新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

勝者なき総選挙

今日は午前中は晴れていたのですが、午後から急速に曇ってきました。今日は午前中成績処理のことで学校へ行ってきました。昼食後これを書いています。

 総選挙の結果は読者のみなさんがご存じの通りなのであえて書きません。ところでタイトルの「勝者なき」はおかしいのではないかと言う意見もあると思います。もちろん数の上では自民党の大勝利です。ところが大勝利の自民党の安倍さんも石破さんもそんなにはしゃいでいません。

 小泉選挙の時や政権交代の時の自民党首脳や民主党首脳はおおはしゃぎでした。今日の朝みた石破さんもどこか沈んでいました。とても300議席近く獲得した党の幹事長の顔に見えませんでした。それは当然です。よく大敗に次に悪いのは大勝だといいます。

 自民党の場合300議席近い議員を満足させるような待遇はできません。当然冷や飯を食わされる人達がでるでしょう。民主党も300議席近くとったのに、解散前は過半数ぎりぎりになりました。内部分裂です。もちろん自民党の場合そんな極端なことはないでしょうが、内部の不満は出ると思います。

 それからこれだけ多くの議席を取ると次回の選挙では減少するのは間違いありません。過去の選挙を見ると敗北する時は極端な状態になります。ですから勝利したからと言ってそれに酔っていたら大変なことになります。また、これだけの多数を確保するとなると、政治の失敗の原因を野党に向けることはできません。

 もし何か政治的な失敗があれば全て与党の責任になります。早速経済界から難題をもちかけられたようです。今日の株式市場の出来高2位は何と東京電力です。売買高は1億3千万株です。電力会社は額面が500円なので普通の50円額面の会社だと13億株の売買ということになります。

 それに値上がり率も東証が2位です。おまけに2位から12位までの値上がり率は全て電力会社です。ニュースでも電力事業協会がエネルギー政策の変更を自民党に申し入れたようです。簡単に言えば原子力発電所を再稼働させてほしい。発送電の分離をやめてほしい。自然エネルギーの買い取り義務をやめてほしいということです。簡単に言えば福島原発事故以前の状況に戻してほしいということです。

 そうすれば企業献金をしますよということです。財界は現金なものです。自民党勝利の翌日にはすでに自分に都合よく動きだしています。国民全員が反原発ではありませんが、勝利するやいなや原発を動かすよう働きかえるのを国民は好意的にはみないでしょう。ああやっぱりと思うはずです。

 もし自民党が財界の意向を受け入れれば自民党は財界とべったりだとみなされます。もし、財界のいうことを聞かなかったら企業献金は止まるでしょう。TPPも悩ましいです。財界が選挙翌日から動きだしたということは、この問題についても要求してきます。

 もし財界の言うことを聞けば今回小選挙区で威力を発揮した農協の支持を失うでしょう。お金は財界から票は農村からの動きがひどくなれば、都市部の無党派層の反発を買います。

 その他財政問題社会保障の問題、金融緩和の問題、外交問題(対中韓、対米、対ロシア)など難題は目白押しです。かたや壊滅的な状態の民主党ですが、逆にあれほどの逆風の中で当選した議員は本物です。風や後援会だけを頼りにした議員は皆落選したでしょう。

 多くはないけれど堅い組織になるはずです。一番悪いのは責任追及です。誰が悪いと言い出したら、本当に壊滅します。ここは静かに反省する時です。そして、どうすればいちばん良いかを考える時です。来年の参議院選挙へ向けてすぐにでも動き出すべきでしょう。

 第三極も思ったほど結果がでませんでした。第三極の代表で笑っていたのはみんなの党だけです。維新の会は分裂含みです。石原さんと橋下さんの言うことがことごとく違っているのですから、分裂は時間の問題です。地方分権を目指す橋下さんと、天下を目指す石原さんでは方向が違いすぎます。

 参議院選挙までにこのねじれをどうにかしなければ、参議院選挙での維新の会の躍進は難しいでしょう。それどころか、国会運営でのいざこざで支持が激減するでしょう。来年の参議院選挙まで時間がないのに、今の調子で準備できるのでしょうか。

 公明党もたいして伸びませんでした。今回はいつもかかる投票依頼の電話もありませんでした。その他の第三極も社民・共産も限界が見えてきました。次回の総選挙で保守に対抗するとしたら、反保守連合を作って小選挙区で勝利するしかありません。小党派同士競い合っても意味がなさそうです。

 最後に最近では一番低い投票率だったと聞きます。全有権者の30%少しで300議席を占めたことになるようです。これで国民全体の支持を貰ったとは言えないでしょう。これも自民党が素直に喜べない理由です。これからの自民党の政策が注目されます。

 明日は来年の授業シラバス(計画)作りをします。