会社の社長のやり方に不満を持っていたからだとありした。某歌手のご主人は優秀な方のようで、自分も会社を経営しているようです。経営者の視点から見れば、解任した社長のやり方はおよそムダだらけに見えたと思います。

 ところが、テレビ報道などを見ると、ほとんどの芸能人が解任された社長の方を支持しています。理由について、ほとんどの芸能人は、芸能界関連の会社運営と一般企業の会社運営では全く考え方が違うと言うのです。一般企業では、商品つまり物を売るが、芸能界ではイメージを売っているというのです。

 芸能界では、目に見えるものでなく、目に見えないものを売っているというのです。形として見えるものにかかる費用より、形として見えないものに価値があり、お金がかかるというのです。おじさんもそうだろうと思います。日本の社会では形あるものにはお金を出しますが、形のないもの、目に見えないものにお金を出すのをいやがります。例えばアイデアやイメージなどです。

 飛躍した考えですが、日本で革命的な原理や法則が発見されたり、世界にそれまで存在しないものが作られたりしないのとも関連していると思います。原理・原則を発見したり、未知のものを発明したりすることに、大きな評価をしないのだと思います。

 それよりも、生産された品物の質や量あるいは価格で評価するようです。最初に戻りますが、学校現場など一般企業の経営者から見ればムダの塊です。しかし、芸能界同様生身の人間を相手にする世界では、費用対効果の考え方は通用しないのです。(少ない費用で最大の効果を出す。 効率重視)

 某歌手の場合でも、費用を節約すれば歌手のイメージはダウンします。同じ品物を別の業者が安く作りますと言っても、これまでの長い繋がりで作って来た業者とは、微妙なところが違うはずです。それを、そのくらいの微妙な違いは大したことはないなどとすると、あっと言う間に人気は落ちてしまいます。

 料理店の味なども同様です。ちょっと材料の質を落として利益を上げようとすると、あっと言う間に客に味の違いを見抜かれてしまいます。もちろん安ければ内容はどうでも良いと言う客もいますから、それを経営方針としてもよいでしょう。しかし、ある程度以上の金額を求めるなら、それにふさわしいものを提供することが求められます。某歌手でも入場料は数千円以上はするのでしょうから、当然それなりのものが要求されます。

 教育でもそうです。成績にように目に見えるものだけでなく、目に見えない教師と生徒のつながり、インフォーマルと言いますが、その部分が教育の場合とても大きいのです。民間企業出身の校長は結局最初に登場した時ほど、注目をあびていません。塾や予備校のように、合格者数だけを評価基準とする場合は別です。それでも、異業種から塾や予備校に参入するのは難しいでしょう。

 民間出身の校長は、おじさんの県でもいるのかどうか知らないほどです。考えて見れば、医療や教育、宗教、芸能、スポーツのように、物でなく人間と人間の繋がりによって成り立つ世界は、経済原理だけで成り立つ世界とは経営の仕方が違うのではないかと思います。農業や漁業への民間企業の参入や保育事業、介護事業への大規模な民間企業の参入については、今主張されている以上に困難と混乱を引き起こる可能性があると思います。

 明日は、家の整理など家事を中心に生活します。