新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

終身雇用制度について思うこと

今日は午前中は曇り空だったのですが、午後から雨になりました。地方によっては真夏日との報道がありましたが、おじさんの住む地方はまだまだ梅雨が続いています。

 今日は祭日なので、おじさんがいつも見ているサイトはお休みです。ちなみに、毎日見ているのは「官報・ダイヤモンドオンライン・JBプレス・アゴラ・ブロゴス」です。以前は別のサイトを見ていたのですが、意見がほとんど参考にならずやめました。

 このブログの読者の方でおもしろいサイトがあったら紹介してください。有料サイトは見ません。お金を出してまで情報を仕入れる必要はないからです。

 おまけに株式相場は休場なのでがっかりです。アメリカの株式相場が反発したので日本でも反発が予想されるので期待しているのです。官から民へが世界的なスローガンですが、日本やイギリスの金融機関の不正行為などを見ると民に全てを任せれば大丈夫とはいかないようです。

 さて、今学校の図書館から「就活のバカヤロー」と「若者はなぜ3年で辞めるのか」(いずれも光文社新書)借りて読んでいます。今年の就職活動は、中小企業に大学生の目が向いて、結構就職が決まっていると報道されていました。就職問題は様々な問題があって簡単に書ききれないので、今回は終身雇用について書きます。

 サイトを見ても、雑誌を見ても終身雇用は悪者扱いで、散々叩かれています。それ以前に企業社員よりノマドのような自由業が人気なようです。

 まあこのような記事は何年も前からあるので珍しくはありません。ところで人気のない終身雇用ですが、もし期限付き雇用と終身雇用の会社があって、条件も将来性も同じなら当然終身雇用の会社に人気が集まるでしょう。

 雇用の歴史を見てみても、明治期から戦前までを除けば基本は終身雇用でした。究極の終身雇用は江戸時代の武士です。逆に言えば江戸時代は失業すると(浪人)次の就職は相当困難だったようです。

 こう書くと江戸時代の武士は楽勝だったようですが、様々な本を見ると、決して楽ばかりではなかったようです。専門職(勘定方)などですと試験があったようです。さらに古く律令体制の時代でも勤務の管理も相当厳しかったようです。(今読んでいる「飛鳥の木簡」中公新書

 どの時代でも専門的能力を高めて職位を上げていったようです。その代り終身雇用(引退するまでの雇用の保障)が約束されていました。江戸時代の大店(おおだな 大企業)も丁稚から手代、番頭、分家はと昇進したようです。これもやはり終身雇用の例です。

 現代ではどうでしょうか。大企業でもいつ破綻するか分からないと言います。しかし、大企業の場合破綻しても会社更生法などで生き返ることが多いです。(JALなど)また東電のように政府が応援してくれることが多いです。途中で破綻するのは零細中小企業の方が圧倒的い多いでしょう。中小企業でも終身雇用が常識です。中小企業ほど個人の能力を育てるのに経費がかかっているので、そう簡単に転職されては困るでしょう。

 転職する場合は、その会社に魅力がないか能力があるのでさらに良い条件の会社に転職するかです。現在のような不況だと転職はほとんどの場合会社に魅力がないか人間関係に問題があるかでしょう。
 
 ですから、働く側としては大企業でなくても終身雇用を願うというのは当然のことです。マスコミやネットのサイトだけが、終身雇用を非難しているのです。なぜなら、ローンを借りたり、子供を大学へ進学させるためにも安定した雇用が必要です。3年間の短期契約だと将来が不安でローンも組めないでしょう。もちろん銀行も貸してくれません。

 起業などは極めて危険がことです。成功するリスクは極めて低いでしょう。それに、能力のある人こそ大きな企業の方が力を発揮できます。組織がバックにあるからです。日本の場合、個人の能力よりバックにある組織を信用するからです。

 海外の場合は状況が違います。中国の民間企業の場合は、最初から終身雇用のシステムがありません。もちろん国営企業や公務員などは終身雇用です。ですから中国でも国営企業や公務員は大人気です。どこの国でも安定した生活を願うのは当然です。

 中国の民間企業の場合は、企業の組織力より個人の能力を評価します。ですから、転職は当たり前だし、起業してもその会社に能力があれば、大企業でもその会社と取引をしてくれます。そこが日本と大きな違いです。

 日本の場合、社会システム自身が終身雇用を前提に作られています。これを壊すことは、日本の社会システム自身が崩壊します。いつ失業するか分からない人に銀行は20年のローンを貸せないでしょう。カード会社でも同様です。企業の名前や職位が信じられるからこそカードを与えることができるのです。

 こう書くと本人の能力に対して信用を与えるべきだと言われます。しかし、本人の能力を評価するのは極めて困難です。本人の能力を評価するより、本人の所属する組織(企業や官公庁)を評価する方がよほど簡単で、安心できるし、経費の削減になります。

 マスコミやネットの記事など信じないで、親の言うとおり大企業の終身雇用のルートに乗る方がはるかに安全安心な人生を送ることができるはずです。昔の諺に「親の意見となすびの花には千に一つの仇(無駄)もない。」と言います。

 昨日の記事と矛盾しますが、若者は幻を見ても良いけれど、しっかり現実を見てほしいです。明日は久しぶりに銀行回りです。