新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

捜査の劣化とデーター捏造

今日も晴天でした。昨日から今日の午前中まで娘の家にお手伝いに行っていました。娘が忙しいので、留守番です。

 株価の方は取りあえず9000円台を回復しました。円安傾向の影響でしょう。ユーロでは103円まで戻しています。今話題の中国の元も13円まで戻しています。アメリカの景気回復傾向とEUの財政状況が落ち着いてきたからでしょうか。しかし、このところニューヨークのダウ平均が大幅に下落しているので、月曜日には又日経平均も下がるでしょう。

 今日はインターネットに事件予告を書き込んだ問題について書きます。問題は警察にネット犯罪捜査能力がなかったことではありません。問題は捜査手法にあります。ネットの技術はまだ発展途上です。次々に新しいウイルスが作られています。

 企業でも対策が大変です。特に日本の行政機関(警察も含めて)は、新しい状況への対応が苦手です。以前は行政機関の恣意的な行動が黙認されていましたが、今は法令順守ということで、すべて法令法規によらなければなりません。ですから、新しい流動的な事態に対応しにくいのです。(法令砲規の改正には時間がかかる)

 警察がネット技術者を採用しても、数は数人です。それに採用した技術者の技術もすぐに古くなってしまいます。まさかアメリカのように、高いネット技術を持つハッカーやウイルス作成者を警察に採用して、ネット犯罪に対応させることもできません。中国のように、軍に多数のネット技術者を採用するのもできません。

 まあ、言っても仕方のないことです。しかし、無実の人を罪に陥れるようなことは絶対にしてはいけません。これは、捜査手法に問題があると思います。このような捜査手法は警察ばかりでなく検察も同様でしょう。

 これは、実はデーター捏造の類似した構造ももっています。マスコミ報道によれば、どうも警察や検察の捜査手法は、あらかじめ犯罪の全体像を予想して、それにあわせて捜査をするのです。ですから、犯人の自供も自ずから初めの予想通りになるのです。

 逆に言えば、最初の予想に合う証拠を集め、犯罪者を逮捕し予想通りの自供を得るということになるのです。もちろん、予想を立てる前に議論はするでしょうが、一度予想を立てるとそれに従って組織全体が動きます。これは少ない人員を短い時間に有効に働かせるためです。

 一方科学研究はどうでしょう。自然科学はもちろんのこと、社会科学や人文科学でも同じやり方をします。まず仮説や予想を立ててそれを立証する根拠やデーターを集めるのです。実験室で実験したり、アンケートをとったり、資料を分析したりします。

 捜査では予想を読みとか筋とか言っているようです。その基になっているのは、過去の経験でしょう。研究でも先行研究を参考にして仮説を組み立てます。ところが、仮説が間違っている場合があります。自然科学の場合、仮説と違う結果が出た場合などです。社会科学で言えばアンケートの結果が予想と異なった場合です。

 実験科学ははっきり数値としてでてきます。仮説に合わない結果が出た場合どうするのでしょう。研究の誤りを認めて最初からやり直すのが正解です。しかし、それでは、論文や学会発表に間に合わなかったり、自分の業績に疵がつきます。

 そこで、仮説に合うようにデーターを捏造したり改ざんするのです。捜査機関の場合は、今回の事件のように全く気がつかない場合があります。犯人とされた人がいくら否認してもだめです。犯人とされた人は自分で無実を立証できないのです。

 無実だと言えば言うほど信じてもらえないでしょう。恐ろしいのは、本人の意思と関係なくすでに犯罪成立のシナリオが書かれている点です。自分たちのイメージに合わせて勝手に犯罪事実が作られていることです。今回の事件で犯罪を認めた人は、その動機まで述べています。

 普通犯罪を犯していない人がそれらしい動機を述べるはずはありません。つまり、すでにもっともらしい(捜査機関にとって納得しやすい)動機の筋書きができているのです。警察小説では良くありますが、まさか現実にもあるとは思いませんでした。

 こうして過去にも無実なのに有罪となった人が結構いるのではないかと思いました。ただ真犯人が名乗りでなかったり、無罪となる証拠が不足しているのです。さて、データー捏造ですが、社会科学の場合、追試はほとんど不可能なので、気づく人はほとんどないと思います。経済学の数式のようば場合は、計算が間違っていると気づきますが、アンケートの結果のような場合はまずもう一度同じ対象に同じアンケートを別の研究者はできないので、捏造しても発見できないと思います。

 まあアンケートの結果のような場合は実害も少ないです。ところが自然科学特に医学の場合はデーター捏造は人の命にかかわってきます。工学の場合でもそうです。重量計算のデーターを捏造して、安全だとすると橋の場合、落ちてしまいます。機械の場合最悪爆発してしまいます。

 警察や検察でしばしば筋の読み間違いを捏造でごまかす例は、やはり捜査能力の劣化だと思います。この社会能力の劣化は警察や検察だけではないと思います。政治も経済もマスコミも大学も同様だと思います。

 原因はいろいろあるでしょう。やはり制度疲労が大きいと思います。戦後70年にまもなくなろうとしています。戦後から始まった制度はすでに限界にきています。もちろんそれは社会制度だけでなく、道路や橋やダムも同様です。

 おじさん達団塊の世代は制度を作るだけで精いっぱいでした。次の世代の方でそれを作り直してもらいたいものです。と言っても今の若い方の生き方を見るとちょっと無理な気もします。

 明日は教会です。