新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

アベノミックスで得をする人損をする人

今日は珍しく温かい一日でした。夕方からは雨になるとの話ですが、とりあえずは晴天です。株式市況は一時の勢いはありません。一時は上昇したのですが、後場からは午前の勢いはありません。

 対ドルも円安は一服です。82円からは円安の勢いが止まりました。90円などというのは夢のまた夢のような感じです。さて今回の総選挙では財政再建はすっかり影をひそめました。アベノミックスでは、財政再建より景気回復で、景気が回復すれば、それに伴って税収も増え財政赤字もなんとかなるというのでしょう。

 さて過激なアベノミックスは損をする人と得をする人がきっと出ると思います。ところでアベノミックスの特徴を考えてみましょう。基本は徹底した金融緩和です。極端な話いくらでも無制限に近くお札を刷れというのでしょう。インフレターゲットを3%に設定しています。

 また円安に導くようです。つまり、3%のインフレと円安が主眼なのでしょう。さて、得をするのは誰かというと株式や不動産(それも都会地の)です。それから外貨預金をしている人です。

 不動産については以前の全国的な上昇ではなく都会地だけでしょう。本来不動産はただ保有するだけではダメなのです。そこから何かを生み出さなければならないのです。例えばアパートやビルを建てて人に貸すことで賃料収入があるとか、土地を人に貸して地代を得ることができる土地です。

 以前の土地バブルはそのような運用収入ではなく、保有して値上がりを待つものでした。その前提は土地神話です。狭い土地に大勢の人間がいるのだから土地は値上がりするというものです。これが壊れたのは、大勢の人間がいても土地を必要とする人は少なく、また利益を生み出す土地でなければ意味がないと考えられたからです。

 まあ簡単に言えば都会のお金持ちで株や不動産などを持っている人が得をします。損をするのはもちろん高齢者、年金受給者です。ざっと見積もっても4000万人くらいいます。こちらは、お金の価値が3%も目減りするのですから大変でしょう。給料が上がるような見込みもありません。

 預貯金の利息は0,1%なのにインフレでの貨幣価値の目減りは3%なのです。と言ってインフレによって年金が上がる可能性はありません。年金受給者は株式の知識も外貨の知識もないので投資によって利益を得ることは無理です。都会に住んでいて不動産を持っている年金受給者はごく少数でしょう。

 では企業はどうでしょうか。アベノミックスの恩恵を被るのはお金を持っている企業だけです。3%のインフレになるということは、物価が上昇しなければなりません。他社が値上げした時、別の企業が値上げしなければ、消費者は安い方を買うでしょう。スーパーなら、ある店は値上げをしある店は値上げをしなければ勝負は明らかです。小さな商店などはインフレにあわせて値上げすれば値段を据え置いたスーパーに負けるでしょう。

 そうなれば安売りスーパーの独壇場になるでしょう。消費者はインフレに対しては消費を抑えるという形で報いるでしょう。仮にインフレになる前に売れたとしてもそれは消費の先取りにすぎません。

 ところで、アベノミックスでは金利はどうなるのでしょう。今の政策では国債の価値が下がる可能性も大きいです。今日のJBプレスでは欧米のファンドは日本国債の下落で儲けを狙っているとの報道がありました。1000兆円の国債はきっとどこかの段階で破裂するでしょう。

 借りたお金はどこかで返さないといけないのです。お札をどんどん刷って通貨の信頼を下落させれば、国債に対する信頼も下落するでしょう。今大量に国債を買っている銀行も株式市場や不動産市場が上昇すれば、国債を買わずに株式を買ったり不動産に投資するでしょう。

 今銀行が国債を買っているのは他に投資する先がないからです。アベノミックスで歯車が逆回転した時、日本経済はどうなるでしょうか。

 いつも書いているようにおじさんは年金生活ですからデフレはありがたいし、仮にインフレになって株式市況にお金が回っても、円安でドルの価値が上がってもいいです。ただそうでない人は大変でしょうね。

 明日はのんびり過ごします。