新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

最近の北朝鮮情勢に関する感想

今日は気温が少し下がったのですが、晴天でした。いよいよ明日から仕事開始です。全く知らない世界なので期待と不安があります。とりあえず、9月まで15回の授業をこなします。また、後日報告します。

 株価の方は昨日大幅安だったのですが、教の戻りは弱いようです。やはりヨーロッパ特にスペインの国債の入札が不調だったことが大きいと思います。おまけにアメリカの景気回復も弱いようだし、中国の経済成長もダウンのようです。インド経済についても陰りがあります。これでは、円安など望むべくもありません。

 世界中が一番安全な通貨である円を買っているようです。日銀がお札をどんどん発行すれば円安になると主張する人がいますが、それは無理だと思います。このような世界的な経済不安の中では、円を買う以外に安全を図る方策がないので、円高は仕方のないことだと思います。もちろん中国のような通貨管理をすれば良いのですが、日本では無理です。

 さて、この数日北朝鮮情勢について大きな変化が見られました。強気でやったミサイル打ち上げも失敗に終わりました。これは別段珍しくないのですが、失敗を認めたことが注目されます。それも対外だけでなく、国内にもそのことを公表した点です。

 唯我独尊がこれまでの北朝鮮の姿勢でした。多分常識的な国民はこれではいけないと思っていたでしょう。しかし、そんなことを口にすれば生きていけないので黙っていたと思います。誰もが思っていることを公表するのは、北朝鮮の場合極めて異例なことです。また、キムジョンウン第一書記が20分に渡って肉声で演説しました。

 演説の内容より、肉声を国民に聞かせたことが注目されます。さらに、今回の金日成生誕100年のお祝いに招かれた報道陣これまで以上に国内を見せました。ミサイル発射場を公開したのも異例のことです。その理由について考えてみます。まず演説をやったことについて言えば、3代目であるジョンウン書記は、祖父・父のようなカリスマ性がないことを自覚しているのだと思います。

 下手に神格化を目指して失敗するより、自分らしさを前面に出す方が良いと考えたのです。もちろんジョンウン書記一人でできることではありません。側近たちの支持承認もあったと思います。もちろんこれまでの権力構造(軍を中心とする国家運営)には手をつけていないと思います。

 当然今迄のやり方をやったらと言う意見も強かったでしょう。前例を踏襲するのは、世界中の官僚の常識です。しかし、最終的にはジョンウン書記自身が判断したと思います。側近が決定するなど、この国の政治体制ではありえないでしょう。

 おじさんの考えでは、もしかしたらジョンウン書記は、啓蒙君主または英明君主を目指しているのかもしれません。新しい北朝鮮を作ると言う野望です。その場合参考になるのは、中国の改革開放政策であり、日本の戦後復興です。もし、ジョンウン書記が経済の立て直しをはからず、中国や国際社会の意向を無視し続けるなら、中国にも覚悟があることを中国は政権を把握するにあたって伝えたのではないでしょうか。

 父の時代にはできなかったとことを、政権担当者の交代をきっかけにやろうとしているのではないでしょうか。父や祖父と違ってジョンウン書記は海外生活経験があります。若い時代の海外生活経験は大きいと思います。ただ、だからと言って、急速に北朝鮮の政治姿勢が変わるとは思えません。

 軍の長老を中心に今迄の既得権で特権階級を形成している人が大勢います。ジョンウン書記は、まだまだ政治基盤が弱いです。彼自身そのことは良く知っているでしょう。しかし、彼の強みは年が若いということです。かって、鄧小平が軍や党の長老たちを第一線から退かせたのは、定年制です。

 もし、ジョンウン書記が長老の力を削ごうとするなら、数年後政権が安定した時期に、軍を中心に70歳定年制を敷くでしょう。次に自分が目をかけた40代くらいの若手の将軍を枢要なポストにつけるはずです。又、現在は中国軍との間で軍同士の交流はありませんが、(中国の軍事ニュースで見る限り北朝鮮との軍事交流はほとんど報道されません。)それを始める可能性があります。

 どこの軍隊でも最新の兵器や技術がほしいものです。北朝鮮軍であっても同様です。どんなに訓練を積み重ねても、最新兵器や最新技術がなければ負けてしまします。中国も鄧小平の時代に、毛沢東の人民戦争理論を捨て、軍の現代化をはかりました。

 その結果が現在の中国軍の現代化に繋がっています。ジョンウン書記もそのことは知っています。現代化した軍隊を持てば、中国の意向やアメリカの意向に対して十分対応できます。ミサイル技術で遅れていることは明らかです。核兵器だけに頼るのでなく、通常兵器での戦争にも対応したいと考えるはずです。

 この視点から考えると、今回のミサイル発射も技術不足を世界中に見せつけ、軍に現代化の必要性を認識させる深慮遠望があったのかもしれません。ほれみろ、君たち軍人のいう技術は私に恥をかかせるだけのものだ。もし胸を張って世界に誇れるものを作りたかったら、軍の現代化をはかれと言っているようです。

 そこから逆にたどれば、軍の現代化のためにはお金が必要です。それなら改革開放を行い、中国を始めロシアや日本などの資本を導入する必要があるという論理を組み立てることができます。今の体制を維持したい軍の長老は反対するでしょうが、若手の意欲ある将軍クラスは賛同すると思います。

 イスラム圏のような宗教国家でも軍は比較的世俗的です。なぜなら、戦争は神の力や精神力だけでは勝てないからです。どんなに信仰心が篤くても最新兵器にはかないません。ゲリラ活動なら別ですが、正規の軍隊ではそんなことは当然なのです。

 もしおじさんの考えが正しいなら、これからの対北朝鮮政策は変更を迫られるでしょう。おじさんでも思いつくくらいですから、中国やアメリカ、ロシアの国際関係の専門家はすでに対策を立てていると思います。これまでの教条主義的な政策からどう変化するかが見ものです。

 明日はいよいよ初仕事です。