新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

何もしないと言う選択

今日は曇り空です。明日からはまた雨になりそうです。今日は午前中はのんびり過ごして午後から地方史講座に行きます。市民講座のようなもので、地元の歴史について郷土史家のような人が話をしてくれます。一応古文書などの引用もあって本格的です。

 さて相変わらず政界は騒々しいようです。当面は消費税増税案が通過するかが焦点です。新聞の論調やネットのサイト(アゴラやブロゴス、ダイヤモンドオンライン・jbプレスなど)を見ても様々な意見が出ています。それに輪をかけて賛否両論のコメントが書かれています。

 どう見ても世論は真っ二つです。仮にどちらかの意見を押し通したとしても国民の半分は納得しないでしょう。そこでもし今問題になっているテーマを何もしないで現状のまま先送りしたとすればどうなるのでしょうか。現状維持の視点から考えてみたいと思います。

 まず消費税ですが、今回値上げしなければ当面は値上げは難しいでしょう。3党の協議でさえ成立しなければ、次は5年後くらいまで無理です。それに景気回復や歳出削減が条件ならほぼ半永久的に難しいと思います。少子高齢社会において経済成長率が3%以上になることは難しいからです。

 国債に頼る国政運営もまもなく行き詰るでしょう。その時でも消費税増税案はきっと猛烈な反対にさらされると思います。足らないお金はどこから持ってくるのでしょうか。次に最近下火ですがTPPについてはどうでしょう。これも農業団体や医療団体が反対しています。賛否両論です。TPPに限らず貿易自由化は反対がつきまといます。

 2国間のFTAであっても問題が吹き出ます。結局日本は市場開放をしたくないだけです。どのような形であれ市場開放をすれば損害を受ける業界があるからです。もしここで何もしないという選択をすれば、問題は沈静化しますが、世界の市場から取り残されていくでしょう。

 社会保障費の削減も同様です。削減を進めれば高齢者から猛烈な反発が起こるでしょう。やらなければ、社会保障費は団塊の世代がいなくなる20年後まで財政を圧迫します。20年後には団塊ジュニアーが年金受給世代になるので、この世代がいなくなる40年後まで社会保障費の重圧がのしかかります。

 しかし、若い頃非正規社員や中途失業して年金が少ない世代の年金をさらに減らせば、生活できないので生活保護になります。現在国民年金を支払っていない人達は間違いなく老後生活保護になるしかありません。非正規社員も間違いなく老後年金が貰えないか少額で生活できないと思います。

 60歳を過ぎて非正規社員を続けられないからです。賃貸借の人は年金が少額だと家賃すら払えないでしょう。そうなればアパートを追い出されてホームレスになる人が増加するでしょう。エネルギー問題もどうなるのでしょう。自然エネルギーに転換したとしても現在の原子力発電所レベルの電力を短期間に生み出すのは難しいと思います。

 ヨーロッツパのように陸続きならいざという時は外国から電力供給を受けることができますが、島国の日本は無理です。それに燃料費が高額となり電力会社の経営を圧迫しています。もし電力会社が破たんすれば、国営にするしかありません。そうなれば赤字分は全て税金で支払うということになります。

 燃料費だけでなく、原子炉の廃炉や核燃料の処分についても膨大な経費がかかります。原子力発電所の発電量が減少するだけで損失なのに、廃炉や核燃料処分の費用まで電力会社は負担できないでしょう。原発停止を受けてほとんどの電力会社が赤字です。

 これが数年続けば経営破たんになると思います。今の原発反対の人は将来電力会社をどうしたいのでしょうか。電力会社を救うためには電気料金を相当値上げするか、政府が援助(もちろん税金です。)するしかありません。そうなれば又値上げ反対の大合唱です。財政破たんより電力会社の破綻の方が早く来そうです。

 電力会社が破たんして会社更生法を適応しても、将来にわたって経営を維持することはできません。安全のために全てを優先させるべきだと言うのにも限度があります。それまで安全だった原発は取りあえず運転して、順次計画を立てて長期に渡って廃炉にするしかないのです。

 即時全面停止だけでは何も解決しません。もちろん政府は国民世論を優先して何もしないで原発停止を維持するという選択もあります。これは問題が起こらないのでマスコミからも国民からも反発はないでしょう。しかし、前述しどの問題をとっても、何もしないと言う選択をすれば多分10年以内に日本は衰退し、世界の片隅のアジアの小国としてひっそり生きると思います。

 明治維新から80年近くで全てを失いました。奇しくも敗戦から80年、2020年には何もしないと言う選択をすれば、日本は敗戦時の状態に戻るのではないでしょうか。残された時間は8年です。1932年の時点(当時はまだ日本は行け行け状態です。)で8年後日本が焼け野原となって、全てを失うと考えた人は誰ひとりいなかったでしょう。

 もしそれが分かっていたら別の道を歩んだはずです。8年で全てがなくなってしまうこともあるのです。

 明日は教会です。