新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

日朝政府間交渉の外交戦略的意味

 昨日と打って変わって今日は真夏日に逆戻りです。とは言っても空は秋空になりつつあります。小中高の生徒さんは、後2週間で夏休みが終わりです。

 おじさんの勤務する特殊法人の学校は、8月からが夏休みで、9月に2週間くらいの休みがあります。夏休みが明けるとすぐ期末考査です。

 このところ東アジアの外交をめぐっては大きな動きがあります。先日書いたように、日本政府と北朝鮮政府の間で政府間交渉が再開されるようです。拉致問題が取り上げられるのは確実な中でよく北朝鮮が政府間交渉に応じたものだと思います。

 これは北朝鮮国内情勢と深く関わっているでしょう。先日も書いたように、キムジョンウン氏がこれまでの政治路線をかえつつあることと関連します。

 キム氏の本当の狙いはアメリカとの二国間交渉だと思います。ただアメリカとしてもそう簡単に二国間交渉に乗るわけには行かないでしょう。中国・韓国の顔をつぶすことになるからです。その露払いとして、日本が選ばれた可能性もあると思います。拉致問題で進展があれば、野田政権にとっては大きなポイントです。

 前回小泉首相の訪朝で被害者を連れた帰ったのは外交史上に残る業績です。さらに、安部氏が対北朝鮮で強硬姿勢を貫いたことが、後の総理就任の大きな後押しとなりました。その例に倣えば、ここで野田政権が拉致問題で成果を残せば、支持率の回復にもつながるでしょう。

 逆にここ数日の韓国の異常なほどの対日強硬策は、日本の外交政策転換への焦りの裏返しとも言えます。突然、竹島に上陸したり、従軍慰安婦問題を取り上げたり、天皇陛下の謝罪を要求したり、これまでの対日外交から考えると信じられないことです。

 北朝鮮にとっては、もっけの幸いです。これまで北朝鮮非難一色だった対朝鮮半島問題に、韓国非難の大合唱が起こるのですから、当然北朝鮮への風向きも代わります。もちろん、北朝鮮竹島問題や従軍慰安婦問題、天皇陛下の謝罪問題などにはノーコメントでしょう。北朝鮮もそちらの方が有利ですから。北朝鮮が韓国を助ける気があれば、これらの問題について韓国を応援して、日本非難の声明を出すでしょう。

 さらに香港から尖閣列島への上陸を目指す船が出たようです。上陸阻止となれば、また中国のネットが騒ぎたてるでしょう。実はそのような日本国内で反中・反韓意識が高まった中で日朝交渉は行われるのです。

 韓国や中国が事前に北朝鮮の動きを知らなかったはずはありません。逆に北朝鮮反日感情を知っていただけに、何も結局はまとまらないだろうとた甘くみていたことが想像できます。日本側にしても民主党政権のドタバタぶりを知っていただけに、何もできないだろうと考えていたようです。

 この日朝交渉の進展の裏には間違いなくアメリカがいるのでしょう。逆に言えばアメリカの同意なしに、野田首相が独断で日朝交渉を再開するはずはありません。アメリカは野田首相があれほど反対の多い原発再稼働を成し遂げ、大連立に近い動きで消費税値上げを成し遂げたことを評価していると思います。野田首相は意外と力があると見たのだと思います。これは北朝鮮も同様でしょう。

 野田首相は谷垣さんとこの問題について何らかの話合いをしている可能性もあります。次の総選挙で自公連立政権が誕生するのは間違いありません。その時、日朝交渉がどうなっているかは、これからの東アジア情勢を考える上で極めて重要です。

 先日書いたように、急速に反日感情を高める韓国や尖閣諸島をめぐって、中台連合の可能性がある中で、対北朝鮮問題で、一歩前進できるなら、大きな外交カードとなります。

 もし、ここでまた日朝交渉が進展しなければ、日本はさらに窮地に立たされるでしょう。中国と韓国という日本経済にとって重要な二カ国と対決しなければならなくなるからです。うまいことに、この二カ国は指導者が交代します。政権が安定するまで大きな動きはできません。

 もし、谷垣さんと野田首相が組むなら、安定した政権運営ができます。それを背景に対北朝鮮問題を前進させ、それをテコに対韓国、対中国交渉に強気で出られるなら、日本にとって有利な情勢ができます。

 どのブログやサイトを見ても、おじさんのような奇想天外な意見は出てきません。多分おじさんが夏ボケしているので、こんな空想的な意見を書くのだと思います。

 明日も期末考査の問題作りです。