新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

「資格」を持てば安心か+学歴無用論について

今日は風が強かったのですが、温かくなりました。午前中は大学院の授業資料作りです。今週の木曜日に発表です。テーマは「古墳の森 万葉の森」です。古墳時代、万葉の時代における森について発表します。古墳の方はどちらかと言うと神話についてです。万葉の方は万葉集を通しての自然です。

 ところでいつも報告している株価ですが、また低落傾向に入りました。アメリカ大統領選挙までは9000円台を確保してまずまずだったのですが、選挙後は低落傾向です。8500円台まで下がりそうです。日本の経済指標がさっぱりなので仕方ありません。

 ところで、このところ弁護士をめぐる話題が多いようです。弁護士で地方の名士だった人が依頼人のお金を流用して逮捕されたと報道がありました。また、弁護士過剰も話題になっています。それに法科大学院卒業ではなく、予備試験を受けて合格する人が増えているようです。

 一時は大変な資格ブームでした。サムライ商法と言って、架空の資格をでっちあげて、受講者からお金をまきあげる商法まで流行しました。(資格に○○士と言った士を用いたのでサムライと言ったのです。)今はそれほどのブームではありませんが、大学生の中には就職に有利だというので、資格を取る人がいるそうです。

 資格の中には組織の中でしか役に立たないものと、基本的に独立営業のものとあります。前者の代表が教員免許です。教員免許を持っていても、独立して営業はできません。学校に教師として就職するための条件なのです。ちょっと違いますが、看護婦免許も似たようなものでしょう。独立して営業するというのは普通考えられません。病院で看護師として働くためのものです。助産婦の場合、独立も組織もどちらも可能ですが、現代では産院を運営するのはちょっと難しいでしょう。

 医師免許はどちらもできます。独立して医院を経営してもいいし、病院に勤務してもいいです。それに公務員になることもできます。(保健所や厚生労働省など)ですから一番使い前のある資格は医師免許ということになります。

 法律系や経済系の資格は基本的に独立して営業することが前提です。弁護士、司法書士行政書士などがそうです。税理士や公認会計士などもそうです。独立して営業するとなるとお客さんを探さなければなりません。以前は資格試験を難しくして、合格者と営業する人のバランスをとるようにしていましたが、規制緩和で合格者が増加し、需要と供給のバランスがこわれたようです。

 免許や資格の価値は取得時にかかる経費と取得の困難さに以前は比例していました。その最たるものが、医師と弁護士だったのです。医師の場合、取得の困難さはそれほどではありません。問題は医学部に入学することの難しさと費用がかかる点です。弁護士の場合は医学部ほど費用はかかりませんが、試験合格の難しさがありました。

 ところでおじさんですが、いろいろ資格を持っていますが、結局役に立ったのは、教員免許状だけです。教員免許状も高校と中学、また教科で言えば国語と社会を持っています。しかし、使ったのは高校国語免許状だけです。社会は持っているだけのペーパー教師でした。

 日本語教師資格も役に立ちました。海外で教える場合、これを持っていないと、不利なのです。無資格可の学校はやはり待遇や学生のレベルもその程度なのです。意外だったのは学歴です。大学院の修士まで持っているのが役に立ちました。

 中国の大学で教える際も給与に大きく影響しました。どこの大学を見ても、中国の場合、大卒で4000元(約5万円)修士で5000元(約6万5千円)博士で6000元(約8万円)です。もちろん上海などの大都市はもっと高いでしょうが、地方都市だとこんなものです。

 学歴によって1000元(約1万5千円)違います。中国の大学生で地方都市の場合、初任給は2000元程度です。日本でいえば初任給20万円と言ったところでしょう。ですから、日本の感覚で言えば1000元が10万円近くに相当するのです。

 学歴による差はとても大きいです。それから、日本に帰って今の特殊法人の学校に勤務する際もやはり大学院卒業の資格が活きました。そこでは、ほとんどの先生が修士か博士の学位を持っているからです。おじさんの教科の主任の先生も学術博士の学位を持っています。

 学歴無用論もありますが、おじさんの場合意外なところで学歴が役に立ちました。そう言えば、中国にいた時、新しい日本人の先生を募集した際やはり大学のレベルが問題になっていました。大学卒でもFランク(おじさんたち教師の隠語で、Fつまりフリー、願書を出せばだれでもはいれるランク)だとやはり難しいようです。

 中国人の先生方も日本の大学などに留学していたので、日本の大学のランクを知っていたのです。中国の場合(東アジア全体がそうです。特に台湾)学歴が最低条件になっています。大学中退や高卒だとどんなに優秀でも海外の大学で教えるのは難しいそうです。(台湾・香港の大学の場合原則博士号を持つ人)ヨーロッパの大学なども同様です。

 学歴でなく実力というのは、日本だけのようです。海外では大卒あるいはそれ以上の学歴は、人を判断する大きな基準になるのでしょう。

 明日はのんびり過ごします。