新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

外交におけるサインー日朝遺骨交渉を例に

今日は雨が降ったりやんだりの天気でした。盆が近づくとさすがに秋の気配が感じられます。オリンピックは思った以上の成果がでました。この調子で日本経済も頑張ってもらいたいものです。

 株価も一時の下落傾向から下げ止まりまできました。しかし、秋以降の海外の選挙結果次第ではどうなるかわかりません。オリンピックと消費税問題で、日韓の領土問題も大きな波紋を巻き起こしませんでした。しかし、ある外交上の大きなサインがでていることに気づきました。今日はそのことについて書きます。

 おじさんが外交に興味を持ちだしたのは、30年くらい前に外交テクニックに関する本を読んだからです。確か「外交の技法」のような名前の本だったと思います。

 その本の中で、外交上の転換期には必ず相手にサインを出すと言われます。外交は内政の延長ですから、自国での内政上の変化があれば、外交相手に何らかのサインを出すものです。そして、相手もそれに応じる気があれば、サインを返します。

 今回の日朝遺骨返還交渉を例に外交におけるサインについて書いてみたいと思います。サインが出る前兆は外から観察できます。今回の場合明らかに北朝鮮は日本やアメリカに交渉を再開したいというサインを送っています。

 アメリカの場合、デイズニーを連想させるぬいぐるみを舞台に登場させ、それを放映することです。金正日主席の時には考えられないことです。全てを国家が支配している国ではテレビニュースでさえ外交上のサインなのです。前に書いた本では相手の国の元首を呼び捨てにしていたのを職名で呼ぶニュースを流すだけでもサインだと書いてありました。 ルーズベルトは→ルーズベルト大統領は 悪の代表ルーズベルトルーズベルト

 日本の場合は、キムジョンウン氏の母親について認めています。彼女は在日朝鮮人でした。また古くからの知り合いの日本人を呼んでいます。これは明らかなサインで、日本との敵対関係を少し緩めることを示しています。

 日本国内でも拉致被害者会が北朝鮮との交渉を主張していました。これは日本側のサインです。北朝鮮側がどんなに日本と交渉を再開したくても、国内で大きな影響力を持つ被害者会が反対すれば何もできません。もちろん政府(外務省)も十分分かっているはずです。・・素人のおじさんでも分かりますから。

 もしかしたら、政府側も拉致被害者会に事前に北朝鮮からオファーがあったことを伝えて了承を求めていたのかもしれません。

 さてなぜ遺骨返還交渉なのでしょうか。まずこの交渉が国と国でなく赤十字間で行われる点にポイントがあります。つまり国同士の交渉の全段階なのです。北朝鮮の場合赤十字といえ国の指導下にあることは間違いありません。政府首脳の許可なしに、何一つできないはずです。

 このことは交渉が失敗しても政府間には何の責任問題も発生しないことを意味します。さらに大きな意味は、遺骨返還交渉は極めて人道的な内容で、誰も反対できないことです。どんなに北朝鮮が嫌いな人でも、北朝鮮国内に残る日本人の遺骨を収集し、帰国させて葬る交渉に反対できるはずはありません。

 特に戦争で亡くなった軍人さんの遺骨を日本に返すというのに保守派の人が反対できるはずはありません。逆に朝鮮の人の遺骨も実は日本のお寺に沢山残されています。戦前炭鉱などで働いた朝鮮人労働者の遺骨です。それも以前首相だった麻生氏の地元に多くあるのです。

 日本から北朝鮮に遺骨収集のために人を派遣し、北朝鮮からは日本に残された遺骨の返還のために人がくるとなれば、そこからは政府間の交渉になります。大切なのは何であれ話し合いの場を持つことです。

 実はアメリカも朝鮮戦争で死んだ米兵の遺骨の返還を北朝鮮から受けています。またアメリカ側もその調査を北朝鮮に依頼しています。北朝鮮側は、遺骨を見つけたしてもすぐに連絡するわけではありません。自国が交渉したいと思う時に連絡していると思います。

 アメリカにしても遺骨が見つかったのに、その引き取り交渉に応じないなどということは国民感情を考えれば、不可能です。逆に連絡してくること自身、交渉をしたいというサインだと理解するわけです。交渉を求めること自身何か協議したいことがあるのです。

 さて、韓国の大統領が日本の竹島を訪問した問題です。おじさんの大胆な推測ですが、北朝鮮の動きに対する牽制ではないかと思います。それだけではないでしょが、これも韓国側の日本に対する不快感のサインの一つです。

 韓国にとって、自国の頭越しに北朝鮮と日本とが交渉を再開することは脅威です。もしかしたら中国も不快感を持っているかもしれません。北朝鮮嫌いの人が99%の日本ですが、逆説的に言えば北朝鮮と日本が国交を結ぶ交渉を始めることは、中国・韓国に対する大きな外交上のカードになるかもしれません。

 もし日本の企業進出が可能になれば、中国だけに依存してきた北朝鮮は有利な立場に立ちます。韓国にとっては、北朝鮮と日本に挟まれることになります。また北朝鮮が力をつければ韓国による統一など夢の夢になります。

 ニクソン大統領の中国訪問で世界は驚きました。もし日本が北朝鮮と国交を回復するなら、世界は驚嘆するでしょう。もちろん、日本でそんなことを思っているのは、外交専門家(外交専門家とは外務省の人や大学の研究者)とおじさんくらいでしょうね。真夏の夜の夢物語です。

 明日はお盆でお墓参りです。