消費税法案可決後の政局展開
今日は曇り空の一日でした。月曜日は基本的に仕事もないのでのんびり過ごしました。株価は60円ほど下落したようです。ギリシャのユーロ離脱の可能性が薄らいだので、日経平均8000円割れは免れましたが、そのまま一本調子で上昇ということもなさそうです。
世界的には不安材料が山積みです。国内においても同様です。とくにアメリカ大統領選挙の行方がはっきりしない限り、アメリカ経済は方向を示せないようです。エジプトではイスラム派の大統領が誕生しましたが、この行方も分かりません。アラブの春が実はイスラム主義の拡散で終わる可能性もあります。
そのようなわけで、今年いっぱいは経済状況は様子見で小動きになるだろうと思っています。震災復興についても2兆円の投資があるように言われていますが、建設会社の株価はほとんど動いていません。
さて国内政治の行方はどうでしょうか。ゴールは見えています。どんなに民主党が頑張っても来年には衆議院の任期が満了するし、参議院選挙もあります。ですから、年内解散か来年夏までに選挙があることは間違いありません。
自民党としては少しでも早く選挙をして、政権に返り咲きたいところです。自公が政権に復帰することは既定の事実です。第三極がどんなに頑張っても全国の小選挙区で過半数を獲得するのは難しいでしょう。せいぜい大都市周辺と比例区で議席を獲得するくらいでしょう。
今回の消費税については、法案が可決されるのはほぼ間違いないと思います。次に控えているのが、選挙制度改革法案と赤字国債発行に関する法案です。後者はご存じのように、去年管内閣で総辞職と引き換えに成立した法案です。
こちらは今回はそれほど問題なく通過すると思います。この法案の通過を条件に総選挙を要求したとしても、選挙制度改革案が成立しなければ、それを理由に野田政権は解散を回避できるからです。まず解散を願う自民党としては、こちらを通しておかなければなりません。
問題は選挙制度改革法案です。これは逆ねじれ状態です。つまり民主党と公明党は賛成で自民党が反対しています。公明党にとって有利であっても、自民党にとって不利だからです。この法案は小選挙区で議席が取れなかった政党を比例区で優先する法案です。
ですから小選挙区で勝利が確実な自民党にとって比例区での議席が減ることを意味します。公明党は小選挙区でほとんど立候補しないので、民主党の選挙制度改革案が有利なのです。実はさらに興味深い点があります。というのは次回の総選挙では民主党の敗北は確実です。
ということは小選挙区で前回民主党が勝利したところでほとんど敗北するでしょう。そうなれば、民主党も今提案している選挙制度改革案では比例区で勝利する議員がでると言うことです。また社民党や特に共産党にとっても有利です。共産党は全国の小選挙区で立候補するし、敗北が確実だからです。
一方大都市周辺の小選挙区で勝利する可能性のある第三極の政党は比例区で思ったほど勝利できないということになります。そうすると、自民党は小泉選挙のような大勝の可能性はなく、民主党は大敗北するが比例区で思った以上の議席を獲得でき、公明・社民・共産の既成小政党はこれまでの議席かそれ以上の議席を獲得できるはずです。
一方これまでの選挙制度なら小選挙区と比例区両方で議席を獲得できた第三極の政党は思ったほど議席が獲得できないということになります。ですから、今民主と公明が賛成する案が提出されるなら、民主と公明以外の共産・社民なども賛成することになります。
自民党としては、これに賛成しなければ解散総選挙はできないし、賛成すればみすみす大勝利が単なる勝利程度に終わるということになります。谷垣総裁も決断を求められます。ただ谷垣総裁に残された時間は余りありません。せいぜい1月半と言ったところでしょうか。
こう考えていくと野田総理のなかなかの策士だと思います。どじょうだのシロアリだの言われながら、このまま行くとねじれ国会の中で消費税法案を通過させ、赤字国債法案を通過させ、選挙制度改革法案を通過させ、一端全停止になった原子力発電所を再開させたことになります。
鳩山・管内閣が理想だけ高くて結局何も決められなかったのに対して、地味ではあるが、着実に政策を進めたと言えるでしょう。もちろん、彼が通過させるはずの法案に反対な方はとんでもない首相だということになるのでしょうが。選挙制度改革法案の行方が注目されます。
明日は久しぶりに散髪に行きます。明日の議決時の反対票の行方が注目されます。