新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

漢文の授業から思うこと

 今日は全国的に大荒れだと報道されていましたが、おじさんの地方は晴れたり曇ったり雨が降ったりの不思議な天気です。今は晴れています。明日からは雪が降るとの予想もあるようです。
 
 今日は祭日で相場もなく寂しいです。外国市場では円安が続いているようです。89円台にまで来たとの報道もあります。明日の相場が注目されるところです。それにしても円安に振れる速度が速すぎます。ちょっと危険な気もします。今外貨を持っている人は売りどころを探っていると思います。
 
 相場は山高ければ谷深しだからです。また上げ100日下げ3日と言います。相場が好転するには時間がかかるのですが、暗転する時はあっと言うまです。ブラックマンデーの日などは、新聞の夕刊の株式欄にほとんど数字が書かれていませんでした。ほとんどストップ安だったからです。
 
 今日は課題作文の添削と授業の準備をしました。1月は漢文の授業です。前回は格言をやりました。ところで漢文とは中国古典のことです。なぜ日本人が中国古典をやらなければならないのかと言うことです。それは日本の文化は中国の文化の上に成り立っているからです。ヨーロッパやアメリカの文化がギリシャやローマの文化の上に成り立っているようなものです。
 
 ところで、先日の国に対する好き嫌い調査でも中国が嫌いだと言う人が大勢います。またブログの意見を見ても中国人を追い出せという意見が多数です。また極端な意見では中国と戦争しろという意見もあります。しかし、少しでも歴史の勉強をした方は分かると思うのですが、反中国思想や中国蔑視の思想の歴史は極めて新しいものです。
 
 反中国・嫌中国の方でも漢文の授業をやめろという方はなさそうです。センター試験の国語の半分は現代文、半分は古文です。古文の半分つまり全体の25%は漢文なのです。ところで反中国・嫌中国さらには中国蔑視の風潮になったのは日清戦争後です。
 
 つまり日本の建国以来あるいは建国以前から日本は中国を手本としてやってきたのです。中国を手本としてやってきた時代は2000年以上前からでしょう。逆に現在のような中国観になったのはわずか明治維新後わずか120年くらいです。ところで中国古典つまり学校で教えられている漢文の内容は現代中国ではどうなっているのでしょうか。
 
 ある教科書会社の調査では日本で一番好感が持たれている詩人は李白です。中国でも李白は大人気です。お酒の有名なブランド名が李白(李太白)なのです。日本の高校や中学で教えている漢詩は現代中国でも教えられています。
 
 中国では古典はとても重要視されていておじさんがいた地方都市の本屋さんでも唐詩やその他の中国古典の本が目立つ場所に山積みされていました。子供向けの漢詩の本もあります。(買って帰りました。)また漢詩の朗読会もしばしばやられています。(日本では考えられないことです。古今集万葉集などの朗読会などありません。)
 
 観光地である洞庭湖の周りにはずらりと漢詩が並んでいました。遊歩道にそって石碑があるのです。中国の高校を訪問した時、おじさんが知っている漢詩を黒板に書いたら高校生が大喜びしました。中国語も知らない日本人が中国人なら誰でも知っている漢詩をすらすら書いたからです。(李白の詩です。)
 
 おじさんが住んでいた街の近くの観光地ではその街から科挙に合格した人が3人出たと漢文で書かれた看板がでていました。(漢文と現代中国語は異なります。)看板があったところは、その合格者を出した私塾(幹林院と言います。)の跡だったのです。おじさんがその看板に書かれて内容を読んでいると傍にいた中国人の若者がびっくりした顔で見ていました。
 
 中国人にとって日本人が漢文をすらすら読めることが信じられなかったようです。自分達が学校で勉強して今は忘れてしまった漢文(古典中国語)を日本人が簡単に理解しているからです。中国人は現代でも日本人が中国古典を勉強していることを知りません。
 
 中国に行って漢詩の話しをしたり、論語の話しをしたり、もし少し勉強したなら史記の話しをしたら驚くと思います。(「臥薪嘗胆」の話しなどは中国でドラマになっています。)ヨーロッパに行って現地の人と交際する時キリスト教ギリシャ神話やシェックスピアの知識がないと尊敬されないといいます。逆に聖書の言葉などを会話に入れると驚かれるそうです。
 
 他国の文化を知っておくことは尊敬を得る重要なことなのです。中国が好きであっても嫌いであっても付き合わないわけにはいきません。嫌いな人こそ、その国の文化を知るべきです。中国3000年の歴史の重みにはすごいものがあります。
 
 論語の授業をするたびにその思想の深さを感じます。現代のわずかな歴史を見て中国を蔑視したりするのはやめた方がいいと思います。古代文明からすぐ近くの先進国(スペイン・ポルトガル・オランダ)で一旦衰退して再び世界の強国になった例はありません。
 
 中国全体として貧しいですが、アヘン戦争以来衰退して国が、とにかくGDP世界2位まで引き上げた力はすごいものがあると思います。インドと比べてみるとよいと思います。中国の学生さんがバスに乗って襲われたなどと言う話しは3年間滞在して聞いたことがありません。(隠していても口コミであっと言う間に広がります。)
 
 明日も課題作文の添削をします。