新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

大学院授業報告(2)

今日は1日晴天でした。午前中は明日から義妹が来るので、家の片づけです。午後からは義弟が義母を家まで送って来てくれました。連休前に義母は義弟の家に遊びに行っていたのです。

 そんなこんなで忙しい1日でした。株式市況はとうとう9000円台を割り込んでしまいました。以前書いた通り欧米及び中国の情勢が不透明ではどうしようもありません。このままでは8000円台半ばくらいまで下がりそうです。去年、復興景気を見込んで建設株が上昇したのですが、全部下がってしまいました。

 今は何をしても経済成長は無理なようです。内需拡大も難しいし、輸出拡大も無理です。これに政治の混乱と原発停止をめぐる混乱が加われば、株式市況が値上がりする可能性はなさそうです。

 さて、昨日は大学院の授業がありました。今日はその報告です。それまで学んだどの科目とも違うので、毎回勉強になります。今回は現在使用中のテキスト「中国経済経済入門」からの報告を中心にやります。今回は第1章「どのようにGDP世界第2位に到達したのかー中国経済の軌跡と展望」です。

 内容はほとんどこれまで知っていることなのですが、3点くらいおもしろいところがありました。一つは日本のマスコミでは批判の多い開発独裁について著者が積極的に評価している点です。開発独裁というのは、開発途上の国では、独裁的な政権が、経済発展に貢献することが多いというものです。かってのマレーシアやシンガポール、韓国などがその例です。

 著者によれば、中国も共産党という一党独裁が中国の経済発展に貢献したというのです。逆にロシアの場合、経済システムだけでなく、政治システムまでも根底から一気に覆したので、混乱を招き、現在もそれが続いていると評価します。その点中国は政治システムはそのままにして、経済システムだけを漸進的に変えたので、現在のような経済発展が可能になったというのです。

 中国共産党はその強権的な独裁体制と汚職などの腐敗のために、日本では評判は最悪です。その中で、珍しく一定の肯定的評価を下すのは珍しいと思いました。もちろん、一党独裁や政治腐敗が中国経済の弱点に将来はなると述べていました。

 次に意外だったのは、総需要の変化です。需要というのは、内需、投資、輸出、政府支出の4分野です。総額としては、もちろん内需が一番大きいです。しかし、2000年からの飛躍の時代に一番伸びたのは、輸出ではなく投資です。

 中国というと輸出立国のイメージが強いのですが、国内投資の割合が思った以上に大きいです。日本の高度成長の時代でも30%だったのに対して、中国は40%です。輸出について言えば、現代韓国などは完全に輸出依存です。ちなみに韓国は38%で中国は31%です。日本は14%です。

 中国の国内投資は、外資との連携でしょう。おじさんが住んでいた街でも、HP(ヒューレットパッカード)の工場が次々にできていました。NTTコミュニケーションの工場もありました。。近くには飛行場がいくつも入るほどの広大な工場団地ができていました。外資を積極的に導入しているようです。

 次は情報通信関係部門の輸出の割合です。今この分野で勢いがあるのは韓国なので、一番は韓国かと思ったら意外なことに中国が現在1位です。韓国を抜いたのは2005年です。中国が日本とアメリカを抜いたのは2002年のことです。その頃から日本もアメリカも急速に輸出比率は急速に落ちていきます。

 2008年からは今度はインドが急速に伸びつつあります。日本の情報関連分野での輸出の割合はかなり前から低下していたのです。今後もこの傾向は続くでしょう。中国・韓国に抜かれた、日本・アメリカはインドにも追いかけられ、最後には抜かれるかもしれません。

 やはり勉強すると色々なことが分かります。人間環境論についておもしろかったのは、テキストができた後に重大な事が判明した点です。それは、10年くらい前に起こった発掘のねつ造事件です。旧石器時代については、以前は10万年前まで遡るとされたのですが、それがねつ造だったのです。

 その本では10万年前の記述がありましたが、先生が仰るにはこの部分は根拠がありませんということです。本が書かれた時代は、旧石器時代に関して10万年前まで明らかになったとされたのです。考古学などでは、次々に色々新しい事実が分かるので、古い本とは内容が大きく異なることがあります。

 明日は午前中は勤務先の学校の体育祭、午後からは地元に歴史に関する講座の申し込みに行きます。