新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

第1回大学院授業報告(日本社会経済論及び人間環境論)

今日は朝から晴天です。と言うより初夏の陽気です。ツマクマは明日から山菜とりに行きます。娘達や孫と一緒に行くので、娘の家に今日から行きました。

 昨日日銀が金融緩和を打ち出したのですが、市場はあまり反応しなかったようです。おじさんの考えでは、すでに日銀が国債を買ってお金を市中に放出するだけでは、景気回復は望めないようです。昨日のニュース解説でも言っていましたが、この数年数十兆円レベルでお金を日銀が放出したようですが、企業の投資意欲が盛り上がらないそうです。

 さて、今日は今大学院で何をやっているのかの報告です。午後4時過ぎからの日本社会経済論演習は、受講生がおじさん以外全員中国人留学生です。それで中国経済に関連する発表もあります。今日の発表者は日本のバブル経済についての分析でした。(修士論文です。)

 先生からバブル経済発生の原因として、円高について話がありました。その時購買率平価の話があって、その学生さんに質問しましたが、うまく答えられませんでした。ところでバブル頃おじさんもおかしいと思ったのですが、それに対する対応が遅れました。

 某電力会社株は、その時の名残です。今は当時の十分の一くらいになりました。当時日経平均が3万円を超えたのに、今はその三分の一以下です。しかし、もうあんなバブルの時代は来ないでしょう。ところで、先生が最後におもしろいことを言いました。

 みなさん、現在日銀は金融緩和をやっていますが、余り効果はありません。政府も財政赤字公共投資もできません。それでは、お金を使わなくてできる景気刺激策は何ですかという質問です。おじさんもとっさに分かりませんでした。先生がおっしゃるのは、規制緩和あるいは移民政策です。

 規制緩和は事業に対する規制緩和だけでなく、労働条件に関する規制緩和も含まれていました。競争によって、効率を上げるという政策です。しかし、と先生は付け加えました。規制緩和は同時に格差を生み、国民には痛みが伴います。ですから、現実には難しいでしょうねとおっしゃいました。移民政策についてはもっと難しいでしょうねともおっしゃいました。

 規制緩和の中心だった郵政民営化も結局挫折しました。おじさんも規制緩和については反対です。今のままで規制だけ緩和すれば、痛みだけが残るだけでしょう。この問題誰が首相になっても難しいテーマです。

 日本経済が低迷するなか、日本経済に関する討議はどうしても湿っぽくなってしまいます。一方人間環境論の授業は盛り上がりました。こちらは以前書いた通り3人しか受講生はいません。学生さんは一人だけで、おじさんともう一人の方は社会人です。

 こちらで面白かったのは、日本で森林が一番破壊された時期はいつかということです。皆さんは現在あるいは高度成長期とお考えでしょう。田中角栄さんが日本列島改造論を提案した時期と考える方もいるでしょう。しかし、答えは全く予想外なのです。

 実は江戸時代末期1850年代に最も森林破壊が進んだのです。高度成長期であっても、伐採される森林はそれほどでもありませんでした。なぜなら、工場立地が進んだのは沿岸部だったからです。皆さんが高校時代地理で習った、太平洋ベルト地帯こそが工業の中心だからです。

 現在のエネルギー資源は石油です。それ以前は石炭でした。それ以前はと言えば薪です。つまり、江戸時代末期、工場制手工業など産業が一番盛んだった時代、エネルギー資源として薪が必要だったのです。また、日常生活でも同様です。農村では肥料などに森林資源を使いました。

 都市はもちろん農村でも薪がエネルギー資源として用いられました。毎日のことなので、累計すると膨大な量が伐採されたそうです。植林などと言うことも余りなかった地域では森林ははげ山になったそうです。戦後でもそうです。戦後すぐはもちろん、戦中でも石油や石炭が手にはいらなかったため、山の木を切って燃料に使いました。

 おじさんの大学の裏にはちょっとした山がありますが、そこの1947年・1968年・2001年の写真を先生が比較されました。何と1947年の山は道がはっきり見えるほど、伐採されていました。そして1968年になると道がうっすらと見えるくらいになり、2001年では道は全く見えず、木に覆われていました。

 人間のイメージとは恐ろしいもので、自然保護の重要性などと言われると、現在の方が森林が破壊されていると思いがちですが、そうではないのです。もちろん世界的に言えば熱帯雨林などは今も破壊が進んでいます。ちなみにイギリスやアメリカでは現在森林はほとんど残っていないそうです。日本と同じように近世に伐採がすすみ、その後気候条件が木の生育に適していないので、森林が復活しなかったそうです。

 来週は旧石器時代の日本の森林について学びます。弥生時代についても興味深い内容がありました。それは邪馬台国論争を環境考古学の視点から考えるというものです。この話は又後日書きますが、いろいろな学問を勉強すると、目が開かれるものだと思いました。

 明日は日曜日なので教会です。全員祈祷会でおじさんがお話をします。またこの話は明日報告します。