新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中央集権と地方分権

今日は午後から雨になりました。台風が接近中なので週末くらいから雨になりそうです。今日から孫が来たので、博物館に行きました。以前からあった小規模な博物館を本格的なものに変えました。

 ここは古生物の標本などがそろっています。株価の方はアメリカの値上がりを受けてすこしずつ回復しています。株式市場は日本の政界の混乱などは全く無関係のようです。経済と政治は日本の場合、相関関係はなさそうです。それよりも株価の場合、アメリカの市場の影響が大きいようです。

 さて、維新の会は地方分権を提唱しているので、今日はそのことについて書きます。まず道州制については反対です。屋上に屋を重ねるようなものです。平成の大合併をしましたが、余り成果が上がったとも言えません。それに、道州制の場合地域の経済格差が大きいです。

 近畿圏、中部圏、東京都市圏とそれ以外の地域の経済格差が大きすぎます。九州・中国州・東北州・北陸州・中国州は経済的には大変でしょう。北海道も同様です。

 国からの地方交付税交付金ではなく、各道州が徴税権を持つとしたら、格差は相当なものになるでしょう。それに少子高齢社会がさらに進む時、近畿・中部・東京以外の地域は高齢者ばかりの社会になります。新しい産業が大都市圏以外で起こる可能性も少ないです。

 平成の大合併でもそうですが、それ以前の合併でも合併によって栄えるのはその地域一番の繁華街だけです。それぞれの地域にあった繁華街は衰退します。おじさんの市も合併してできたのですが、以前それぞれの地域で繁華街だったところは今は見る影もありません。

 道州制でも同様でしょう。九州なら福岡市、中国なら広島市、東北なら仙台市だけがさらに拡大し、それぞれの県庁所在地は衰退するでしょう。また、同じ州内でも有力な県があると縄張り争いが起きそうです。九州なら福岡と熊本、中国なら広島と岡山、四国なら松山と高松などです。

 また同じ州内でも地域文化が大きく異なります。たとえば九州はひとつと言っても、南九州は農業中心ですし、北九州は工業が中心です。これを一つにまとめるのも大変です。

 強いて言うなら都道府県の合併の方が合理的かもしれません。島根県鳥取県の合併や福岡県と佐賀県の合併などです。実際は文化や歴史が異なるので難しいかもしれません。

 中央集権について言えば、現在の日本は中央集権国家ですが、意外なことに中国は地方分権です。一党独裁などと言えば、全国津々浦々同一の政策が行われていると思いがちですが、地域の差は相当大きいです。教育内容などについても同様です。

 中国にも統一考試というのがあります。おじさんはてっきり全国同一問題だと思ったら、地域で全く別の問題なのだそうです。あるまとまった地域ごとに問題を作って採点も地域でするのだそうです。日本のセンター試験は大学で行いますが、中国では高校(中国では高級中学)で行います。

 日本では教育設備は学校教育法や学校保健法、学校給食法などで決まっています。北海道から沖縄まで同じ基準で教育活動がなされています。ところが、中国では地域によって全くばらばらなのです。そもそも標準語でさえまだ完全に普及していないのです。

 おじさんの大学は地域一番の国立総合大学(創立以来80年の歴史があります。)なのですが、大学には標準語を使いましょうという看板があちこちにありました。またある時は標準語を使う運動大集会が学生食堂の前であっていました。

 アメリカも似たようなものです。そもそもアメリカ合衆国なのです。合衆というより合州国と言った方がよさそうです。死刑制度にしても各州ごとに違いがありますし、州兵のような州独自の軍隊も認められています。日本もかっては、封建制度で幕府は中央政府ではあるが、地方政府はそれぞれ独立した財政・司法・軍事の権限を持っていました。

 アメリカや中国のような広大な国土を持つ国は地方分権でやらなければ無理だと思います。しかし、日本のような狭い国土であれば、本格的な地方分権は必要ないと思います。かえって地域分断が起こってまずいと思います。ただ政令指定都市道府県の関係は難しいと思います。

 大阪都をめざす動きもありますが、さてうまくいくものか難しいでしょう。橋下市長は大阪都構想を実現し、軌道に乗せた実績をもとに国政に参加すべきだったのでしょう。それが、中途半端な形で国政に進出するとなるとあぶはちとらずのような形になりそうです。

 もちろん、今の人気が大阪都構想の完成まで持たないことを知っているからこそ、今国政に打ってでたのでしょう。あるいは大阪都構想が挫折することが予想されるので打ってでたとも考えられます。これで橋下市長が国政に打って出るようなことがあれば、ばかを見たのは大阪市民と大阪府民ということになるでしょう。

 宮崎を見捨てた東国原氏のような人もいますから、分かりませんね。明日はのんびり過ごします。