新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

朝日新聞記事 「毛沢東批判」の経済学に思う。

今日は朝から薄曇りでしたが、昼近くなって晴れてきました。昨日は授業が4時間(100分授業×2コマ)あって、疲れたのでブログをお休みしました。ところで、先日書いた教師用指導資料を昨日見てみると、何とお値段は1万4千円でした。

 県立高校の場合は、値段が高いの学年に1冊ですが、こちらでは一人1冊です。と言っても学年担当は2人なので、そんなにはかかりません。30日には保護者の授業参観があるそうです。教務主事の名前で教員宛てに正式な通達がありました。正規の文書で通達があるところは、さすがに特殊法人だけあります。

 さて、今日のタイトルの「毛沢東批判」の経済学とは書籍ではなく、朝日新聞の記事からの引用です。サブタイトルには「募る格差への不満」「権利者たちが利用」「危うい英雄崇拝」とあります。この辺りはどの新聞・雑誌をみても同じなのでそれほど内容を期待しませんでした。

 ところが、記事の中で日本ではほとんと注目されないか日本人が書けば媚中派として叩かれそうな内容がありました。おじさんも3年の中国生活で実感していたのですが、書くと誤解されそうなので控えていた部分です。今日は日本では意外に知られない中国の庶民の毛沢東共産党に対するイメージを記事を通して紹介します。

 まず中国共産党の位置づけです。中国では行政機関と言えば実質中国共産党委員会なのです。地方政府などは、単なる実行機関にすぎないのです。(日本のイメージで言えば共産党委員会が本庁で地方政府は土木事務所や税務署など)。政府の長である市長より党書記が偉いのです。以前書いたことがありますが、市の党学校の中に市行政学院があります。学院と言っても単なる研修機関ではなく、大学院修士課程の認定を教育部(文部科学省)から受けているのです。(入口の横断幕にそう書いてありました。)

 記事では共産党について次のように評価します。共産党については批判対決するばかりでなく、「業績はきちんと評価した方がよい。」と言います。おじさんが今日行く大学院の経済史の先生もかって大学生の頃毛沢東は偉大な人だと思った、しかし文化大革命の話やその他の事実を知って失望したと言っていました。

 中国共産党毛沢東も含めて)に対する日本のインテリ(新聞社も含めて)の評価は時代とともに大きく変化します。高く評価した時代から、ごうごうたる非難の時代へと移り変わりました。現在中国共産党現代社会に果たした役割を肯定的に評価するなど言ったら、袋叩きに会うでしょう。

 しかし、筆者はさらに次のように述べます。「いま共産党に代わって中国を治められる政権政党があると思っている中国人は、私も含めて多くはない」としています。続けて「外国人は批判してばかりだが、改革開放で得られた経済成長で何億もの人が貧困から抜け出したのも事実」と述べています。

 もちろん今のままの政治状況で良いと言うわけではありません。それに続けて「私はもっといい国にするために、民主化を進める政治改革が欠かせない」と述べています。

 前回の大学院の中国経済の授業で先生は、国共内戦で国民党が勝利したら、中国の繁栄はもっと速かったとある中国人実業家が言った話をしました。しかし、中国で暮らした実感から言えば、あのまま国民党が勝利したら、庶民や農民は今以上に貧しかったと思います。

 それは庶民の場合、大金持ちの資本家と貧しい労働者の格差が今以上に大きかったと思うからです。農民の場合はもっとはっきり分かります。それは土地改革(農地改革)が全く進まず、農民は今以上に貧しかったと思うからです。

 そもそも国共内戦に国民党が負けた原因について、諸説ありますが、おじさんが実感するところでは庶民特に農民の支持が共産党にあったからだと思います。大躍進やその他の共産党の失政は山のようにありますが、おじさんが観察する限り、国共内戦共産党が勝利したことを後悔している庶民は多くないようです。

 事実学生さんは「毛沢東は功罪半ばする」と言います。先生方もはっきりとは言いませんが、そのような評価のようです。またある庶民の住む公園のお祭りの舞台で紅軍(解放軍)が勝利する演劇をやっていました。おじさんは観客の反応はどうか見ていました。

 観客は全員庶民です。日本人がいるとは誰も知りません。というより日本人が来るような場所ではないからです。もちろん危険な場所でなく、庶民の集まる大きな公園内です。通訳の学生さんも一緒でした。反応は皆大喜びで見ています。それから判断して毛沢東(紅軍)が人民を解放したことは事実のようです。

 大学の日本語学科の主任の先生は東京外大に共同研究者として来日したようなインテリです。ご主人はその時東大で共同研究者をしていました。その先生も中国では解放軍は庶民に人気があるのですよと言っていました。建国60年記念の国慶節の軍事パレードでも、学生さんは皆感動していました。

 先生ぜひパレードを見てくださいと電話をくれた学生さんもいます。日本の人が考える中国共産党及び人民解放軍のイメージと中国で感じたイメージとでは随分違います。もし、中国の多数の国民が共産党や解放軍に反感を持っていると考えるならそれはちょっと違うと思います。

 腐敗についてある学生さんは「上と下はそれほどでもないが真ん中が悪い」と言っていました。政府の官僚や村の役人レベルでは腐敗が少ないが、地方政府(日本の都道府県、中国で言えば省、大規模市)レベルの腐敗がひどいのだそうです。

 おじさんは3年間中国で庶民と一緒に生活しましたが、警察や役人からわいろを要求されたことはありません。必要な書類でも期限内にきちんと処理してもらいました。(ビザや居住関係書類)まあ、大学の招待で滞在している半公務員でおまけに外国人だからかもしれません。

 以前から書きたかったのですが、新聞記事を読んで中国の人自身も同じ考えだと知って書いてみました。午後から大学院の授業です。