新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

生活保護について考える

今日からとうとう梅雨入りしました。今日は朝方は少雨でした。気温は上がらず肌寒いくらいです。数日前からくしゃみや鼻水が出ています。

 水曜・木曜の両日は忙しくてブログを書く暇がありませんでした。今日は中間考査の採点で1日過ごしました。今勤務している学校に来て初めての試験なので緊張しました。何とかこちらが期待してレベルくらいできているようです。平均が低すぎても高すぎても困るのです。

 多分平均点78点くらいに収まりそうです。今の学校は2クラス90名くらいの採点なので楽です、以前は240人くらい採点していました。来週の水曜日に返却予定です。

 株価の方は数日間で一気に戻したのですが、もう売りがでているようです。ヨーロッパの金融情勢が解決しないかぎりどうしようもないようです。来週も不安定な動きが続きそうです。

 さて、最近芸能人の親族の生活保護をめぐる問題が報道されています。今日はそのことについて、ちょっと書きたいと思います。この問題は、高額の収入のある子供がいるのに、親が生活保護をもらっていたという件です。この問題は二つの側面を含んでいます。

 一つは、生活保護は、まず親族が援助してそれから受けるべきだと言う考えと、財政問題からできるだけ生活保護を抑制したいという考えです。前者は家族はお互い助け合うべきだという考えから来ています。それ自身は正しいと思うのですが、いささか難しい面があると思います。

 物事は理想と現実の落差の問題があるのです。一番大きな問題は、話題になった芸能人のようなケースは実は少ないと思います。おじさんも38年学校現場で生きてきたので、家庭の経済問題は良く分かります。高校でも授業料未納問題がありました。

 生活が苦しくて授業料を減免されている生徒の率が高いのは、ほとんど教育困難校でした。つまり、貧困の連鎖があるのです。3代に渡って生活保護家庭など珍しくありませんでした。つまり、一端貧困に陥るとそれから抜け出すのは極めて困難なのです。

 もし、生活保護家庭から誰か抜け出して、保護が必要なくなったとして、他の生活保護を受けている親族を援助せよとなったら、たちまち生活が行き詰るでしょう。生活保護家庭は大学進学が認められていないので、現代のような大学進学が当たり前の時代、相当ハンデーがあります。

 また、普通の家庭でもいざ失業や病気などに陥ると現代のような就職が難しく医療費が高価な時代、たちまち生活困難に陥ります。そんな時、兄弟に援助を依頼することはできないでしょう。兄弟にしても、子供の学資にと貯めておいたお金を、兄弟の援助のために出すのは無理でしょう。もし、そうしないと生活保護が受けられないと分かったら、ほとんどの場合、生活保護を断るでしょう。

 今回国会でも取り上げようという代議士さんは、エリートですから周りに生活保護を受ける可能性のある人はいないのでしょう。おじさんも今は年金生活者(一部非常勤の収入があります。)なので、兄弟が困っているから援助してくれと言ってもできないでしょう。

 介護保険に代表されるように、現代の流れは生活の援助を公的な力に頼ろうとしているのです。もちろん、お金がかかるのは分かります。また不正なことをする人もいます。だからと言って生活保護を厳しくして、家族の援助を期待するのはおかしいと思います。

 また財政上の理由から制限するのもおかしいです。もし、お金が不足するなら税金を上げるしかありません。セーフテーイネットは誰がいつ必要になるか分からないのです。今健康で仕事があっても、事故で働けなくなったり、病気で仕事をなくしたときを考えてもらえればよいと思います。

 高度成長の時代、いざ働こうと思えばいくらでも仕事がありました。今はそんな時代ではないのです。

 ただ現状から考えて生活保護者が減少することは考え難いです。現在非正規社員の人や、アルバイトで親の家に同居している人、あるいは家事手伝いと言う名で仕事をせず結婚もしていない人の老後はとても年金で生計を維持できないと思います。

 なまじ年金をわずかでも貰えるし、親の残した家もあるとなれば、生活保護すら受けられず、貧困生活をする可能性もあります。そんな人が100万人単位ででる可能性もあります。もちろん、そのようなケースの場合、兄弟に援助を求めることは難しいです。

 最後に、実務上の問題として親族扶養が焦点化すると、事務方の負担が膨大になるし、扶養を拒絶された場合、扶養を親族に強制すると裁判ということになります。また親族が扶養を拒絶する場合、生活保護が受けられず、病気が進行したり、極端な場合餓死したり、孤独死する可能性がでてきます。

 やはり、問題はあるとしても生活保護で親族の扶養を重視するのは問題があると思います。明日は、大学の図書館で読んだ雑誌論文を紹介します。

 明日も採点です。