新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

米中の経済関係についてー授業報告と応用

今日は朝から雨でした。今年の梅雨はなかなか上がらないようです。このまま行くと梅雨明けは20日過ぎになりそうです。昨日は大学院の授業で遅くなったのでブログはお休みしました。

 株価は相変わらず低迷です。先日証券会社から持ち株の評価がきていました。買値に対して相当な値下がりです。外貨投資もさっぱりです。と言ってもアメリカもヨーロッパも中国も景気低迷です。日本だけ景気回復はむりでしょう。後で三国の経済関係について書きます。

 政治も行き詰りです。おじさんも総選挙はもう少し後でもよいと思ったのですが、今の閉塞的な状況なら選挙をして気分を変えてもよいかとも思います。ただすでに勝利が予想されている自公両党の政策を見ても相変わらずの公共投資政策重視ですから、変化は期待できそうにありません。

 さて今日は昨日の授業で思ったことを書きます。昨日の中国経済ゼミのテーマは「米中両国の経済依存関係は災いか福か」でした。サブタイトルは「二大経済国家の対立と協調」です。

 結論から言えば、すでに米中の経済関係は断絶することができないほど太い関係になっています。米中両国の貿易総額(輸入+輸出総額)は4000億ドルに達しています。1987年には100億ドルちょっとくらいだったのです。30年をちょっと切るくらいで40倍になりました。

 もちろん、圧倒的な中国の輸出超過です。米国と中国とでは統計額が異なります。米国の統計によれば2730億ドルの貿易赤字です。一方中国側の統計では1810億ドルの貿易赤字と言うことになります。かっては、ご存じのように対日貿易赤字が大きかったのです。

 アメリカの対地域貿易赤字は1985年には日本が36%で一番でした。現在はそれが9.5%まで下がっています。つまりアメリカにとって対日本の貿易赤字は中国に比べればたいしたことのない水準になっています。逆に中国は42,3%にまで膨らんでいます。


 もし、中国がアメリカへの輸出を停止すれば、中国は膨大な在庫を抱えることになります。一方アメリカからすれば、大変な物価高になると言うことです。また中国の外貨準備高は3兆ドルになります。ドルの割合は7割にも及びます。2010年の時点で米国国債を1兆ドル所有しているそうです。

 中国は以前書いたように過剰貯蓄で内需が不足しています。逆に米国は過剰消費で貯蓄が不足しているのです。また元安のままにしているのが、貿易赤字の原因だと言われています。しかし、米国に限って言えば、もしアメリカ人が消費をやめて貯蓄に励めば逆説的ですが、世界中で商品が余ってしまいます。

 世界経済はアメリカ人の過剰消費によって支えられていると言ってもよいでしょう。日本について言えば、中国の工業製品のもとになる資材を輸出して対中国貿易で膨大な黒字になっています。その資材で中国は製品を作りアメリカに輸出して利益を上げているのです。

 ところで、日中間で緊張関係が高まった時、アメリカはどうするでしょうか。多分中立的な立場に立つと思います。日本の立場に立った時、中国側が米国国債を売却すると脅すこともできます。実行しなくても、そのようなうわさが流れるだけでも米国国債は暴落し、金利が上昇するでしょう。

 さりとて日米安保条約があるので、日本を見捨てることもできません。領土問題をめぐって日中の軍事衝突などとなったら、アメリカは極めて困った状態になります。中国は国連の常任理事国なので、中国への非難決議に
拒否権を行使することもできます。その場合ロシアも同調するでしょう。

 米中戦争の危険を冒してまで、アメリカが積極的に日本を支援することも期待薄でしょう。多分両国が停戦し話し合うことを期待するくらいの声明を出すか、調停をかって出るかくらいです。沖縄の米軍基地を攻撃でもしないかぎり直接介入はしないでしょう。この場合、韓国も立場が微妙です。反日感情が強い中で積極的に支援してくれるか疑問です。中国の輸入相手国の1位は当然日本でシェア―は13%です。次が韓国で10%です。

 韓国は国内需要が日本に比べて格段に低いです。ですから、輸出相手国である中国はとても重要なお客さんなのです。工業製品に限れば、韓国にとって日本は輸出相手国にはなりがたいのです。もちろん最大の輸入相手国ではあります。しかし、輸出があっての輸入なのです。反日感情を持つ日本と輸出相手国の中国、この場合積極的に日本を助ける理由は余りありません。

 台湾はどうでしょう。領土問題については、台湾も領有権を主張しています。ですから、中国を非難するのは論理矛盾になります。ロシアはもちろん中国を支持するでしょう。これは日米安保条約を解消して、自主防衛路線をとっても同じです。(核武装を含む)

 その場合、韓国はさらに日本の軍事力の拡大を警戒するはずです。ロシアも同様です。もちろん、東南アジア諸国は中国と領土問題を抱えているので日本を支持してくれるでしょう。しかし、台湾・韓国・ロシアの経済力や軍事力とは比べ物になりません。

 インド・オーストラリアは遠すぎてさらに頼りになりません。マルクスではありませんが、やはり世界を動かしているのは経済だと思います。金の切れ目が縁の切れ目とも言います。国際関係を考える時、一番根本にあるのは経済関係だと思いました。

 明日は大学院の人間環境論の現地実習があります。