新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

ある議員の話ーニコデモのこと

今日は珍しく曇り空でした。今クライマックスシリーズがあっていますが、ソフトバンクは西武に大敗中です。多分今日はダメでしょう。

 さて、日曜日なので教会ネタです。今回は聖書の話です。教会の説教はテーマごとに行われる場合とある聖書(福音書など)を1年間くらいかけて連続説教する場合があります。これを講解説教と言います。一番有名な講解説教が、バルトによる「ロマ書講解」です。この講解説教は世界中の教会に衝撃を与えました。

 この数年おじさんの教会の講解説教です。去年は使徒言行録(昔は使徒行伝と呼ばれました。)で、今年はヨハネ福音書です。講解説教のよい点は、今迄気がつかなかったことに気づくことでです。ばらばらな内容がつながってきたり、ほとんど取り上げられなかった部分についての説教もあることです。

 今日の説教ではイエスに関心を持った議員ニコデモの話です。ニコデモは新約聖書に3か所でてきます。いずれも重要な役割をしています。最初はイエスに興味を持って訪ねてくる箇所です。ところでニコデモですが、彼は議員であると同時に教師でもありました。(ユダヤ教の教師です。)だから、最初はこれまでのユダヤ教の教えと異なるイエスの話に興味を持ったのだと思います。

 ところで、議員と言うのは、当時ローマの植民地だったユダヤの議会のメンバーの一人です。議会はユダヤ自治機関で、行政と司法に関する権限を持っていました。司法で言えば、当時の法律である律法に従って死刑判決を下すこともできたのです。最高法院とも呼ばれます。

 議員は全体で71人しかいなかったのです。今の国会議員よりよほど権威があったでしょう。彼はイエスに興味を持って訪ねていくのですが、キリストの弟子になることはありませんでした。

 今日の個所は仮庵祭(かりいほのまつり)これは当時のユダヤの3大祭の一つでした。エジプトをイスラエルの民が脱出した時、仮の住まい(仮庵)を作ったことを記念して行われる祭りです。

 その時人々はエルサレムの神殿にお参りするのです。イエスもそこにいて、クライマックスの祭りの最終日に大声で伝道をするのです。そのため反対派の最高法院の議員たちは、イエスの逮捕を考えます。この時、ニコデモは反対するのです。

 日本なら空気を読めということになるのでしょうが(大多数が賛成しているのに、異議を唱えるから)彼は堂々と「我々の律法によれば、まず本人から事情を聞き、何をしたか確かめなければ、判決をくだしてはならない。」と主張するのです。(ヨハネ7-51)うん偉い人だと思います。

 相当勇気のある人です。結局この時、イエスは逮捕されませんでした。次にニコデモが登場する際はさらに劇的です。イエスが処刑された後、その亡骸を葬るのです。ニコデモは罪人で十字架刑にかかって処刑されたにもかかわらず、36キロ(百リトラ)もの「没薬と沈香を混ぜたもの」を墓に持ってくるのです。

 この「没薬と沈香」というのは、死者を葬る際用いるものです。(多分死体の死臭を抑えるためでしょう。)ここでも彼の勇気が示されます。イエスの逮捕を聞いて一番弟子のペテロでさえ逃げて行くのです。まだ、復活のイエスに出会う前のことです。国会議員が処刑された罪人の葬儀に必要なものを大量に提供すれば、他の議員から何と言われるでしょうか。

 30年前暴力団の結婚式にでて、罷免を求められた大臣が今いるのです。処刑されて3日もたっていないのです。聖書のおもしろさは、イエスの教えもありますが、聖書に登場する人物の生き方です。

 使徒言行録でも、有名人以外のなにげない人物に興味をもちました。今回は議員ニコデモの生き方にとても感心しました。聖書は信仰の書であると同時に人間の生き方を知る書物でもあると思います。

 明日はのんびり過ごします。、