新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

20年後あるいは40年後の日本を考える。

今日は朝からすっきりしない天気です。曇り空がずっと続いています。土曜日で暇なのでアゴラやブロゴスを見ていましたが、相変わらず相手を非難したり、冷笑する意見ばかりです。

 以前から日本人の意見は分かれていましたが、ますますひどくなるようです。消費税はもちろん、原発再稼働、橋下市長の評価、さらには女性宮家創設に至るまで意見が分裂しています。以前はイデオロギー対立で分けることができたのですが、現在はそんな簡単な分け方もできません。女性宮家や橋下市長の評価については、保守派内部で意見の対立があります。

 そう言えば、やや保守派よりの文芸春秋の今月号では橋下市長への批判を掲載していました。伝統保守派の人にすれば、橋下市長の持つ新自由主義的傾向に不安を持っているのだと思います。文春の内容を見ると、橋下市長の歴史認識・外交・軍事に関する立場がはっきりしないことに不安があるようです。

 橋下市長からすれば、以前書いたように、ここで意見が真っ二つに分かれるような問題に関われば、国民的な支持を失い、支持層が固定化するので、国民全体が賛成できる問題(原発再稼働反対や公務員叩きなど)に絞って意見を出しているのだと思います。これは戦術的には正しいのですが、戦略的にはまずいと思います。

 こんなに意見が別れて、政治はどちらを向いて進んだら国民が納得するのか心配になります。まあおじさんが心配することではないのでしょうが。

 さて、このところ、勤務先の学校の図書館で本を借りて読んでいます。推理小説からかなり内容の濃いものまであります。今読んでいる本から意見を書きます。「2030年の日本をあらたにす」という本です。サブタイトルは「新聞案内人の提言」です。

 ブログのコメンテーターはマスコミ特に日経・読売・朝日が大嫌いなので、このような本を読むことはないと思います。この本の著者は基本的に、この三紙の論説委員だからです。その中で一番興味深かったのは「希望立国2030年」という記事です。著者はある投信会社の社長さんです。

 主旨としては、2030年には団塊の世代は80歳を超えその数を減らし、団塊ジュニアーも60歳台に突入するが、このジュニアー世代は将来への設計がしっかりしているので安心だと言うのです。

 はたしてそんなに20年後の希望が持てるのでしょうか。財政問題社会保障問題などがありますが、まだ論じられたない問題もあります。それは第一次産業従事者の激減です。今どこの農村や漁村で従事者は高齢化しています。

 20年後に団塊の世代で農村や漁村で仕事をしている人はほとんどいなくなるでしょう。そうなれば、企業に任せればよいという意見が出そうですが、自然相手の仕事はそんなに企業活動に向くものではありません。米作でも、企業が大規模にやれるものではありません。

 まず大規模農業ができるためには農地を主役しなければなりませんが、団塊世代が死んだ後、団塊ジュニアーが農地を手放すとは思えないのです。現代では農地は財産となっているからです。農地の売買を自由化すれば、農地としてでなく宅地や商業地として売ることになるでしょう。そんな高価な農地を買えばよほど農産物価格を上げなければ採算がとれないでしょう。

 20年後には今団塊の世代が持っている資産は(資産を保有する年代としては一番裕福なそうです。)かなり減少しているはずです。今1300兆円とも言われる預貯金は20年後には半分くらいになっているでしょう。なぜなら、収入不足を預貯金の取り崩しで対応するからです。

 1年間に100万円取り崩すとして、20年で取り崩し総額は2000万円になります。3000万円預貯金があっても、残りは1000万円です。後10年生きて90歳になったらほとんど使い尽くしてしまいます。1年に100万円というと月約8万円の取り崩しです。

 年金が将来減額されて20万円を切れば、そのくらいは取り崩しが必要です。単純に月20万円の年金だと年収240万円です。一家を構える人がこの年収では、それなりの生活は無理です。

 つまり、不動産は別として20年後子供たちに受け継がれる団塊の世代の資産はほとんどないと言っていいでしょう。80歳台で死ぬのは夫で、妻はまだ10年生きます。つまり残りの1000万円は妻のために残す必要もあるのです。

 40年後には団塊ジュニアーも80歳台になります。この年代が団塊の世代ほどの資産を残すのは難しいでしょう。その頃初めて人口構成が筒状になります。日本の人口も9000万人くらいでしょう。ただし、20代の若者は100万人ちょっとでしょう。

 まず内需は期待できないと思います。高度成長の時代団塊の世代は1歳で200万人くらいいました。それが5年間くらい続いたのですから、1000万人近い若者が一斉に購買を始めたのです。20年後の若者は、5年間で400万人くらいですから、600万人のギャップがあります。

 自主防衛を唱える人がありますが、80万人の若者が軍隊に入ったら若年労働者は激減するでしょう。80万人は男女込みですから、男子に限れば40万というところでしょう。仮想敵国として中国を視野に入れるなら、とても全員軍隊に志願したとしても戦争はできないでしょう。

 しかし、心配はいりません。中国の20年後には日本と同じ少子高齢化に直面するからです。それに大事な一人っ子を戦争に取られて戦死したら、中国人の両親でもただでは済まないでしょう。かって中国には人海戦術と言われるものがありましたが、それは膨大な若者人口があってのことです。

 現在では人間の値段はどこの国でも高価になっているのです。間違いなく言えるのは20年後の日本は世界の中規模国家の一つとなり、40年後にはアジアの一小国となっています。もちろんそれを防ぐには移民政策しかないのですが、それは無理でしょう。

 40年後静かに日本を沈んでいくだろうと思います。丁度江戸時代の日本のように日本国内だけで外国とも余り付き合わずひっそりと世界から離れていくのです。これはこれで良いと思います。40年後にはおじさんが生きていれば100歳を超えています。

 もし、生きていたらどんな社会が来るのか見てみたいです。明日は教会です。