新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

遠き慮りなければ近き憂いありーアベノミックス編

今日は午前中まで小雨でしたが午後からは晴れてきました。そうは言ってもまだ肌寒い天気です。今日は午後から来年のシラバスを作っていました。国語Ⅰ(1年生)の分です。国語Ⅱ(2年生)の分も作らないといけないのですが、相方になる専任の先生が何も言ってこないので待ちの状態です。

 非常勤のおじさんの方から意見を言うわけにもいかないし困っています。取りあえず冬休みの終わりまで作ればよいようです。ところで昨日の株価はさすがに一万円台を割り込んでいました。アメリカの財政の崖もどうなるか不明な状態です。アメリカの株式相場も下落しています。

 共和党保守派が強硬にオバマ大統領の政策に反対しているようで、共和党指導部も困っているようです。来週になってもメドが立たないようだと株価は下落するかもしれません。来週火曜日の日本の株式市況の動向が注目されます。もし利食い売りをはねのけて力強く上昇するなら、大納会にかけて12000円台くらいいくかもしれません。

 そうなれば様子見の投資家も買いにでて大発会後も期待できそうです。ただ現在の株式市況も外国為替市況も長期に継続するものではないと思います。ところで今日のタイトルは中国の格言です。熟語としては「遠慮」ということになりますが、もともとの意味と現在の意味は大きく違っています。

 もともとの意味は、遠い将来に対する慮り(「おもんばかり」と読みます。)つまり深い考えがなければ、すぐ間近で憂い(困ったこと)があると言うのです。今アベノミックスを見ると遠い将来に対する深い考えはないようです。発言した瞬間から株式が上がったり外国為替相場が動いたりするのは、予想外だったからです。

 真珠湾攻撃のように、まさかそんなことはしないだろうと言う気持ちが働いているのです。これは奇襲と言ってもいいでしょう。しかし、奇襲では長期の戦争に勝てません。真珠湾攻撃を思いだしていただければ分かります。

 アベノミックスの柱が見えてきました。それはお札をどんどん印刷する、公共事業をやる、円安に導くというものです。お札をどんどん刷ってインフレを起こし、同時に円安に導き、国内の景気対策としては公共事業をやって景気を刺激するというものです。

 公共事業で景気を刺激するというのは随分古いやり方です。しかし、ここには遠き慮りはありません。長期的な展望が見えてこないのです。公共事業を10兆円規模でやっても、雇用が増えるわけではありません。なぜなら公共事業を担当する建設会社はこのアベノミックスがいつまで続くが分からない心配があるからです。

 もし石破さんが首相になったらアベノミックスをやめるかもしれないからです。その可能性があるなら事業を拡大したり社員を雇ったりはしません。またそうするためには銀行から資金を借入なければなりません。ところがインフレになっても金利が今のままということはないでしょう。

 アベノミックスば成功して円安かつインフレで景気が回復して資金需要が増えれば金利は上昇します。そんな時お金は借りて事業を拡大したのは良いけれど、首相が交代して公共事業はなくなったのに、金利だけは高いままではたまらないからです。

 アベノミックスが成功して一番怖いのは金利上昇です。安倍さんは何も言いませんが、金利が上昇したら住宅ローンの変動金利制を使っている人も、国債保有している銀行も、発行元の政府も大変です。地方も含めて1000兆円に近い国債や地方債の金利が1%上昇したら、年間10兆円の利払い金が発生します。いくら景気回復で税収が増えても、10兆円の金利上昇には足らないでしょう。

 それにお札を刷る過程でも公共事業の原資のためにもさらに国債を発行して国債が増えているでしょう。

 金利が上昇すれば、債券の価格が下落しますので大量に国債保有している銀行は大変な評価損がでます。家計では住宅ローンの支払い利息が増加します。銀行からお金を借りている企業は返済が大変になります。

 アベノミックスでは公共事業以外にどの方向で産業を育成するのかが見えていません。確かに以前は公共事業で経済を活性化させたのですが、今はそんな時代ではないと思います。円安にするだけで、日本の電機製品がどんどん売れるようになるわけではないでしょう。

 規制緩和や産業構造の改革、社会保障費をどうするかなどは全く見えてきません。規制緩和にはおじさんも余り賛成しませんが、公共事業と円安だけで日本の産業が回復するとも思えません。

 遠き慮りなきアベノミックスは早晩行き詰って近き憂いを招きそうな気がします。アベノミックスの終わりが国債の増加、通貨に対する信頼性の下落、金利上昇、給料や年金は増えず輸入品の価格(ガソリンや輸入農産物など)だけが上がり生活が苦しくなるようなことだけはやめてほしいものです。

 明日は教会でクリスマス礼拝があります。