新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

「中国化する日本」(文芸春秋社刊)を読んで

 今日は曇りの上に肌寒かったです。夜から雨が降るとの予報です。今日は来週の大学院に発表の準備をしました。これについては又書きます。

 さて、今日は今読んでいる本についてです。「中国化」というのは、刺激的なタイトルです。おじさんも、学校の図書館で見た時やたら刺激的なタイトルだと思いました。読み始めると、実は全く別の意味だったのです。別に中国の植民地になると言う意味ではありません。

 中国化とは簡単に言えば競争社会になると言う意味です。それに対応する固定身分社会は江戸時代の社会です。本文では「江戸時代化」という言葉を使っています。考えてみれば、戦国時代はほぼ完全な競争社会です。実力主義の時代とも言えるでしょう。

 信長家康は元々武士ですが、秀吉のような元来武士でないものでさえ頂点を極めることができたのです。信長、家康にしても所詮は地方の一大名に過ぎなかったのです。

 経済的に考えてみても、従来農民を兵士として利用していた他の戦国大名に対して専門の戦闘員として武士を確立したのが信長です。信長が絶対的な権力者として、部下たちを従えました。また楽市楽座のように関所を全廃して自由に交流したのです。また貨幣経済が盛んになります。

 この本によれば、そのような競争社会を江戸時代はつぶしてしまったと言うのです。つまり幕藩体制では実力主義ではなく、家柄によって全てが決まったのです。一方ではこのような社会はとても安定します。皆がそれほど努力しなくてもいいからです。逆に言えば努力してもそれほど結果を生まないからです。(本当は武士採用試験などと言うものがあれば良かったのですが)

 作者によれば戦後の日本も再江戸化だったと言います。しかし、作者によればこれから「長い江戸時代の終焉」を迎えることになると言うのです。確かに中国は競争社会です。もちろん共産党にコネがあれば有利ですが、それだけではありません。

 みな商売のチャンスを狙っています。そもそも終身雇用制度ではないので、皆能力があれば転職を考えています。逆に能力がなければ何年働いても給料は上がりません。それが不満なら転職するしかないのです。それどころか、契約満了でクビになることもあります。そう言えばおじさんの大学それも外国人教師でも同様です。

 おじさんと同僚の若い先生は勤務している間全然給料が上がらなかったそうです。中国の場合2年が一サイクルです。同僚の若い先生はきっかり2年で契約を打ち切られました。もし大学が必要とするなら例外として延長できるようです。おじさんが給料を結構上げてもらったので、皆自動的に上がるのだと思っていました。おじさんの場合、1年延長の上さらにもう1年やってほしいと言われました。

 これからの日本も次第に終身雇用制が崩れた短期雇用の延長のような形になるかもしれません。プロ野球のように2年契約で、契約に不満なら他所へ行くと言うようになるかもしれません。それはそれで大変です。ですから基本的に終身雇用の公務員や国営企業が中国でも人気なのです。

 中国の公務員試験の場合、日本の皆さんには信じられないかもしれませんが、就職対策講座があります。大学の至る所に宣伝のビラがはってあります。教職の単位取得試験のための講座もあります。どこの国でも同じなのです。

 明日は教会です。