新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

政策選択の余地について

今日も真夏日です。小中高は夏休みに入ったのですが、おじさんの勤務する学校は特殊法人の管轄なので、7月いっぱい授業があります。それなのに9月は3日から授業開始です。ただ9月12日からの期末考査後は秋休みに相当する休みがあります。

 なんだか初めての授業スタイルなので当惑しています。一方色々な経験ができて楽しい点もあります。特に図書館の蔵書が高校図書館に比べて充実しているのがうれしいです。それと図書館におじさんの大好きな日経新聞があるのもうれしいです。

 株価は相変わらず低迷です。日本の大手企業は軒並み年初来安値を更新しています。一時業績が復活した東芝も200円台半ばくらいになりました。1年前の半値に近いところです。鉄鋼・電機など雇用に大きな影響のあるところは総崩れです。電力も毎日年初来安値を更新しています。

 電力も地域経済や関連企業が多いので大変です。ちなみに今日の東証一部の値上がり率1位は何と第一パン(略称)でした。日本を代表する企業の一つ東芝出来高1位で年初来安値なのに、パンメーカーが値上がり率1位というところに現在の日本経済の現状が表れていると思います。

 さて今日は現在の日本において政策選択の余地がほどんどないことについて書きます。実は先週くらいにある週刊誌がもし総選挙があれば、民主党は90議席そこそこ、自民党は120議席、維新の会が200議席と報じていました。

 まさに売らんかなの週刊誌の姿勢ですが、もしこれが現実になったとしても日本の政治が大きく変わるということはないと思います。以前書いた通り、民主党野田首相になって自民党とほとんど政策に差がなくなりました。これは政権維持の目的もありますが、このような政策選択しか現実にできないからだと思います。

 理想に基づく政治と現実に基づく政治があります。しかし、1億2千万人の国民の生活を守ろうとしたら、理想に基づく政治だけでは動かないと思います。マスコミも含めてブログなどをみても政府の政策への反対のオンパレードです。

 増税反対、オスプレイの配置反対、原発稼働反対、TPP協定反対、基地移転反対、などいくつも項目が並んでいます。この意見を政府が全部受け入れたらどうなるでしょう。増税反対は良いのですが、財政赤字はどうなるのでしょう。財政赤字の根源は社会保障費であることは明確です。

 もし、高齢者の医療費負担増を主張すれば高齢者の票は逃げていくでしょう。維新の会が政権をとって、高齢者の医療費を1回500円負担してもらうと言えば次の選挙で敗北するのは明らかです。選挙前に社会保障費の減額をマニュフェストに書き込めば間違いなく敗北します。

 おじさんは持病がほとんどないのでそんなに医療費を使いませんが、80代の高齢者には死活問題でしょう。また医療関係者も患者さんが減少するので大反対するでしょう。オスプレイの配置や基地問題についても現在の民主党政権自民党は同じ立場です。

 ここでも維新の会が配置を強引に中止させれば日米の外交関係は破綻します。維新の会の主催者である橋下市長もそのくらいのことは分かっていると思います。橋下氏が首相になっても選択できる外交カードはほとんど現在と同じです。

 領土問題で中国と対立している中、アメリカの支援なしに中国と対決できるはずはありません。原発再稼働についてはご存じの通りです。全ての原発を即時廃炉にするなどという決定をすれば日本企業の海外進出を加速させるだけです。

 自然エネルギー原発に置き換えるのに最低でも数年かかるでしょう。その間まだ海の物とも山のものともしれない自然エネルギーに企業は電力を任せるわけにはいかないと思います。さらに廃炉にするとなれば膨大な費用がかかります。在野ならなんとでも言えますが、政権を担当するとなると責任があります。

 もし電力会社に負担させるとなると、全ての電力会社は破産するでしょう。逆に電力料金に廃炉費用を上乗せすると、大変な電気料金の値上げになります。10%の電気料金の値上げでさえ大変なのですから、猛烈な反対が起こります。

 それなら税金を投入するのかということになりますが、そうすれば財政赤字がさらに拡大します。景気回復も内需に期待できない限り、輸出に頼らなければなりませんが、ヨーロッパがあの状況では輸出は難しいです。さらに中国への過度の依存が危険だとすると、どこに輸出先を求めるのでしょうか。

 東南アジア特にベトナムあたりに期待がかかっていますが、経済規模からいえば中国と比べものになりません。日本は中国への輸出で経済を維持しているのです。ちなみに、昨日の日経によれば中国に一番多額の資金を融資しているのは何とイギリスでした。イギリスの対中国向け融資は1528億ドルです。日本は598億ドルです。イギリスの約三分の一です。

 その他に香港にもイギリスは2990億ドル融資しています。日本は662億ドルです。これを見て唖然としました。もし日中両国が軍事衝突した場合、イギリスは自国の資産を守るために中国側の味方をする可能性もあるのです。もし、イギリスが中国と対立して中国がイギリス資産を凍結したら、イギリスは約4500億ドルの資産を失うことになります。

 そうなればイギリス経済は破綻するでしょう。イギリスはアメリカや日本より早く中国と国交を持っていたと思います。北朝鮮とも国交をもっているはずです。

 こう考えると、日中両国が決定的な対立状態になった時、本当に最後まで味方してくれる国はあるのでしょうか。国連の支援は期待できません。中国自身が常任理事国で拒否権を持っています。ロシアも日本からの見返りがなければ、中国側に付くでしょう。ヨーロッパ諸国は遠すぎます。

 ヨーロッパの有力国であるドイツはかっての三国同盟のよしみで日本の味方をしてくれるのでしょうか。そうともかぎりません。中国最大の自動車輸出国はドイツなのです。中国のタクシーの大部分、ほとんどの警察車両はVW(フォルクスワーゲン)です。それに、日中戦争時、ドイツは中国に軍事顧問団を送っていたのです。三国同盟後停止しました。

 中国で日中戦争中のドラマを見て驚いたことがありました。何と中国軍の兵士があのナチスドイツで採用された独特な形のヘルメットをかぶっているのです。日本にずっといると気がつかないことでも、中国で暮らしてみるといろいろ分かります。

 維新の会が政権を握れば、また政治の素人軍団によって混乱が起こるだけです。今の状況では、大連立を組んでお互いの足の引っ張り合いをやめ、一つ一つたとえ国民の反対があっても問題を解決するしかないと思います。

 しかし、最終的には選挙こそ全てなので、国民がどのような選択をするか注目されます。明日はのんびり過ごします。