新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

欧米での宣伝競争に思う

今日も晴天です。このところ雨が降りません。空気も乾燥しているようです。昨日は後期の授業開始です。前期は特講と言って講義(名目だけで大学院の場合実質は演習です。)なので外部者も聴講できますが、後期は同じ授業の今度は演習なので、正式には聴講できません。

 しかし、受講生がおじさんも含めて3人なので、先生の許可さえあれば受講できるのです。そういうわけでニセ学生として聴講しています。後期は前期の残りを読み終えて、「いわくら」(岩倉)をやるそうです。岩倉というのは、各地にあって、不思議な形をした岩や岩の集まりを指します。そこに神が降りてくる(降臨)神秘の場所とされているのです。

 先生の本来の専門は地質学なのですが、地質と文化の関連をやっています。正式には環境考古学と呼ばれるものです。後期の授業も楽しみです。

 株価はあいかわらずぼちぼちです。すっきりした動きになりません。先日のアメリカ大統領候補者の討論会でオバマ大統領が不人気だったようです。こんなことが続くとオバマ再選も難しくなります。そうなれば、また経済情勢も変わっていくでしょう。

 さて、今日は最近おこっている欧米の日本に対する動きについて書きます。日本国内ではナショナリズムが高揚して中韓何するものぞと意気盛んですが、欧米の雰囲気は少し違うようです。

 先日もイギリスの著名な雑誌エコノミストが安倍総裁誕生について、日本が右傾化しているとの論評を出していました。JBプレスというサイトで見ました。他所の国のことについてとやかく言うなというコメントが書き込まれていました。

 またニューヨークタイムズ尖閣問題について、台湾側の意見をオピニオンの欄に掲載したので、日本総領事館が抗議したと報道していました。さらに、今日のNHKニュースでは韓国がニューヨークの繁華街に日本の従軍慰安婦に関する広告を貼りだしたので、またまた総領事館が抗議したと報道していました。

 さらに、竹島に欧米のマスコミ関係者を招待したとの報道もあります。日本国内では、中国や韓国の反日運動の結果、中国や韓国の評判が世界的に悪くなったというのがもっぱらの意見です。

 しかし、先日も書いたようにそうでもなさそうです。欧米での日本理解が進んでいないようです。日本人は基本的に自分の意見を堂々と言うのが苦手です。「もの言えば唇寒し」という言葉もあるように、言わなくても分かってくれるはずだという面があります。

 逆に騒ぎ立てるのは良くない、あるいは議論するのは口ばっかりだ不言実行などという言葉もあります。また何か言えば、いろいろな方面から反対意見が飛んでくるので、ついつい黙ってしまいます。

 しかし、欧米だけでなく中国でもそうですが、黙っていたのでは負けてしまいます。そもそも多数の民族が一緒に暮らしているのですから、黙っていて分かるはずもありません。言って言って言い上げなければ負けなのです。中国人同士の議論も激しいです。(女性同士でも)日本では尖閣諸島竹島北方四島も歴史的に見ても日本の領土だし、そんなことは欧米諸国も分かっているはずだと考えています。

 なんだか、真実であれば黙っていても認められると考えています。しかし、欧米でも中国でも、真実とは状況によって変わるものです。みずから他者に真実であることを論証しなければなりません。そのために宣伝が必要なのです。

 中国共産党の重要機関として宣伝部というのがあります。あらゆる手段を使って自国の正しさを宣伝していくのです。日中戦争の時でも、国共内戦の時でも宣伝は極めて重要視されました。今でも軍も警察も文化団体を持っています。(芸術団の団員はかっては正規の軍人でしたが、今は文官のようです。)戦争の時、歌や踊りで兵士を鼓舞し、農民などに娯楽を与え、自分たちの政策を踊りや歌で宣伝したのです。

 ですから宣伝の重要性を知っています。宣伝は先に発信した方の印象が強くなります。人間は一度刷り込まれたら次に入ってくる情報を拒否します。それが真実であるかどうかを自分で確認する人など少数です。欧米の人にとって、アジアの小さな島がどこの国のものでも関係ないのです。

 事実ヨーロッパでも小さな島の所属もめぐって争いがありますが、私たちのとっては遠い国の話です。日本人は世界地理について結構詳しく勉強しますが、外国では世界地理などそんなに勉強しないのです。中国にいるとき内陸部の庶民などは、お前は韓国人か日本人かと聞かれたことが何度もありました。

 すでに数歩宣伝では中国や韓国が先を行っています。中国や韓国に断固たる態度で臨むのも必要ですが、はるか離れた欧米での日本の宣伝活動も重要です。ニューヨークタイムズでは先を越されたので、ワシントンポストに全面広告を出すとか、フランスのフィガロに全面広告を出すとか、どのどんお金を使って宣伝しなければなりません。

 日本人が思っている以上に中韓と欧米では差がついているのではないかと心配しています。明日は孫が又来るのでお世話が大変です。