新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中国国内投資の現状報告

今日は午前中は曇りだったのですが、午後から又雨になりました。午前中は家の庭の野菜の手入れです。と言っても毎度書いているように、ツマクマのお手伝いです。午後は授業の準備をしました。来週は火曜日まで予定がつまっていて大変だからです。

 今授業は古典をやっています。来週までやります。徒然草枕草子をやります。それが終わると近代詩と近代短歌です。前期後半はこれで予定が終わります。9月の第2週には期末試験があります。

 株価は以前から書いているように相変わらず低迷です。ヨーロッパ経済に続いて中国経済も低迷しているようですから、値上がりを期待する方が無理でしょう。ただおじさんの持ち株の某機械メーカーがじわじわ上がっている点だけが救いです。と言ってもまだ買値を下回っています。ここは天皇家も持っているほどの堅実なメーカーです。

 さて、今日は昨日の授業の報告です。以前から書いているように、経済ゼミで「中国経済入門」(日本評論社刊)というテキストを輪読しています。おじさんも中国農村の実態について報告しました。

 このテキストの中で日本人が意外に知らない経済統計の結果が載っています。今日はその報告をします。昨日の章のタイトルは「外資は何をもたらしたかー外資の役割と評価」です。その章で分かったのは、中国における投資の大部分が国内投資だと言うことです。

 中国には多くの外国企業が参入していますが、外資より国内の投資が圧倒的に多いのです。この国内投資の源泉は信じられないほど高い国内貯蓄率なのです。何と54%の高さを誇ります。(2008年度)ところで貯蓄大国と言われた日本はどうでしょうか。2、7%です。何と中国の20分の1なのです。

 すでに消費大国アメリカの5,7%に抜かれています。生活がちゃらんぽらんで、財政破たんがうわさされるスペインでも16,9%です。ところでなぜ中国でそんなに貯蓄率が高いかと言えば、このテキストによれば社会保障がまだ完備していないので、老後に備えていると書いてありました。

 それにタンス預金が多いのだそうです。これは分かります。中国農村部では郵便局ですらない地方が多くあります。また日本のようにローンが確立していないので、ほとんど現金取引です。そう言えば、おじさんのいた都市でも個人商店などはレジがないので、現金の束を手に持ってお客さんにお釣りを払っていました。

 バスの車掌さんも手に少額紙幣を札束のように持って切符を売っていました。(今はワンマンバスになったのでそんなことはありません。)おじさんたちが日本に帰る際の航空券も現金決済なので、例えば6000元だと100元紙幣(最高額紙幣)を60枚も用意して支払っていました。

 またマンションを買ったり電化製品を買ったりする時も普通の庶民は現金払いです。お店の方も現金だと確実なので、それを好むようです。ただ偽札が多いので気をつけねばなりません。おじさんが受けている授業の先生も中国滞在中に偽札をつかまされたそうです。

 日本で貯蓄率が世界的に見ても少ないのは高齢化と若者の非正規化が原因でしょう。年金生活者が2000万人以上もいるし、その人たちが貯蓄できるとも思えません。非正規の若者も貯蓄は無理でしょう。今日もツマクマが65歳になったので介護保険料を支払うように通知が来ていました。びっくりです。何と年間4万円以上です。

 国民健康保険と併せると月々の年金の1割になります。それと別に所得税地方税もかかります。これでブログなどで言われるような年金の減額をされたら、生活は大変だと思います。

 さて中国での投資分野について面白と思ったことがあります。もちろん、上海の不動産バブルのように、投資率のいちばん大きな分野は不動産・商業サービスです。2000年の6,2%から2008年には17,1%にまで上昇しています。率にして約3倍です。

 割合が高いのは製造業で55,6%です。これは2000年も2008年もほとんど変わりません。ところで一番投資率の高い分野は何だと思いますか。不動産について書かなければ、多分不動産と答えたと思います。この分野は何と2000年から2008年の8年間で約9倍に伸びています。

 中国経済の将来について考える時参考になると思います。答えは科学研究・総合技術サービスの分野です。日本では科学研究費の削減が話題になっています。事業仕分けでも科学研究費の削減が話題になっていました。それなのに、中国では逆に科学研究費の伸びが8年間で9倍になっているのです。

 もちろん、不動産分野などに比べたら額は少ないです。2000年で26億ドルだったのが、2008年には698億ドルになっています。中国と言うとコピーなど知的財産権を無断で使用するイメージが強いのですが、実はものすごい勢いで自国でも科学研究を進めているのです。

 このようなことは、中国経済の専門家の間では常識であっても専門外の人には意外と知られていないと思います。学問の重要さは、マスコミ報道や先入観だけでなく、きちんとした権威ある専門書で事実を知ることができることです。

 また自分の目で生きた中国社会を3年間も観察したので、専門書にかかれた内容がとてもよく理解できます。たとえ専門書を読んでも、実体験がなければ身につかなかったと思います。しかし、ビジネスマンであればそんな余裕もないし、学生であれば中国社会特に庶民の暮らしなど関心もないでしょう。

 定年後大学教師という恵まれた環境で中国に3年間も生活できたからこそ、このような文章がかけるのだと思いました。明日は大学院の人間環境論の授業の現地実習です。疲れると思うのでブログはお休みになるかもしれません。日曜日から火曜日までも忙しいのでブログ再開は火曜日になりそうです。