新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中国は内部崩壊するのかーおじさんの体験

今日は曇り空の上に肌寒いです。ついこの前まで夏日が続いたのに、今は完全に秋空です。来週あたりには、さらに寒くなるでしょう。おじさんの家でも夏物を片付けて、秋から冬の準備をしました。扇風機も収納しました。

 夏まで植えていた野菜(トマトやゴウヤなど)も刈り取りました。アメリカの失業率が予想以上に回復したと報道されていました。オバマ大統領にとっては朗報です。公開討論会ではまずい対応で支持率低下が予想されたのですが、これでかなり挽回できたと思います。

 世界情勢はいよいよ選挙の季節に入ります。日本の総選挙も遅くても1月までにはあるでしょう。政権交代は確実ですが、自民党がどの程度回復するか、第三極の勢いが落ちていますが、どの程度議席をとるかも注目されます。逆に民主党については、三桁まで行くかと言う点も注目されます。

 さて、今日は午後から孫たちがくるので、今ブログを書いています。中国でも政治指導者の交代があります。ところで最近またまた中国崩壊論がでていますが、それについて書きます。

 そもそも国家崩壊については二つの視点があります。一つは国家自体が消滅するケースです。一番有名なのがソマリアです。また国家は存在しても極めて不安定な場合もあります。アフガニスタンやかってのイラクなどです。

 アラブの春のように国家は維持されたけれどまったく別の政権になる場合もあります。また、変化が外部からもたらされる場合と、内部で起こる場合があります。日本の場合などは、敗戦という外部の力で国家体制そのものが変化しました。

 アフガニスタンイラクなどもそうです。これらの中心勢力はアメリカです。内部崩壊の最大の例はソ連です。と言ってもここは、連邦だったので、それが分解して個別の国になっただけです。

 北朝鮮の場合、長く国家崩壊が予想されました。しかし、現在の体制を見る限り国家崩壊はなさそうです。情報公開が進んできたので、だんだん庶民の姿が分かってきましたが、やはり国自体が明るくなっていると思います。内部からの国家崩壊は国民の大多数が望まなければできません。

 さて、中国の場合を考えてみましょう。中国で国家崩壊が起こる原因とされるのは、格差の拡大と政府の腐敗です。しかし、格差の大きな社会は世界中どこにもあります。また腐敗は新興国どこでも見られます。刑務所の中でもわいろによってどうにでもなるというのが、南米の社会です。

 中国に関して言えば、政府の腐敗はひどいですが、きちんと政府は機能しています。おじさんたちが住んでいた西南部の地方都市でも、滞在ビザを出入国管理局に申請すれば、1週間できちんと発給してくれました。その際わいろを請求されたりすることはありません。担当の管理官の方は30代くらいの女性で、英語はもちろん日本語も堪能でした。(地元大学の日本語学部の卒業生です。階級は日本の警部くらいでした。)とてもきちんとされた方で、わいろなどとても要求しそうにありませんでした。

 滞在証明書は地元の警察の派出所(と言っても2階建ての立派な建物です。)でもらうのですが、こちらもわいろなど請求せずすぐに出してくれました。驚いたことに上海では税関の検査などないのです。いつ行っても荷物を航空会社のカウンターで受け取ってそのまま黙って外にでるのです。ですから観光客に税関職員がいじわるをしてわいろを請求することなどできません。

 旅行記を見ると、警察・税関や出入国管理官の質の悪さが指摘されています。わいろを出さないといじわるをされたり、書類をだしてもらえないとありました。おじさんの場合、3年間一度もそんなことはありまえせんでした。

  ところで中国の場合共産党以外の政治団体が出現する可能性は低いです。内部崩壊を起こした国は、政府の担当者が無能で、政府外に大勢優秀な人がいて、その人達が反政府活動をしています。

 中国では優秀な人は優先的に共産党の党員になります。大学で優秀な先生は皆党員です。大学院生で指導した優秀な学生さんも皆党員です。クラスでも選挙をして優秀な学生さんを党員に推薦していました。先述した出入国管理官の女性も党員だと思います。もちろん大学の学部長さんも主任の先生も皆党員です。

 党員でなくても、その前の共青同(正式には共産主義青年同盟だと思います。)と言うのがあって、優秀な学生さんはこれに入る場合もあります。おじさんの一番弟子もこれに入っていました。今の主席の派閥も共青同です。さらに言えば中国の人は文化大革命の混乱の国共内戦の混乱も知っています。

 国家が混乱すると大変だというのを実感を持って知っています。文革世代はすでに50代後半になっています。文革の混乱がどれほど国力を低下させたか知っているのです。

 もし、内部崩壊すれば外国が侵入していることを肌で感じているのです。今中国が世界第2位のGDPを確保できるのも、世界に影響力を行使できるのも、国家が安定しているからだと市民は皆知っています。だから60周年の国慶節の大軍事パレードに国民全てが熱狂したのです。普段政府に批判的な学生さんも興奮して、おじさんに、先生あのパレードを見ましたか、感動しましました、見ていないならぜひニュースで見て下さいと電話してきました。

 あのパレードのために訓練した軍人さんのことをニュースでみてその苦労と努力に涙が出たという学生さんの話も聞きました。皆党員でなく、一般の学生さんです。また中国人の人のツアーに参加した時も、ツアーの人がパレードの話をうれしそうに話ていました。日本人のおじさんたちにも、あのパレードを見たか中国はすごいだろうと言っていました。

 仮に国家崩壊をすれば、チベット独立運動や新疆ウイグル地区の独立運動が活発になるでしょう。その結果チベットや新疆地区を失えば、国土の膨大な部分がなくなります。中国の学生さんと話した時、中国がこれだけ大きな国なのは、チベットと新疆があるからですと言っていました。もし、日本が九州と北海道を失えば、国土は相当小さなものになります。

 中国にとってチベットや新疆を失うのは、日本が九州や北海道を失うようなものです。また現在では、西南部でも東北のりんご、新疆のブドウや海南島のバナナ、内モンゴルの牛肉が運ばれてきます。国内が混乱すれば流通網は破壊され、生活水準は今以上に下がります。東北地方の人はバナナを食べることができず、西南部の人はりんごが食べられなくなります。

 実利主義の中国の人にとって以上書いた理由は当然のことです。国家崩壊は中国人庶民にとっては最大の悪夢なのです。それに日本人が考えているほど中国の人は社会や国家に関心はありません。大勢の市民が昼間からトランプをしたり麻雀をしたり、将棋をしています。

 もし、中国の市民が麻雀をやめトランプをやめ、将棋をやめてデモに参加する、その時はまさに中国崩壊の時です。まあこんなことは中国問題専門家や国際問題専門家の間では常識でしょう。マスコミとしては中国崩壊論の方が日本では一般向きするので書いているだけです。

 おじさんも中国に行って3年間中国人の中で生活しなければマスコミ報道を信じたと思います。明日は教会で長老会があります。その後また忙しくなるので、ブログの再開は火曜日です。